※ヤンデレのテストに書いているため、キャラ崩壊が一部で著しく起こっています。

ついかっとなってやった、でも後悔してない。





暗闇に包まれた部屋に差す、一条の光。

そこから半分覗かせるなのはの顔、三日月のように曲がった唇、泥沼のように濁った焦点の合わない瞳。

僕は体の底から込みあがってくる震えを止めることができなかった。

「もうダメだよぅ、ユーノくん。隠れるんならもっと上手に隠れなきゃ、かくれんぼにならないよ?」

照明はドアから差し込む光しかない。

ないはずなのに何故なんだ。なんでなんだ?

なんでなのはは「寸分狂わず、僕の方をじっと見つめているんだ?」

ここは暗闇だろう? 僕が隠れている場所なんてわからないだろう?

そこでやっとなのはは僕の魔力を追いかけてここまできたのだから、この部屋の何処にいるのかも既に把握しているのだと気付いた。

もうそんな簡単なことも判断が付かないくらいに僕は混乱していたのだ。

「もしかして、わたしに見つけられることを実は期待してたのかな?
 嬉しいなあ、これって相思相愛だもんね。あはは、嬉しいなあ」

なのはの目が嬉しそうに細まる。

僕が恐怖で何も答えられないことにも気付かず、どんどんと都合のいい誤解をしていく。

……少なくとも僕にはそう見えた。

「でもね」

でもそれは大きな間違いだったことに気付いた時には遅かった。

なのははちっとも嬉しそうなんかじゃなかったんだ。

そう、なのはは……とてつもなく怒っている。

「それでわたしがユーノくんを許すと思ったら大間違いなんだよ。ユーノくん、これは最終通告。
 私のところへ戻ってくるの。本当は物凄く怒っているけど、今なら特別にサービスして許してあげる。
 ユーノくんは頭がいいもん。ここでどっちを選べば本当に幸せになれるか、勿論わかっているよね?」

体が言うことを聞かない。

恐怖が体中を支配して、僕を雁字搦めに縛り付けていく。

もう逆らうことなんてできない。

ああ、ここが潮時なんだ。僕はもう十分抵抗した。

恐怖で体に力が入らないはずなのに、さっきまで逃げ続けて疲れきっているはずなのに。

まるで磁石に吸い寄せられる鉄釘のように、僕はなのはの下へ……ご主人様の下へ歩み始める。

結局僕は自然の中では無力なペットだったというわけだ。なのはから逃げることも、救うこともできない。

あと数歩でなのはの下へ、再びペットとしての人生に帰ろうとした時、背後からマントを引っ張られた。

歩みを進めていた足は急激な後ろからの力に対応できず、僕は引っ張られた方向に倒れこんで、盛大に尻餅をつく。

「ダメだよ。ユーノ」

引っ張った張本人のフェイトは僕のマントを握り締めたまま、戦闘時のような真剣な表情で僕を見つめていた。

「なのははユーノの大切なパートナーなんだよ?
 そんななのはを助けることができるのはユーノしかいないんだよ?
 ……戦おうよ、なのはと。私も協力するから」

フェイトの言葉に体中に力が戻ってくるのがわかる。

そうだよ、僕はこのくらいのことで怯えていちゃいけない。

なのはを救えるのはパートナーである僕だけなんだ。

絶対に諦めちゃいけない。なのはの為にも、僕の為にも、なのはの親友のフェイトの為にも。

「何してるのっ!! はやくこっちに来るの!
 早く早くはやくはやくはやくはやくっ!」

「なのは! 僕は戻らない。なのはを元に戻すまで僕はなのはと戦――」









「うるさいっ! ペットが飼い主様に反抗するなんて100年早いんだよ!!」







僕の決意の言葉を掻き消す咆哮。

麻薬中毒者がブツを欲しがるとこんな感じなのだろう。

咆哮の主は目を一杯に見開き、必死さと激情と苦しさをぐちゃぐちゃに混ぜ込んだような表情で僕を睨みつける。

「……わかったよ。ユーノくんがその気なら、こっちにも考えがあるもん。
 まだわたしは『鬼』でいいよ。鬼は鬼らしいやり方で、ユーノくんを屈服させるだけだから」




僕は、もう、絶対に諦めない。







つづく?