※ネタです。ただ試験的にヤンデレを書くためになのはの設定を使っただけです。今は反省している。





「おはよう、ユーノ君」

なのはの声に気がついて目を覚ますと、僕は薄暗い部屋に四肢を鎖で繋がれた状態だった。

「な、なのは? これって――」

「ユーノ君は私のペットさん、だよね?」

上から覗き込むようになのはが僕を見る。

暗がりで見え辛かった顔も、近づくにつれだんだんとそれがやはりなのはだと教えてくれる。

その声にはいつもの明るさはなくて、例えるなら氷のように冷たい、けれど奥底には炎が小さくとも強く燃えているような、そんな声。

でもそんなことはどうでもいい。問題は今、この子はなんて言った?

――ユーノ君は私のペットさん――?

「ちょっと待って?! たしかに僕は高町家では素性を隠すためにペットっていう立ち位置にいるけれど、本当は違うってなのははわかっているはず――」

「ペットだよねぇ!」

「ひっ?!」

僕の説明はなのはの一喝でいとも簡単に止められてしまう。

そう、僕はたしかにフェレットに変身することで高町家……なのはのペットとしてお世話になっている。

だけどそれはあくまで形式上であって、実際の僕となのはの関係は対等なパートナー関係だったはずだ。

なのはもそれは十分理解しているはず。

「ユーノ君は、私のペット、なのに、なんで、フェイトちゃんや、はやてちゃんや、クロノ君と楽しそうにお話、するのかな……かな?」

「ちょっと待て! 1、2番目はともかく、3番目はモラル的にやばいだろっ!」

それだけ言い切ると、腹部に衝撃が走る。

目を下に向けるといつの間に変形したのか、レイジングハートが僕の腹部に食い込んでいた。

胃の中のものが逆流しそうな嘔吐感が走るが、なんとか押さえ込む。

「が、げほっ! げほっ!」

「……ごめんねユーノ君。でもペットはね、御主人様に口答えなんてしちゃいけないんだよ?
 だから、これは躾。ペットはみんなに愛想を振りまかなくていいんだよ。
 私だけでいいの……楽しくお話しするのも、一緒に任務に行くのも、笑顔を向けるのも、御主人様だけ」

未だに咳き込む僕を見下ろしながら、なのはは無表情に淡々と話を続ける。

「ユーノ君は誰にでも優しいんだから、フェイトちゃんも、はやてちゃんも、シグナムさんもシャマルさんもヴィータちゃんも、みんなみんなユーノ君は自分のペットなんだって誤解しちゃうでしょ?
 ダメだよね、ユーノ君は私のペットなのに、泥棒さんだよね、うん、泥棒さんだよ。ユーノ君もそう思うでしょ?」

普通に考えてそんなことあるはずがない。

だけど一縷の光も浮かばず、狂気の色に染まった双眸を携えたなのはが怖くて口を挟むことが出来なかった。

「ユーノ君も、そう、思うよねぇ? ユーノくんはぁ、わたしのペットさんだもんねぇ、そうおもうにきまってるよねぇ。
 あたりまえのこときいてごめんね、ユーノくん。でもユーノくんのくちからちょくせつききたいなぁ……そうしたら……えへへっ」

「……」

「ユーノくん」

『Divine Shooter』

「うわぁぁぁっ?!」

レイジングハートから生み出された光球が無慈悲に体を傷つけていく。

身動きをとることができない僕は恰好の的になっていた。

「ねぇ、おへんじは?」

「……なのは、そんなの僕の知ってるなのはじゃない。元に戻って!」

「もぅ、レイジングハート」

『Exelion Mode Set up.』

僕の説得も空しく、なのははレイジングハートを最強のフォルムへと変形させる。

全てを薙ぎ払うかのような力を放つそれは、味方の時は心強かったそれは今の状況では、なのはを更に恐怖の化身にする為のファンデーションのようなものになっていた。

「ねぇ、おへんじはどうしたの。つぎはぜんりょくぜんかいだよ? いたいじゃすまないよ?

 それがイヤなら、ほらぁ! いうんだよっ!」

「イヤだ! 元に戻ってよ! なのは!」

レイジングハートの切っ先に魔力が収束していく。

間違いなくなのははこの部屋を壊すことも厭わずに全力全開の魔術を放つだろう。

喰らったら痛いなんてものじゃすまないんだろうなぁ……

でも、僕は折れない。絶対になのはを元に――

「なにをいってもムダみたいだね。それじゃあ、おしおき、だよ」

 

『Excellion Buster』

そして僕は光の奔流に飲み込まれながら意識を失った。










「――っていう夢を見たんだ」

「酷いよ、ユーノ君」

ここは時空管理局の一室。

ちょうど休憩が被ったので、僕はなのはに昨日の夢を話していた。

「だよね。なのはがあんな酷いことするわけないよね」

「そうだよー、全くユーノ君は酷いんだから」

ドンッ!!

「……ぁ?!」

背中に衝撃が走る。

振り向くと更に2、3の光弾が僕に襲い掛かり、そのまま僕の意識を刈り取っていった。

「……あはっ、そんな夢見る悪いペットのユーノ君にはお仕置きしなきゃダメだよ、ね。


 あは、あははは、あハハハハハハハハハははハハハハハハはハハはハハハハははハハハハハハははハハハハハハハははハハハハははハハハハハはははははハハハはハハはははははハハ!!」






つづく