「・・・・・・・・・信じられない」
アスランは頭を抱えていた。
先程今日見知ったばかりの少女と再会し、その少女から話を聞いた。
が、その話はアスランの予想を遥かに凌駕していた。
ここは、『アースラ』という時空間を行き来できる艦の中だという。
最初に聞いた時は冗談か何かだと思っていた。
時空を行き来できる艦?そんなキラがよく見ているアニメや漫画やSFじゃあるまいし。
とまったく信じていなかったのだが、フェイトの話を聞いていると、
それも現実身を帯びた事実となってくる。
だが、いきなりそんな非現実的な事を言われて信じろというのが無理だ。
「じゃあ、これでどう?」
フェイトが差し出した手の上に発生する光の玉。
種も仕掛けも何もない。
それを見せられると信じるしかない、目の前にある現実という名前の真実を。
「・・・・・・本当にこの世に魔法があるなんて・・・」
「まぁ・・・信じられないのも無理はないと思うけど・・・」
「あぁ、今でも信じられないが・・・信じるしかないんだろう」
そしてフェイトに案内される部屋へと入る。
そこには先客がいた。
「フェイト」
「クロノ」
隣にいる少女の名前を言ったその先客にフェイトも同じように返事をしていた。
どうやらフェイトの知り合いのようだ。
見た目は俺達とほとんど変わらないぐらいだけど・・・。
「アスラン」
「え?」
「ここに座って」
そういって手招きされたのは部屋の中央にあるソファー。その向かいには先程クロノと呼ばれた少年が座っている。
「あ、ああ」
ソファーに座ると、フェイトはクロノの隣に座る。
「始めまして。僕は時空管理局・本局執務官、クロノ・ハラオウンだ」
「俺はアスラン、アスラン・ザラです」
「早速だが、いくつかの質問をしたいんだが・・・」
「あ、はい」
クロノの質問に淡々と答えていくアスラン。
そしていくつかの質問が終わると、はぁと一言ため息をついたクロノ。
「クロノ?」
「・・・つまり、君は今日帰宅中に公園で何者かに襲われたということか」
「ああ、だけど、襲われたといっていいのかわからないんだが・・・」
何せ"手"が出てきたんだからな。という非現実的な状況を思い出すアスラン。
「・・・そうだ!キラ!」
「?・・・ああ、君と一緒に運ばれてきた彼の事か」
「キラもここにいるのか!?」
アスランの目の色が一気に変わる。
「う、うん。今は部屋で眠っているはずだよ」
アスランの気迫に押されつつ返答するフェイト。
「大丈夫なのか?」
「ああ、彼も君と同じで魔力を奪われただけで、命に別状はない」
「そうか・・・」
ほっ・・・と胸を撫で下ろす。
「しかし・・・なのはといいはやてといい君達といい・・・あの世界にはどれだけ魔力保持者がいるんだ・・・」
頭を抱えるクロノ。
「でも、俺今まで魔法なんて使ったことも見たこともないんだが・・・」
フェイトの話ですら疑心暗鬼だというのに。
「・・・ちょっと待て」
何か引っかかりを感じたアスランが会話の流れを止める。
「ん?なんだ?」
「どうしたの?アスラン」
「今、『"なのは"といい"はやて"といい君達といい』って言ったよな・・・・・・それって、まさか・・・・・・」
「ああ、なんだ二人とも面識はあったのか」
「だから今日ウチのクラスに転校して来たんだって」
「・・・・・・・・・高町と八神も魔法使いなのかぁっ!!!?」
自分の周りには魔法使いばっかりなのかと知ってしまった少年の心境は、とても複雑に困惑していた。
魔法少女リリカルなのはA’s SEED
第03話「明かされる事実と変わる日々、なの」
同刻。
「・・・・・・う、うう」
キラの意識は覚醒した。
目を開けてみる。目の前に広がるのは先程もみた見慣れない天井。
(・・・ああ、やっぱりさっきのは夢じゃなかったんだ)
先程までの事は夢だと、信じたかった。だが、目の前の天井は今もそこにある。
(これから僕・・・どうなるんだろう・・・?)
知らない所に連れて来られて、知り合いも誰もいないこの場所で。
(そういえば・・・・・・)
先程意識を失う前に誰かに会ったような気がした。
その誰かは自分の名前を読んでいたような気がした。
その姿を必死に思い出そうとする・・・・・・が、思い出せない。
(あれは・・・誰だったんだろう?)
そう考えていると、部屋のドアが開いた。
誰か入ってきたのだろうか?体を起こしてその姿を見ようと思い、体を起こそうとするが、
先程と同じでやはり体が重い。
「う・・・・・・」
「キラ君!?」
「・・・・・・え?」
その声に反応して視線を向ける。
するとそこには、
「・・・・・・高町さん?」
今日会ったばかりのクラスメイト、高町なのはがいた。
「目が覚めたの?体は大丈夫?」
「・・・えと・・・?」
キラの脳内は現状を把握できていなかった。
「・・・・・・キラ君?」
「・・・・・・・・・」
「えと・・・大丈夫?」
ひょこっと下から顔を覗き込んでくるなのは。
「え!?あ、いや、その、だ、大丈夫!!」
舌がうまく回っていない。すぐ近くになのはの顔があり、恥ずかしくなる。
「顔がなんだか赤いけど・・・」
「だ、大丈夫、大丈夫」
「?」
不自然な返答をするキラに疑問を抱いたが、まぁ大丈夫というのならそうなのだろうとなのはは判断した。
そしてフェイトへと念話を送る。
(フェイトちゃん?)
(なのは?どうしたの?)
(キラ君が目を覚ましたよ)
(わかった、それじゃ今からそっちへいくよ)
(うん、お願い)
「・・・・・・あの」
「ふぇっ!?」
念話中に不意に掛けられた質問に驚くなのは。
幸い念話は終了しているので向こうには聞こえていない・・・はず。
「あ、えと、ごめん、ここはどこなのかなって・・・?」
「あ、それは・・・えーと・・・・・・」
「?」
なにやら言葉に詰まって歯切れが悪い。僕そんなに変な質問をしたっけ?
「あ、あのね・・・驚かずに聞いてほしんだけど・・・・・・」
「??」
なのはの説明を受けて、呆然とするキラ。
ここは時空を行き来する艦『アースラ』の中。なのは達は魔法使いで、自分にも魔法が使えるという。
信じられない。その言葉しか出てこなかった。
が、その後入ってきたアスラン、フェイト、クロノの言葉も同じ様に言う。
みんなで僕をからかってるんだとも思ったが、アスランも一緒になってというのはないだろうと思った。
「俺も信じられなかったが、こうなったら信じるしかないだろう」
半分諦めた状態で嘆くアスラン。
「とりあえず君にも事件の詳細を聞きたいんだが、いいか?」
「あ、うん」
そして起こった事をありのままに話すキラ。その詳細はほぼアスランの証言と一致する。
「・・・やはり今回の事件・・・」
質問が一通り済んだ後クロノが漏らした言葉。
「クロノ?何か心当たりがあるの?」
その言葉に引っ掛かりを感じたフェイトが問いかける。
「・・・最近、魔導師が襲われる事件が多発している事件があってな」
「襲われる?」
「しかも、Aランク以上の魔導師限定で、襲われた魔導師は全て魔力を抜かれている」
「そんなことが・・・」
不安げな表情になるなのは。
「ああ、今月に入ってもう6件だ。そして今回の彼らへの襲撃。同様に魔力のみを奪われている・・・。
一連の事件との関わりがあるかはまだわからないけど、同じ犯人による可能性は極めて高い」
「・・・・・・」
話の展開についていけないキラとアスランだったが、
話している内容からして事件はどうやら大きなものであるということは何となくわかった。
「あの・・・一ついいですか?」
おずおずとキラが手を上げる。
「なんだい?」
「僕達・・・いつ家に帰れるの・・・かな・・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
いきなりの思いも寄らない質問にフリーズしてしまう三人。
「え、え〜と・・・」
「ど、どうしようクロノ?」
「・・・とりあえず今日はもう帰ってもらうことにしよう。夜も遅いし、僕もそろそろ上がることにするよ」
「そうだね」
「それじゃ帰ろうか」
「キラ、立てるか?」
「うん、なんとか」
そして案内されるまま転送装置へと行き、一瞬にして先程までいた公園に移動する。
「・・・本当にワープしたんだ」
「・・・ああ」
あまり体感的には感じなかったので違和感があったが、一瞬にして景色が変わったことには素直に驚いていた。
「ああ、そうだこれを渡しておかないと」
ポケットから出したビンをキラとアスランに渡すクロノ。
見るとビンの中には白い粒のようなものが入っている。
「これは?」
「リンカーコアの修復を早める作用のある薬だ。一日に一回、寝る前に飲むようにしておいてくれ」
「わかりました」「わかった」
もらったビンをポケットにしまうキラとアスラン。
「それじゃ、俺はこっちだから・・・」
そう言って踵を返すアスラン。
「うん、おやすみ、アスラン」
「「おやすみ」」
「ああ、おやすみ」
タッタッタッ・・・と走っていくアスラン。その姿はすぐに小さくなって消えてしまう。
「さて、それじゃ僕達も帰ろうか」
「キラ君の家ってどこ?」
「僕の家はすぐそこにあるよ」
そして四人で歩くと数分後にはキラの自宅へと着く。
「それじゃ、今日はありがとう」
「おやすみ、キラ君」
「「おやすみ」」
「おやすみ〜」
そして家に帰るとこってり怒られたキラ。
送っていくだけだったのが、二時間以上も経過していたのだ。
とりあえず言い訳として「アスランの家でちょっと遊んでた」と言っておいたので、まぁ大丈夫だろうと思う。
アスランも自宅に帰ると、すでに家の明かりがついていたので両親が帰ってきたのだろうと思った。
母、レノアは心配していたが、「キラの家で遊んでいたらこんな時間になって」と嘘をついてしまった。
ヤマト家で晩御飯を食べるのは知っていたので、まぁなんとか納得してくれた。
ごめんなさい、母さん。
翌朝。
キラは目を覚まして起き上がる。
うん、昨日のだるさはもう抜けたようだ。
もらった薬が効いたんだろうか。
そんなこんなで寝ぼけながら下へ降りていく。
「おふぁよ〜〜・・・」
朝の挨拶と同時にあくびが出ていた。
「もう、いつまで寝てるの。アスラン君達もう来てるわよ。早くご飯食べて用意しなさい」
カリダが洗濯物が詰まったカゴを持って外へ行く。
それを見てからダイニングへと入る。
テーブルの上に置かれたトーストとベーコンエッグがとてもおいしそうな匂いがして、キラの空腹を刺激する。
寝ぼけ眼のまま用意された朝食の前の椅子に座る。
「遅いぞ、キラ」
「ごめんごめん・・・」
「キラって朝弱いの?」
「そうでもないんだけど・・・」
「にゃはは・・・私も朝は結構苦手なんだよね」
「そうなんだ・・・大変だね・・・」
それぞれの言葉に返答するキラ。
そしてトーストをかじって、考える。
(・・・・・・そういえば僕誰に向かって返答してるんだ?)
パチクリと目を開けて見る。
正面にはアスラン・ザラ。
その横にはフェイト・テスタロッサ。
そして自分の横には高町なのは。
うん、名前はちゃんと覚えていた。
「・・・・・・・・・あれ?」
いや、そうじゃない。
「どうした?」
アスランは怪訝そうな顔で見てくる。
「・・・アスラン、これって夢なのかな?」
「?何の事だ?」
「なぜか今この部屋に高町さんとテスタロッサさんがいるんだけど・・・これは夢だよね」
うん、夢だ。そうに違いない。それにしてもリアルな夢だなぁ。
「・・・・・・キラ」
ん?何?ドリームinアスラン。
すっと伸ばされたアスランの手が僕のほっぺを握って、
ひねる。
「痛い痛い痛い痛い!!!!何するんだよアスラン!!」
つねっていたアスランの手を払いのける。
「痛い?」
「そりゃそうだよ!!」
ヒリヒリする頬を撫でる。
「なら夢だと思うか?」
「・・・・・・・・・・・・あ」
「ア、アスラン、そこまでやらなくても・・・」
「キラ君、大丈夫?」
「・・・・・・・・えーと・・・・・・・・」
頬が痛い、痛みを感じる、痛い=夢ではない。
「これ夢じゃないのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!???」
キラ・ヤマトは完全覚醒の叫びを上げながら二階へと駆け上がっていく。
数分後。
制服に着替えたキラが高速で降りてくる。
「あ、おかえり」
「た、ただいま・・・じゃなくて!」
「「?」」
「アスランッ!」
「何だ?」
「どうして二人がここにいるのっ!?」
この自分が焦っている状況化でさも当たり前のように新聞を見ている親友に質問を投げかける。
「・・・それは俺よりも二人に聞いた方がいいだろう」
「そ、それもそうだね・・・えと、二人はどうして?」
視線をアスランからなのはとフェイトへと向ける。
「あ、それはね・・・・・・」
時を遡って昨夜、キラを送った後。
帰り道にクロノが口を開く。
「彼らは二人のクラスメイトだったよな」
「うん」「そうだよ」
「・・・なら明日から通学は一緒の方がいいかもしれない」
「?」「どうして?」
「二人がまた襲われる危険があるかもしれないからな。一応アースラの方でも見ておくけれど・・・
でも今回の事件みたいに結界を張られると厄介だし手出しできないからね」
「確かに・・・」
「だから今回の事件が落ち着くまでは二人の護衛をしてやってくれ」
「うん」「わかった」
「・・・・・・というわけなんだよ」
フェイトの昨晩の回想and説明が終了する。
「俺も驚いたよ、キラの家に行こうとしたら玄関で二人が待っていたからな」
「でもアスラン君も朝早いんだね。私達結構早めに家を出たのに、着いた直後にアスラン君が出てきたから」
はぁと一言ため息をつくアスラン。
「・・・昔からの習慣で"誰かさん"を朝から起こさないといけないという習慣がついてしまっているからな」
「あ、あはははは・・・・・・」
乾いた笑いで誤魔化そうとするキラ。
「とりあえず早く食べてくれ」
「あ、そうだった!」
先程かじったトーストをいそいそと頬張る。
そして食べ終わるとまた自分の部屋へと駆け上がり、鞄を取ってくる。
もうすでに三人は玄関の外で待ってくれている。
「それじゃ母さん、行って来まーす!!」
「あ、ちょっと待ちなさい!」
「え?」
「お弁当、忘れてるわよ」
差し出される今日の昼食の入ったお弁当箱。
「ああっ!!ありがとう母さん!」
「あと、これ」
ポケットから何かを取り出し、僕の手に渡してくる
「これ・・・ペンダント?」
見ると、紐の先に、青いクリスタルのようなものがついてる。
「お父さんから、これを着けてなさいって」
「え?なんで?」
「さぁ・・・とりあえず着けておきなさい」
「うん、わかった」
そういって首に通して、服の中にしまう。
「それじゃ、行って来ます!!」
「行ってらっしゃい、車には気をつけるのよー!!」
「わかってるよー!!」と言葉を言いつつ玄関を出て行くキラ。
そしてその出て行く玄関を見つめるカリダ。
「・・・・・・これが、あの子の運命、なのかしら・・・・・・」
カリダの呟いた声は、誰にも聞こえない。
to be continued・・・・・・。
あとがき。
望「ども、神輝 望です。今回からはあとがきは台詞っぽく行こうと思います!」
キラ「台詞っぽくって・・・」
アスラン「で、なんで俺たちまで?」
望「まぁまぁ、メインキャラがあとがきの座談会というのを一度やって見たかったんだよ!!」
キラ&アス「そんなことしてる暇があったら続きをさっさと書け!」
望「・・・すぃません・・・orz」
キラ「で、次ってどうなるの?」
望「へ?」
アス「いやだから第4話」
望「・・・・・・まだ構想中」
キラ&アス「・・・・・・・・・」
望「だからまだ出来てってちょ、なんで蹴るの!痛い!痛い!!」
キラ「さて、では駄目な作者を差し置いて」
アス「次回、魔法少女リリカルなのはA’s SEED第4話!」
キラ&アス「『タイトル未定』にドライブ・イグニッション!!」
望「おお!決まった!」
キラ&アス「決まってないっ!タイトルぐらい考えとけーっ!!!」
望「ごめんなさーいっ!!」