祐一(以下祐)「石田先生、俺に用があるって聞いてきたんですけど」

石田医師(以下石)「えぇ、この前の経過報告のときに、はやてちゃんに検査を受けてもらったじゃない?」

祐「あぁ、ありましたね……まさか何か異常が?」

石「……非常に言い辛いことなんだけれど、はやてちゃんの体内から今まで確認されなかった新種のウィルスが発見されたの」

祐「そんな?! は、はやてちゃんは助かるんですか?」

石「とりあえず現時点では命に別状はないみたいだから安心して。ただ――」

祐「ただ?」

石「これはあくまで現時点での話。これからはどうなるかはわからない。
 今までに発見されなかったのだから、今後の人体への影響に関する資料もあるわけがないし、勿論そうなった時の対処法も確立されていない」

祐「……はやてちゃんには?」

石「勿論伝えていないわ。このことをまず祐一君に話したのは、シグナムさんや、シャマルさんのようなはやてちゃんの身内では、はやてちゃんに勘付かれる可能性があるかもしれないからなの」

祐「それで先生、どうすればいいんですか? 俺に話したってことは俺に何かできることがあるってことですよね?
 はやてちゃんは大事な友達だし……俺にできることがあればなんでもします!」

石「(しめたっ)それはよかった、実は祐一君に頼みたいことがあったの。
 実は新種のウィルスに対処できるのではないかと個人的に調合したお薬があるのよ。
 祐一君にはこの新薬の臨床実験に協力してもらいたいのよ」

祐「臨床ですか?」

石「本来はネズミのような小動物から投薬の実験を始めていかなければいけないのだけれど、
 はやてちゃんを蝕むウィルスは今までに確認されていなかったもの、いつ人体に影響を与える存在になるかわからない。事態は一刻を争うわ。だから祐一君、はやてちゃんを救うために臨床に協力してもらえないかしら?」

祐「はい、俺でよければその臨床ってやつ、やらせてください!」

石「わかったわ。薬は粉末状になってるの……色はちょっと怪しいけれど、効果はばっちりよ」

祐「はい、これを一気に飲めばいいんですね」

石「えぇ、お薬は砂糖のように甘く調合しておいたつもりだから、安心して」

祐「はい、では相沢祐一、いきます!」

(殺った!!)

は「ちょーっと待ったぁ!」

二人「「?!」」

は「石田先生、私の体の中にウィルスがあるなんて話、初耳です」

石「……聞かれてしまってはしょうがないわね。そうなの、だからこれから祐一君にお薬の臨床をしてもらおうと思っていたところなのよ」

は「……祐一さんをそんな目にあわせるなんてあかん。そのお薬は私が飲みます!」

祐「は、はやてちゃん?! 本気なのか?」

は「本気も本気。どうせ倒れるなら前のめり。せやから、そのお薬私に渡してくれへん?
 あとで家に帰ってから飲ませてもらうから。経過報告は今度の定期健診でいいですか?」

石(くっ、なかなかに手強いわね)

は(そんな小細工で私の目を誤魔化せると思わん方がええよ?)