注意:この作品にはネタバレと多少設定変更を含みます。また、細かい地形等は大まかな部分以外は作者の空想となりますので、細かい突っ込みは無しの方向でよろしくお願いします。『魔法』に関する事柄は作品の性質がパロディーな為、無視いたしますことを了承ください。そのようなモノが嫌いな方は閲覧をご遠慮いただきますよう、深くお詫びすると共にお願い申し上げます。基本的な設定以外頭の中を空にしていただけるとありがたいです。

 

D.C.O.G. ダ・カーポ オリジナル・ジェネレーション

 

第一話

「分の悪い賭けは嫌いじゃない!」

 

一年中桜が咲き乱れる三日月型の島、初音島。本土とは、鉄道とフェリーで結ばれているこの島には中・高・大一貫教育の学校がある。

 

その名を『私立風見学園』といい、近隣の研究所からも講師を招く事からも判る通り、カリキュラムと設備が充実している学校として本土から生徒が来るほどの人気校である。

また、この学校の方針に『グローバル社会へ対応できる人材の育成』と言うものがあり、その結果として、帰国子女の受け入れや外国人教師が多いことも特徴の一つだったりする。

おかげで、生徒・講師問わずものすごくとんでもない個性の持ち主揃いになってしまった。

 

全国大会優勝の実力を有する最強ゲーマー、IQ180の天才帰国子女、究極の猫かぶり、寝ながら歩く少女、学食の厨房を取り仕切る音楽教師に果てはサムライ……。

そんな、風見学園本校1−Aの一日は生徒と講師のこんな会話で幕を開ける。

 

「始業時間まで後五分。南部講師、今日はどちらに賭けますか?」

 

教卓に座して、出席簿と教室、廊下を見比べている男……『南部響介』に男子生徒が声をかける。茶髪で前髪の先のほうに金メッシュが入っているこの男はギャンブルが趣味で『分の悪い賭けは嫌いじゃない』を心情としている。

 

「杉並か。決まっている……分の悪いほうだ」

 

キョウスケが言うと男子生徒……『杉並俊哉』は呆れたような、しかしそれでいて期待を裏切らない担任に満足した表情で話しを続ける。

 

「では、間に合うにA定食ですね?では、私は間に合わないに『美食家の日替わり定食』を……」

 

担任と生徒の会話にしては不穏当だが、実はこの二人。何時も遅刻スレスレか遅刻する同級生をダシにして毎朝賭けをしているのだ。ルールは始業ベルに間に合うか間に合わないかを当てると言う単純なものだが、この担任は教師である前に勝負師と自負し、常に分の悪い方へ賭ける。この他にもこの二人は事あるごとに賭けをして勝負している。

 

「おい、工藤はどうする?」

 

担任から首だけを後ろへ向け、杉並は自分の友人へ賭けに参加するか否かの確認を取る。

 

「俺は今日はパス。持ち合わせがあまり多くないんだ」

 

やんわりと参加を拒否するこの人物。名を工藤叶と言い、杉並の付属時代からの友人である。中性的な顔立ちで誰にでも分け隔てなく接することから、男女を問わず人気が高い。

 

「ふむ、了解した。では、リュウセイはどうする?」

 

友人の不参加を確認すると、すぐさま別の友人へと視線を向ける。

 

「わりぃ、俺もパス。この前、限定版の超合金買っちまって金が無いんだ……」

 

そう答えた人物の名は伊達隆盛(ダテ・リュウセイ)。前述した全国大会優勝の最強ゲーマーとは彼のことで、根っからのスーパーロボットマニアでもある。これまた付属時代からの友人でこの二人とあと一人。現在、賭けの対象になっている寝坊助の四人でよくつるんでいて、『風見学園馬鹿四天王』と呼ばれている。別に成績が悪いわけではないのだが、杉並の企画に加わってしまったがために馬鹿呼ばわりされてしまうのであった。工藤はカウントされることは少ないので実質上は『風見学園の三馬鹿トリオ』と言える。

 

「フム、そうか。なら致し方あるまい。南部講師……」

 

「ああ、今日は久しぶりに直接対決だな。ん?」

 

会話の途中で廊下からドドドドドドドドッと言う地響きと微妙な揺れを感じる。

それと共にかすかに話し声が聞こえてくる

『もぅ、兄さん!明日からはもう少し早く起きてください。毎日コレでは体が持ちませんよ……!』

 

「だがなぁ、音夢。だからと言ってあの起し方はないだろう?」

 

「兄さんが中々起きないのが悪いんです!あまり改善されないようならもう少しキツくします!」

 

キョウスケは時計を眺める。始業ベルまであと三分これなら今日は勝てるだろうと確信する。

声が聞こえてから三十秒くらいたったあたりで教室の扉が勢いよく開き、今だ眠そうな顔で大きく肩で息をしている男子学生と前髪を汗ばんだ額に張り付かせ、同じく肩で息をしている首に鈴の付いたチョーカーをした女子学生が現れる。

 

「今日は俺の勝ちだな」

 

簡潔に結果のみを宣言するキョウスケ。

 

「ふむ、今日はツキがないようですね。悔しいですが、俺の負けです……」

そんな二人に、女子学生はこめかみに手を当てながら眉を引きつらせる。

傍目には笑顔だが、目は笑っていないのもお約束である。

この時点で男子生徒、『朝倉純一』は既に自分の席に突っ伏して寝ている。

『かったるい』が口癖になるほど怠惰だが、いざと言うときの行動力はすさまじく、やるときはやる男である。

 

「そこっ!人をダシにして賭け事なんてしないでください!それに、キョウスケ先生。貴方は教師でしょう!?あまりひどいとキタムラ先生に報告しますよ?」

 

「……俺は教師である前に勝負師だ」

 

息を整えつつ指を刺しながら抗議を行った後、担任の発言に顔をしかめこめかみに手を当てているこの女子生徒、名を『朝倉音夢』と言い、風紀委員として活動しているため、生徒指導主任で教務主任の『北村開(キタムラ・カイ)』教諭に顔が利くのだ。

「教師にも娯楽は必要だ……」とつぶやくキョウスケを一睨みして黙らせる。

その時、突然後ろから声をかけられる。

 

「キョウスケにそんなこと言っても無駄よ、音夢ちゃん?コレはもう病気みたいなものなんだから……」

 

急な呼びかけに対し、ビックリしたのか体を一瞬びくつかせ、後ろに振り返って声の主を確認する音夢。

 

「わっ!エクセレン先生、いきなり後ろから声をかけないで下さい。ビックリしたじゃないですか!?

 

そんな非難の声など何処吹く風、いつも通りな表情で、「あ〜、それについてはゴメンしてね?今度から気をつけるから」と切り返す。

 

「次からは気をつけてくださいね!」

 

多少怒りに顔を朱に染めながらエクセレンに注意をする音夢。これではどちらが教師で生徒なのか判ったものではない。

 

「それと、音夢ちゃん?そんなにイライラしていると、後で損するわよ〜♪人生もっと楽しまなきゃ。後ろで俊哉ちゃんに殴りかかろうとしては避けられてる眞子ちゃんを、少しは見習いなさい?素直になれない代わりに殴りかかってるんだから、青春よねぇ〜。嫌よ嫌よも好きの内?ってやつね!ああ、若いって羨ましい……」

 

後ろで杉並に制裁を加えるべく拳を大きく振る女子とそれを華麗に避ける杉並を指差しながら、大げさにアクションまで付けながら若さについて力説するエクセレン。

 

「使う状況が微妙に間違っているぞ……エクセレン」

 

何時もながらぶっ飛んだ発言をするエクセレンに、やれやれと突っ込みを入れるキョウスケ。

 

それを見てあからさまなため息をつきつつ、再びキョウスケに向き直る音夢。朝にもかかわらず、表情はどこか疲れている。

 

「キョウスケ先生、出席の方は遅刻免除ですよね?」

 

貼り付けたかのような笑顔……全体としては笑っているが目が笑っていない笑顔でキョウスケに問う音夢。

 

「遅刻も何もまだ出席を取っていない。遅刻は免除するから、早く席に着け」

 

それに対し、表情を変えずに着席を促がすと、キョウスケは出席簿を開き印をつけ始める。あの笑顔に動じないとは、中々の大物である。

 

「良かったわね〜、音夢ちゃん。皆勤賞、狙ってるんでしょ?」

 

などとエクセレンが軽口を飛ばすも、ソレを無視して音夢は席に着いた。

 

「もぅっ!音夢ちゃん、ノリがワルワルなんだから……」

 

軽口を飛ばした副担任は相手の淡白な反応に不満顔だった……。

そして、朝のホームルームはつつがなく進行し、一時間目前の休み時間となった。

 

「本当に懲りないわねぇ〜、アンタ達も……」

 

などと呆れ顔で純一の机の近くにいる杉並に話しかける『水越眞子』。これまた付属時代から付き合いのある友人の一人である。先ほど杉並に殴りかかっていたのも彼女で、杉並が何かやらかすたびに制裁を加えるべく拳を振るうが、当ったためしがない。

そして、本人は気付いていないがエクセレン曰く「恋する乙女」らしい。

 

「フム、ああいった駆け引きの面白さがわからないとは……損だぞ、水越」

 

「わからなくていい!それはそうと朝倉っ!いい加減起きなさい、一時間目始まるわよっ!」

 

制裁の矛先を杉並から、朝倉に変える。そこに朝倉の机の正面に位置する自分の席で工藤と会話していたリュウセイが忠告を入れる。

 

「無駄だよ、眞子。コイツがこうなったら三時間目くらいまでは絶対に起きやしないんだ。放っておくのがいちばんだ。それに……」

 

「それに……って何よ?」

 

「俺達が起さなくても、ホレ。ご覧の通り、音夢直々の鉄槌が下されて、嫌でも起きるんだからな」

 

その言葉に眞子は純一へ視線を移すと、なるほど。リュウセイの言うとおり音夢に起されて涙目で後頭部をさすりながら、抗議する純一の姿が確認できる。

ふと音夢の右手を見やると、古典の辞書。

なるほど、あれは痛いと納得しつつ。音夢だけは怒らせないようにしようと思う眞子だった。

 

 

純一が音夢に起されていたい思いをしている頃と同時刻。職員棟と一般棟を繋ぐ渡り廊下廊下をキョウスケとエクセレンが並んで歩いていた。

 

「ほんとに音夢ちゃんはノリが悪いんだから……まったくつまんないわねぇ」

 

先ほど無視されたことを未だに不満に思っている様子のエクセレン。

未だに顔は不機嫌である。

 

「当然だ。お前は少し軽口が過ぎる……」

 

「なによ〜、あそこで冗談の一つも言わなかったら朝っぱらから重苦しい空気になっていたじゃない。感謝してよね、もぅ!」

 

今度はキョウスケにそっけなく扱われたことに対して不機嫌になったようだ。

 

「あ〜、もぅ!キョウスケ、今日飲みに行こう!」

 

右手で酒を飲むジェスチャーをしながらキョウスケに飲みに行く提案をするエクセレン。

ソレに対してキョウスケにしては珍しく、あからさまに苦い顔をする。

 

「ダメだ。お前と行くと、帰りが面倒だ。飲み過ぎないと約束するならいいが……」

 

飲みの約束を渋るキョウスケ。なぜ、彼がココまで渋るのかと言うと、エクセレンは酒には強いのだが、ペースを考えないでがぶ飲みするために帰る頃になるとグデングデンに酔ってしまい、その度にキョウスケが彼女を背負って家まで送り届けるのだ。

 

「ウンウン!飲み過ぎないから、行こうよ!最近デートもして無いし、たまにはいいじゃない?」

 

「むっ、そういうことなら仕方あるまい。つきあおう」

 

エクセレンの『最近デートもしていない』と言う発言に負い目を感じたのか、渋々承諾するキョウスケ。なんだかんだでエクセレンの事を大事にしているのだった。

 

「ありがと、キョウスケ♪やっぱ持つべきものは愛すべき恋人よね〜」

 

「……調子に乗りすぎだ、エクセレン。それより、そろそろ一時間目が始まる。急ぐぞ」

 

時間が押しているようで、エクセレンの発言を無視してスタスタと先を行くキョウスケ。

しかも、あのような恥ずかしい発言を聞かされたにも関わらず、表情を変えていない。

性格なのか慣れなのかはわからないが、恐らくは後者の方だと思われる。

 

「って、ちょっと!私の発言はスルーなワケ?ねぇ、待ってよキョウスケ!キョウスケってばっ!」

 

エクセレンもそれに続き、お互いの担当するクラスへ向かう分かれ道で別れるのだった。

風見学園本校1−Aの朝は概ねこのように騒がしく過ぎていく……。

 

つづく

 

 

なんとなく後書きと作者の戯言

 

読者の皆様、はじめまして。迷える竜巻(謎)のトロンベです。

この度は私の駄文を最後まで読んでいただき、ありがとう御座います。

 

さて、この作品サーカスのダ・カーポとバンプレストの看板ゲームであるスーパーロボット大戦のオリジナルキャラクターのクロスオーバーなのですが、何故スパロボのキャラを教師に当てはめたのか?今回はソレについて説明したいと思います。

 

 ダ・カーポは、生徒は個性的なメンバーが沢山いて面白いのですが、いかんせん教師で目立つキャラが暦先生だけ。(ルートによっては芳野さくら先生もいるけれど)

と、言うことで濃いキャラ揃いのスパロボから何人かピックアップして教師にすれば面白いか?と思い、今回の話が生まれました。

 

さて、次回は同じ時間軸の1B組を描きます。さくらやことり。そして、『風見学園のラストサムライ』と呼ばれるとあるキャラクターが登場します!お楽しみに。

それでは次回をお楽しみに。