祐「ん……」

フェ「祐一、怪我はない？」

祐「あぁ、なんとかな、ここは一体？」

フェ「わからないけど、周囲に魔力の残滓があるから、どこかに転移されたんだと思う」

ス「いやぁ、ごきげんよう。お二人とも」

祐「お前は――スカラトッティ？！」

フェ「祐一、それじゃあ守備力が上がったイタリア代表の人だよ。たしか、スカｔ――」

ス「スカリエッティだ！　それ以上は言ってはいけないと思うのだよ、フェイト・テスタロッサ」

祐「そんなのはどうでもいい！　どうしてお前がここにいるんだ！」

ス「簡単な話さ、私がここへ君達を呼び寄せたのだからね。プレゼントは気に入ってもらえたかな？」

フェ「プレゼントって、あの小瓶のこと？」

ス「そうさ、あれには魔法をかけてあってね。対象の人物がその小瓶の蓋を開けると同時にここへ強制転送するようにしてあったのさ……まぁ、いらない人物もくっついて来たわけだが」

祐「てことは、ここは敵の本拠地」

フェ「まずは祐一に攻撃を集中させて、ゆっくりと切り崩す……それが狙いか！　スカリエッティ！」

ス「のんのん、まぁ、祐一君を君達から隔離させるという考え方はあっているけれど、
　私は別に祐一君を倒すためにこんな作戦をとったわけじゃない」

祐「じゃあ、何が目的だ？」

ス「ちょっと手伝ってもらいたいんだよ。最近、私の愛しの作品達が色めき立ちはじめてね。私じゃもう手が付けられない」

祐「お前が敵の俺に頼みごとだと……この基地の破壊の手伝いだったら、無条件で手を貸してやってもいいぞ？」

ス「あっはっは、冗談がきついねぇ、祐一君」

祐「スカリエッティ、わかってないだろ？　今、俺達はお前の本拠地にいるんだぜ？」

ス「その言葉、そっくりそのまま返してあげよう。君達は今、私の本拠地にいるんだよ？」

フェ「祐一、高出力のＡＭＦが張られてる。魔法はほとんど使えないよ」

ス「はっはっは、そういうことだよ祐一君。
　いやなに、こっちの望みは簡単なことだよ。君には私の作品達のお兄ちゃんになってくれればいいんだ」

フェ「は？」

祐「へ、お兄ちゃん？」

ス「そう！　あの子達、最近は任務に帰ってきても二言目には君の名前が出るほど惚れ込んでいてね。
　だが、さすがに１２股というのはあれだろう？　だからお兄ちゃんだ。
　もちろん非血縁だから、そのままステップアップしてもおーけ――ぐほぉっ？！」

フェ「祐一、今、この虫、何か言ったかな？」

祐「ふ、フェイトちゃん、落ち着こう、一応ここはＡＭＦが張られてることになってるから」

ス「そうだよ、まったく……これがプレシア・テスタロッサの残した最高傑作だとは……」

フェ「いいから、私達を早く帰してくれないかな？　そろそろ抑えが効かなくなるから」

ス「……優先的に祐一君との時間を君に割こうじゃないか」

フェ「祐一、たまにはスカリエッティに協力してあげるのもいいと思うよ？」

祐「ちょ、即答ですか？！」

フェ「……約束は絶対」

ス「勿論だとも、スカリエッティ嘘つかない……ここで祐一君を逃がしてしまうと、あの子達に殺されてしまうからね」

フェ「そういうことで、ね？　祐一」

祐「な、なんかよくわからないが、フェイトちゃんがそういうのなら……向こうも心配だから一週間だけだぞ？」

ス「ああ、ありがとう祐一君。一週間あれば、祐一君をこちらに引き込むことも……洗脳とか……色仕掛けとか……ぶつぶつ」

フェ（あ、なんか心配になってきた）






こうして一週間の間、祐一君はナンバーズ（＋フェイト）のお兄ちゃんとして働くことになりましたとさ。

ちなみにこれがナンバーズ対機動六課の仁義なき抗争の引き金になったというのはまた別の話。






めでたしめでたし（？）