「ありがとう、セイバー、遠坂」
「いえ、シロウのご飯が食べられるのです。あれぐらいの……あれぐらいの…」
「タイムセールの主婦はサーヴァント以上ね……ついでに、その時の士郎も」
手に持った一つの卵パックを握りながら、どこか遠い所をみる二人。
いや、なんでさ。
「まぁいいわ。私の本分は魔術であって、あんな戦いではないんだから」
「そ、そうです。私も騎士なのです。私の本分は士郎を守る剣であるのですから」
二人の言葉が、なんとなくだが自分へと言い聞かせている気がするのは気のせいか?
確かに、セールの時の奥さん方は「凄い」の一言だが、いくらなんでも言いすぎだろ。
単純に魔力で強化してなかったのと、慣れていないからそう感じるだけで、実際に戦えば二人の圧勝だ、絶対。
剣を持っていないセイバーも、魔術を使わない遠坂も、ただの女の子なんだから。
「とりあえず、握り締めて卵を割らないでくれよー……ん?」
「シロウ、どうかしましたか?」
「いや、鳥の巣から雛が落ちたみたいだ」
公園の前を通ると、木の下で数人の子供が一人の男の人に鳥の雛を見せていた。
身振り手振りから見るに、鳥の巣から落ちた雛を子供達が見つけ、あの人に戻せないかと頼んでいるようだ。
「そのようね。木の高さから見て五m弱。一般人は勿論、セイバーでも鳥の巣に雛を置くことも考えると少し無理ね」
「そうだな。家に帰れば脚立があるから取ってくるよ。遠坂とセイバーはあの子達に話して……セイバー? どうかしたか」
「いえ、昔……同じようなことがあったなと」
どこか懐かしそうに子供達を見るセイバー。
昔って、アーサー王の時代だよな……前回の聖杯戦争ではなかっただろうし。
しかし、ずっと戦ってばかりだと思っていたけど、そんな一時もあったんだな。
「雛鳥が巣から落ちているのを見つけたのですが、私では戻すことが出来ず一緒にいた者が戻したのです。そう、あのように」
その言葉にすぐさま視線を向けると、子供達から受け取った雛を大事に抱えて木へと走り、垂直に木を蹴り三mぐらいの所にある一番下の枝へ手をかけている姿が。
そして、その枝を始点に片腕と脚だけを使い、傷めないように木を優しく上っていく。
「信じられない身体能力ね。魔術の強化も無しにあんなことするなんて」
巣へとたどり着き、巣の中へと雛を戻し落ちるように下りてくる。
下りると同時、それを見守っていた子供達に跳び付かれ騒がれ始めた。
「彼も同じことをしましたよ。魔術無しに」
「面白そうな話ねセイバー。ちょっと聞かせてよ」
「そうですね……あれは私が湖の貴婦人から聖剣を貰った頃です」
王の思い出
〜たった一人の愛した親友〜
あの日は偶然でした。
いつもなら円卓の騎士の誰かが絶対に側にいたのですが、誰もおらず一人で森を散策していました。
王としての休息の時間でした。息抜きの時間とも言えます。
今考えれば、アーサー王ではなく、一人のアルトリアの時間だったかも知れません。
そこで一人の剣士……いえ、騎士に会ったのです。
「――ハッ! セイっ! ハァァア!」
木々の間で剣を振り、高みへと自身を鍛える姿。
力強い意志の感じられる剣を自在に操り、狭い木々の間で振り続ける。
ギリギリ木に当たらない距離、自分の間合いの外と内の境目で木へと向かって剣を振る。
華麗なものでした。荒々しくもあり、繊細でもある。なんとも表現の難しく、華麗と呼ぶ以外に言葉が見つからないほどの剣。
「ヒュ、ハッ! ……なにかようか?」
「いえ、音が聞こえたもので。それにしても、中々の剣でした」
実際は中々どころではありませんが、王として自分より上かも知れないのが悔しかったのでしょう。
つい、そんなことを言ってしまいました。
「なんだ、見た目と違いあんたも剣士か?」
邪魔にならないようにと、気配は消していた筈でしたが気づかれていました。
声をかけられた以上、敵意の無いことを示すために返事を返し、木の影から出て姿を現しました。
彼の今からする筈の姿を思い浮かべながら……
「はい。剣を」
「ってことは、どっかの隊に入っているだな」
しかし、彼の言葉は私の考えていたものとは違い、ほんの少しだけ心の底で望んでいた言葉でした。
王に対しての態度と言葉ではなく、ただの一人の人への態度と言葉。
慌てて頭を下げるのではなく、同じ剣を使う者への挨拶。
「え、ええ。アーサー王の」
「なんだ、同じか。まぁ、隊と言っても多いからな。会ったことが無くても不思議じゃない…っと、俺はユウだ。あんたは?」
「私は……アルトリアです」
「アルトリア? なんか、どっかで聞いたような……まあいいか。今度、剣の相手してくれよ、一人だとこうして振ることしか出来ないからさ」
驚きの連続でした。
まさか、アーサー王の名前も姿も知らないとは……もっとも、その後に彼と話していく間に分かった彼の性格からは当然のことでしたが。
深く考えず、自分の手の届くことを一番に考える。アーサー王なんて、目の上の存在。だから、どうでもいい。
何事も現実的に考え、今を生きる姿。遠くまでを見つめ戦っている私とはかけ離れた姿でした。
そんな彼だからこそ、興味を引かれたからでしょうか……その次の日から、護衛の者に命じて一人でその森へと散策に出かけるようになったのは。
それからの日々は、時には剣で撃ち合い、時にはその剣の悪い所を指摘し合い、時にはただ話をしているだけの時もありました。
話せば話すほど彼の意思が分かり、引かれていきました。恋愛ではありませんでしたよ。私は王であり騎士でしたから。
それから半年が経った頃、明日また戦場へと出る前にもう一度彼に会う為に森へと行き、話をしている時でした。
「――どうした? アルトリア」
「それが、この子が巣から落ちたようです」
私の手元には一匹の雛鳥が。
少ない確率である、私が先にここへとやってくる日。
今日のように、先にやってきた私は大きな木の側に地面にいた雛鳥を見つけました。
すぐに巣へと戻そうと考えたのですが、側の木にあった巣はあまりにも高く、とても戻せそうにありませんでした。
「ちょっと貸してくれるか」
「ええ、どうぞ」
「おし。ちょっと待ってろよ、すぐに戻してあげるからな」
雛鳥へと優しく、初めて見た慈愛に満ちた笑顔を浮かべ、木へと走り垂直に空へと飛び立とうかという様に木を登っていく。
まるで翼が生えたかのように軽やかに巣までたどり着き、巣の中に雛鳥を返すと、今度は一直線に私の側へと下りてきました。
「これでいいだろ」
「ええ。それにしても、華麗なものです」
見惚れるほどに。
男であろうと、女であろうと……いや、感情を持っている以上誰もがそう思うほど、先ほどの彼の姿は華麗でした。
「昔から木に登るのは得意なんだ。子供の時に登ったいいが、下りられなくて一日をそこで過ごした事もあったけどな」
「それは大変でしたね」
「ああ。次の日、俺が帰ってこないのを村全体で心配して騒ぎになった」
楽しげに、そして懐かしそうに笑顔を浮かべる彼。
けれど、なぜ、なぜあなたはそんなに……
「――悲しげに話すのですか?」
「……俺の村はすでに無い。戦いよって消され、村の住人も他の村へと散り散りになって、誰が生きているのか、誰が死んでいるのかも分からない。俺も親は死んでいるのは知っているけどな。だから俺は、村を救おうとしてくれたこの国の剣に成ろうと決めた。そして、この戦いが終われば村の人達を探す旅に出ようと思う」
硬い決意。
それが言葉からひしひしと感じられる。
絶対に見つけてみせる、そう彼は決めていました。言葉に出さずにでも分かるほどに。
「なぁ、アルトリア。もし、この戦いが終わったら一緒に来ないか? 俺はお前と旅がしたい。親友の、いや親友以上のお前と」
「親友以上……ですか」
「ああ。俺が勝手に思っているだけだけどな」
アルトリアとして、その言葉は嬉しかった。
これからずっと話すことが出来る。いろいろなものを見て、いろいろな所へ一緒に行ける。
王として、その言葉は悲しかった。
この戦いが終われば、二度と会うことはできないかもしれない。私にそんな自由はないのだから。
心が、二つの思いに痛みました。
「それに……いや、これは終わったら話すよ」
「気になりますが、ユウがそう言うなら……聞かないでおきましょう」
「悪いな。けど、絶対にいつか話すから」
「その代わり、一つだけ訊いていいですか?」
「ああ」
「もし、私が女であれば、どうしますか?」
「……ぷっ! 何かと思ったら、面白いことを聞くな。そりゃもちろん、愛を告げて口説く」
その後も、今までどおり他愛無い話をして……私は再び王へと戻りました。
次の日の朝……戦場へと赴く前、この後ろに私と共に歩む騎士達の中に、彼がいるのか探す自分を知りながら…
予感だったのかも知れません。その戦いが、私の最後の戦い……モードレッドとの戦いで私は傷つき、死ぬ寸前に聖杯と契約したのですから。
モードレッドを討った私は深手を負い、ベディヴィアと数人の兵と共に、他の仲間の兵の集まる場所へと走っている所でした。
しかし、頭を失った敵兵達は必要以上に私達を追い、森へと入る寸前には私とベディヴィアを残し全員が討たれてしまいました。
ちりちりになっているおかげで、一度に襲ってくる人数は片手で数えれるほどでしたが、馬も無く、追いかけてくる敵兵にもうなすすべも無く、あとは時間の問題でした。
「くっ、相手は歩兵……馬があれば――」
「見つけたぞ!」
「ちっ! ハァアァ!」
後ろから現れる敵兵。
すぐさま剣を持ち迫ってきた数人の敵兵を一瞬にしてベディヴィアが切り伏せる。
しかし、ベディヴィアの剣を振った小さな隙を突いて、一人の敵兵が立っているのがやっとの私へと剣を向けて走ってきました。
「アーサー王!」
「死ねぇぇぇぇ!」
もうここで終わる、そう思った時でした。
過去の思い出、円卓の騎士達の姿、この聖剣を受け取った時の自身の姿、岩から剣を抜き王となった時の自身の姿、そしてユウの姿、いろいろな者達の姿などが頭を過ぎりました。
しかし、その思い出もどこからともなく聞こえてきた馬の声と共に消え、目の前では敵兵が馬の脚に蹴られていました。
「ご無事ですか! ベディヴィア隊長! アーサーお、う――ア、アルトリア?」
「ユウ…」
「お前がアーサー王だったのか」
馬に跨っていたのは、あの森で会っていたユウでした。
驚いた様子で馬を降り、すぐさま私の側により頭を下げる。
「よせ、今までのように接してくれ」
「しかし!」
「頼む」
「……分かった」
そんな私の願いに、応じてくれたユウ。
その後ろでベディヴィアも、私の思いを察してくれたのか、口は挟まないでくれました。
「それで、他の兵は?」
「はっ、アーサー王とベディヴィア隊長を含め、何人かの部隊から連絡が取れず探していたしだいであります。その為、ここには私一人で…」
「集まっている者達の現在地は?」
「この森を西に抜け、谷を越えた平原に大半の者は集まっております。ただ、さらに部隊を分けて谷の入り口にも部隊は集まっており、敵兵の中には降伏している者、戦う者がいる為に戦場は混乱しており確かとは言えません」
薄れ行く意識の中、ユウとベディヴィアの声が聞こえる。
そんな中でも、敵兵は私を狙い現れます。
「アアァァァ!」
「ハッ! ベディヴィア隊長、私の馬を使い他の兵達の所へ!」
木の陰から気配を消し、迫っていた敵兵が現れた瞬間すぐさま切り伏せるユウ。
そして、自分が乗ってきた馬を使い、この場を離れてほしいと言いました。
私はその言葉に、眠りかけていた意識がはっきりと戻りました。
「ま、まて。ユウお前はどうするのだ」
「馬は二人が限界だ。俺はここに残る」
「ならん。ここに一人で残れば討たれるのは眼に見えている。この戦いが終われば町の者を探すのであろう! ここで死んでどうする!」
私の為にその未来を消してはならない。
私なんかの為に、私のせいでユウを死なせたくない。
それに、この戦いが終われば話したいことがある。私はまだそれを聞いていない。
「私に話したいことがあるのだろう! その為にも今は――」
「ああ、話したいことはある。だから、話そう……アルトリア、俺はお前を愛している」
悲しげなユウの顔が私の前に。
そして、それと共に鎧をしている筈なのに、暖かく幸せな温もりが感じられる。
私は……ユウに抱きしめられていました。
「お前が誰でどんな奴かも知らなかった。それはどうでも良かったからだ。俺は目の前には、アルトリアお前自身がいたから」
「あ…」
「さすがにアーサー王だったのは驚いたけど、それでも良い。俺はお前と共にいれば良かった」
「わ、私もユウと共にいれて良かった。お前といると王としてではなく、アルトリアとしていることができた。とても楽しく、幸せだった」
森での楽しい時間。
王として、騎士として、どちらでも無く、ユウといれた時間は、幸せの時間だった。
たった一人の親友。たった一人の、アルトリアの親友。
「ああ、だからこそだ。だからこそ、お前を死なすわけにはいかない。一人でいた俺に出来た、初めてで唯一の親友を死なせたくない」
決意と硬い意志を秘めた瞳。
剣にあった筈の意志と村の人を探すと言った時の決意のように、今は私を助けるという意志と決意が宿っていた。
「だから行ってくれ」
再び感じられる暖かく幸せな温もり。
先ほどよりも強く、強く抱きしめられる。
「ユウ……分かった。必ず追ってくるのですよ」
返事はなかった。けれど、ユウは笑った。いつものように、楽しげで私の好きな笑顔で。
「ユウ、耳を――私は…」
近づいてきたユウを、力を振り絞り私から抱きしめる。
そして小さく、小さく私の秘密を解き明かす。
先に馬へと乗ったベディヴィアの背に捕まり、ユウに支えられながら馬へと跨る、
「アーサー王、大丈夫ですか?」
「ああ。ユウ」
「はい」
震える手で剣を持ち、私の前に片膝を付き頭を下げるユウへと真っ直ぐに剣を掲げる。
「そなたの願い、そなたの想い。王への忠誠に、褒美をとらす」
「はっ!」
「そなたは我が剣となり、我が運命そなたの運命は共にある……ユウ」
「この身この魂、いかなることがあろうともいかなる場所であろうとも、かならずあなたの側にあなたのものにあることを、王アルトリア・ペンドラゴンに誓います」
「ここに誓いは完了した」
「……アルトリア。俺はお前を愛している、いつまでも一緒だ」
「私も、あなたを愛しています、ユウ。いつまでも一緒です」
絶対の誓い。
私とユウはずっと側にある。側にいる。
この誓いは誰にも、どんなことがあろうとも絶対に破れない。
「いたぞー! アーサー王だ! こっちだ包囲しろ!」
「いけっ!」
「アーサー王、捕まってください!」
遠ざかっていくユウの姿。剣を握り、ここは通さないと気迫の見て分かる姿。
その姿を見ながら、私は最後に聞いた気がしました。
「じゃぁな、また会おうぜアルトリア」
その後、森の奥で私はベディヴィアに聖剣を湖へと返すように命じました。
「――それからは知ってのとおりです」
「セイバー……結構、すごいことね。ほとんど告白じゃない」
「しかし、あの時は男として振舞っていましたから……それに、そんなものじゃありませんユウとの繋がりは」
友情、愛情、どんなものにでも当て嵌まる感情、ユウへの想いは、言葉にするのが難しいものです。
「じゃぁーねー兄ちゃん!!」
「おう、またなー」
子供達に囲まれていたユウと同じことをした彼。
解放されたのか、こっちへと歩いてきます。
そして、私達の横を通り過ぎました。
「……ごめん、ちょっと良いか?」
「はい、なんでしょうか?」
「どこかであったか?」
「いえ……初対面の筈です」
けれど、彼が通り過ぎると同時、その彼から声をかけられました。
どこかであったかと訊かれますが、私の記憶には彼と会った記憶はまったくありません。
しかし、前に会った気がするのは私も同じです。
「そうか、悪かったな」
「……一つ訊いてもいいですか?」
「ああ」
「木に登るのが得意なのですか?」
「昔からな。と言っても、高所恐怖症で登ったはいいが、下りられなくなった事もあったけど」
驚きで声が出ませんでした。
彼、ユウと同じセリフ。違いはあれど、言いたいことは同じ言葉。
彼の姿がユウと重なり見える。ああ、だからどこかで会ったことがあるのだ。
彼はそっくりなのだ、ユウに…
「それじゃぁな」
手を振り公園を出て行く彼。
すると、公園の入り口から出た所で、青髪の女の人が彼に走り寄ってきました。
「よう、名雪。届け物は届け終わったのか。わざわざこんな遠い所まで来たんだ、ごめんじゃ済まさないぞ」
「大丈夫だよ。あ、ねぇねぇ苺のケーキが売ってたんだよ」
「……それで?」
「美味しそうだったんだよ〜」
「奢らないぞ」
「紅しょうが」
「ふん、悪いがその手には乗らん。ここに来る前に、誓ったんでな」
「恋人に奢るぐらいいいでしょ」
「誰が恋人だ。俺はたった一人の人に愛を捧げるんだ。二股はせん」
「ど、どういうことだよ祐一!!」
ユウイチ……ユウ、イチ……ユウ。
「ねぇ、セイバー…」
「凛、そんな奇跡ある筈がありません」
「でもね、あなた自身がここにいることさえ奇跡なの。もし転生して、記憶が少しでも残っていても不思議じゃないわ」
確かに。しかし、彼はユウではなく転生したユウ。
私を覚えていても、私が覚えていても、彼の今までの時間がユウとは違う者になってしまっている
だから彼は――
「ふっ! 絶対に奢らん。だが、まだ会わぬ運命の人よ、なるべく早く会いに来てください。俺様食事抜きは耐えれそうにありません」
――ユウではありません。しかし、
「シロウ。家に新しい人が増えますがご了承してください。ちょっと攫ってきます」
「ああ……って、攫う!?」
「待ちなさいセイバー! あなた食事抜きで動く気になったでしょ!!」
「なにを言うのですか凛。騎士として、困っているのが見過ごせないだけです」
「セ、セイバー!? ――あーもう、今までのシリアスな雰囲気はどこいったのよ!!」
後ろから聞こえる凛の声。
しかし、私は騎士です。目の前で困っている、それにユウが転生したかもしれない人を見過ごすことも出来ません。
「祐い――」
「失礼」
「――ち? あれ?」
一瞬で彼を攫い、再び視界に入る前に消え去る。
そのまま、シロウの家へと屋根の上を走っていく。
「さっきの人だよな」
「はい。いろいろな事情が重なり、申し訳ありませんがこのような行動を取らせていただきました」
冷静な彼。
屋根の上をかなりのスピードで走っているのに、全くと言っていいほど動揺しません。
まるで、当然のようにいます……一度も下を見ようとしませんが。
「まぁ、別にいいけどな――なぁ、やっぱりどこかで会ったことないか?」
「さぁ、現代では覚えがありませんね」
「まるで過去なら会ったことがある言い方だな」
「それはどうでしょうか?」
「まあいいか。よろしくな、えーと」
「アルトリアです」
「これからよろしく、アルトリア」
それから数日後、新たな戦いにおいて私とユウイチの関係が分かることに。
それ以前に、新たにシロウの家に加わったことで一騒ぎありましたが…
あとがき
rk「祐一×セイバーと言い切れないが、まぁ……です」
祐一「えーと、俺はユウと呼ばれる、過去にセイバー…アルトリアが愛した親友でいいだな」
rk「イエス。セイバーにも、心を許せる親友がいただろうと思ってね。ギルガメッシュにもいるし」
祐一「男だよな?」
rk「ノンノン! この関係に、男だとか女だとかそんなものはナッシング。純粋な絆なんだよ」
祐一「絆ね……そういえば、街が違うだろ」
rk「おつかい」
祐一「おつかい?」
rk「そう、おつかい」
祐一「……おつかい、か」
rk「さて、いろいろ無理があったかも知れませんが、気にせず見てくれれば幸いです」
祐一「それでは」
rk・祐一「また〜」
rk「今回、攻撃されなかった」
祐一「感想しだいで、“約束された勝利の剣”来るけどな」
rk「……“熾天覆う七つの円環”の練習、しとくわ」