フェイト(以下フェ)「ごめんね、祐一」
祐一(以下祐)「気にするなって、リンディさん達が長期出張で留守なんだから俺が行くしかないだろ?
というかなんで事前にそれを伝えておかないかな」
フェ「……ごめん、祐一に来てもらいたくてわざとなんて言えないよね……」
先生(以下先)「それじゃあ、ハラオウンさん、どうぞ入ってきてください」
祐「ほら、行くぞ」
フェ「うん、失礼します」
先「はい、え、えっと、そちらの方は……?」
祐「あ、フェイトちゃんのところに居候してる相沢祐一です。
フェイトちゃんの保護者が急用で来れなくなってしまったので代わりに来ました」
先「ああ、ハラオウンさんが言っていた、あの」
フェ「先生、ごめんなさい。でも祐一は私にとってお兄ちゃんみたいな存在だから、いいかなって。
だ、ダメなら、母さんに伝えてまた別の日でも――」
先「いえ、いいですよ。ハラオウンさんがそう言うのだから、彼は信用できるみたいですし。
ちゃんと親御さんに伝えてくれるなら、私は三者面談には誰が来てもいいって思っているから」
祐「先生、ありがとうございます」
先「いえっ、祐一さんが気にすることではありませんから」
フェ(……祐一さん?)
先「そ、それに、ちょうど話をしてみたかったんです。祐一さんのことはハラオウンさんからいつも聞いていましたし。
一体どんな人なのかしらって個人的な興味もあったので」
祐「そうだったのですか、それじゃあ現物見て期待はずれだったでしょう?」
先「い、いえ、そんなことは……落ち着いて私、一目惚れなんて今時漫画でもないこと……」
フェ「先生、そろそろ本題に……」
先「はっ?! ご、ごめんね、ハラオウンさん。
それじゃあえーと……成績の方は若干不安な科目もありますが概ねは良好ですね。
学校生活も特に問題はなし。これなら数年後の進路も大丈夫でしょう」
祐「そうですか、フェイトちゃん頑張ってるなぁ」
フェ「それじゃこれで終わりですね失礼しました先生。祐一、いこ? これ以上、先生と祐一をいっしょにしておくのは拙い、かな?」
先「ああーっと、ちょ、ちょっと待ってくれるかな?! まだ面談時間も余ってるし、少しくらい雑談しない?」
フェ「ごめんなさい、実は急ぎの――」
祐「そうだな、どうせ急ぐ用事もないことだし、いいですよ。フェイトちゃんもいいよな?」
フェ「……わかった」
先「それで祐一さんは大学生でしたか?」
祐「はい、教育関係を勉強してるんですけど、どうにも難しくて」
先「そうなんですか。それならそうと言って下されば……よ、よろしかったら、私がいろいろとお教えしましょうか?」
祐「え?! いいんですか? でもなんか悪い気が……」
先「仕事中はさすがに拙いですけれど、それ以外なら暇もしていますし。
……はい、これ私の携帯番号です。わからないことがあったらどんどん電話をかけてきてください」
祐「先生、ありがとうございます。わからないことがあったら電話させてもらいます」
先「いえいえ、同じ道の先輩として当然のことです。あわよくば、家に呼んで、文字通りイロイロと――」
フェ(?! 今、猛烈に嫌な予感が……)