月下に舞う剣。
炎を纏い。光を纏い。
時には激しくぶつかり合い。
時には互いを避けてゆく。
炎剣が踊る。
光剣が瞬く。
2人の剣士が、踊ってる。
離れてはくっ付き。
くっ付いては離れ。
そう、それはまるで、月下で踊る………。
「マジカル☆ハンターゆういち 〜想い出はリリカルなのはと共に〜」
始まります。
第5話。「決着」
銀が、閃く。
夜の蒼に、剣の銀が閃く。
……躱す。
白光が舞う。
月の光に呼応するよう、白き光が闇を切り裂く。
……受け止める。
―――――――――勝負は、拮抗していた。
「もう、剣と剣での戦いは止めにしないか?」
提案。
それは、勝負を決めようとする、焦りの表れ。
互いに、あまり体力は残されていなかった。
「………それに。
互いに切り札は隠しているようだし……な?」
そう、それは賭け。
………決着を求めた、戦士の賭け。
「よかろう。その提案、受けた。」
毅然とした態度で、それを受けるシグナム。
「感謝する。
…………では、行くぞ!」
「CARD SLASH "MIRROR"」
静寂を切り裂いたのは、カードを切った声だった。
―――――――――ゾクッ
戦慄が、場を駆け巡る。
剣を携えた死神が、シグナムの背後を取っていた。
―――――――――ブゥン……!
背後からの光刃。
間一髪、シグナムは体を捻ってそれを躱す。
「………どうやって、私の背後を取った……?」
それは、純粋たる疑問。
戦士として熟成しているはずの自分が、何故こうも簡単に背後を取られたのか。
ただ、漠然とした、疑問。
「………自ら、持ち札を教える馬鹿は居ないさ………!」
挑発。
お前も、切り札を出して来い。
その上で、俺はお前を打ち砕く………!
「よかろう。
どのように背後を取ったかは知らぬ。
……だが、全方位を攻撃すれば背後は取れない!
レヴァンティン!」
剣が、蛇のように伸びる。
シュランゲ。それはシグナムの全方位を覆う強固な刃の盾となり、矛となる。
幾重もの銀閃が、闇夜を切り裂いていく。
――――――それでも。
背後からの一撃。
とっさに、鞘でそれを受け止める。
勢いを殺しきれず、地面に叩きつけられる。
――――――檻は、意味を成さなかった。
(……高速移動は在り得ない。通り抜ける道がない。
ならば何だ?空間跳躍?分身?それとも………)
思考が駆け巡る。
いくつもの可能性が出ては消え。出ては消え。
それでも、結論は出ない。
……情報が足りない。ならば、突っ込むのみ……!
「レヴァンティン、カートリッジロード!」
「Explosion.」
剣が燃え上がる。
それを構え、高速で突っ込むシグナム。
(……こいつにはもう一度同じことをすれば種が明かされる…!
ならば……!)
「突っ込むぞ!セイバーーーー!」
「CARD SLASH "SPEED"」
受けてたつと言わんがばかりに突っ込んでいく祐一。
再び、剣が交わった。
シグナムが袈裟斬りに斬り付ける。それを重心をずらして受け止める祐一。
受け止めた勢いをそのまま利用しその場で一回転。斜め上方から斬りかかる。
剣を斜めにしてそれを受け止めるシグナム。その場でしばし鍔迫り合い……!
祐一がシグナムを右足で蹴飛ばす。だが、シグナムはピクリとも動かず、そのばに留まったまま。
……ミスキック?その場に居た誰もがそう思った。
だが、彼は目を閉じて笑っていた。
「CARD SLASH "THE SUN"」
その場を強烈な光が襲う。
夜が昼になったなどという表現など生温い。
夜の闇で包まれていた場が文字通り閃光に包まれていく…!
「くっ…!レヴァンティン!甲冑だ!」
「Panzergeist.」
目を閉じるのが一瞬遅れたシグナム。
何が起きても対応できるよう、自身を纏う甲冑に身を包む。
「貫け、迅雷!」
「CARD SLASH "THUNDER"」
雷がシグナムを貫こうとする。
それは甲冑に阻まれ、それでも尚消えることなく対象を貫こうとする。
ギリギリの攻防を制したのは、雷だった。
甲冑を貫いた雷が、シグナムをも貫く。
「ぐっ……!」
だが、大部分を甲冑に阻まれた雷はたいしたダメージを与えられるはずもなく。
すぐにシグナムは起き上がり、相手へと突っ込む…!
大上段からの攻撃。まともに相手することなく、躱す。
横方向からの袈裟斬りをかける。身を屈めて躱される。
剣先を向けて真っ直ぐ突いてくる。打ち払う。
右足で蹴りを入れる。肘に阻まれる。
斜め上方からの斬り。受け止める。
左足で蹴るフリ。かからない。
右足で蹴りを入れる。またも肘に阻まれる。
斜め下方からの袈裟斬り。打ち上げる。
蹴りを入れるフリをして距離を開ける。………かかった!
「轟け、剛雷!」
巨大な斧の形をした雷がシグナムの頭上へ襲い掛かる。
間一髪躱す。
「まだまだ!行け!雷の矢!」
無数の雷の矢が降り注ぐ。雷の斧を躱して体制を崩したシグナムは……。
ほとんど、地上を滑空するような体制で、攻撃範囲を離脱する。
勝負は付かない。
先に切り札を切ったのは、シグナムだった。
「レヴァンティン!」
「Bogenform.」
レヴァンティンが、弓の形へ変わっていく。
(………相手は速い…!当てられるか!?)
狙いを定める。弓を引く。
狙いがずれる。照準を合わせる。
またずれる。また合わせる。
照準が、合った。
「翔けよ、隼!」
「Sturmfalken.」
矢が、一直線に向かっていく。
それは、吸い込まれるかのように対象へ突き進み。
当たる………!
「ふっ……」
誰もが思ったその瞬間。
それを待っていたかとでも言うように。
「行くぞ、セイバー。」
「O.K. master. CARD SLASH "SPEED" "MIRROR"」
祐一も、切り札を切る。
高速で平行移動する。
残像が残像を生み。
残像が質量を持つ。
それらは、全てが本物で。
全てが、偽者だった。
シュツルムファルケンが1つに当たる。
それは、確かに対象に突き刺さり。
その存在を奪っていった。
………そう、一つだけ。
砕け散る。
偽者が、砕け散る。
砕け散った偽者は綺麗な鏡のかけらとなって。
シグナムの視界を覆う。
月の光を浴びた鏡のかけらはきらきらと素敵に輝いて。
とても幻想的だった。
誰しもが見惚れただろう、その光景に。
それが、戦闘中でなければ。
高速で大量の存在が一斉にシグナムへ斬りかかる。
甲冑はもう間に合わない。躱すのも全力でシュツルムファルケンを打った今ではもう無理だ。
ならば。
………全て、打ち払うのみ…!
一。二。打ち払う。
三。四。まだいける。
五。六。まだだ、まだだ。
七。八。まだ戦える。
九。十。まだなぎ払える。
十一。十二。主のためにも、まだ戦う。
十三。十四。私は、負けるわけにはいかない。
十五。十六。私は、騎士なのだから……!
十七。十八。
十九。二十。二十一。二十二。二十三。二十四。二十五。二十六。二十七。二十八。二十九。三十。三十一。三十二。三十三。三十四。三十五。三十六。三十七。三十八。三十九。四十。四十一。四十二。四十三。四十四四十五四十六四十七四十八四十九五十五十一五十二五十三五十四五十五五十六五十七五十八五十九六十……………
受けきれない刃がその身を傷つける。
それでも立ち続け、払い続け。
尚、戦う。
負けられない理由がある。
騎士と言う誇りのため。自身が最強だと証明するため。
………そして、主のため……!
全てを打ち払い終えたシグナムは、気を失っていた。
それでも尚立ち続ける様子は、月の光を浴びて、美しく輝いていた。
騎士は、立ち続けた。負けても尚。自分は勝ったと誇っているかのように。
自身のため。誇りのため。そして、主の為に。
長い長い。
闘いの決着は。
「………ふぅ。よくやったよ、アンタは。」
祐一に、軍配が上がった。
はい。「決着」を送りました。
今までのようにうまく行かず、改めて戦闘描写の難しさを思い知らされたような気がします。
というわけで、この話は不満たらたら。後に修正する可能性大です。
特に前半部分。どーよ、と言いたくなりますが…。
では皆様。今回はいつもより多めに感想ください。とくに、此処をこうしたらもっとうまく見えるんじゃないか、とか。
……あ、でもこの前酷評貰って著しくへこんだんで、なるべく優しい口調でね?
では、JGJ様。感想をどうぞ。