※あくまでこれは「魔法青年」の外伝です。
よって、一部ストーリー、キャラの性格などに脚色が加えられています。
ご了承ください。
北の街での事件が終わり、私達は元の生活に戻っていきました。
ある者は魔法界に―――
ある者は時空管理局に―――
ある者は北の街に―――
そして、私は海鳴市に―――
これは魔法少女と魔法青年のIf。
魔法青年Another Stage―――始まります。
魔法青年A.S.If 〜なのは√〜
――― 事件終結から8ヶ月後 ―――
♪〜〜♪〜〜♪〜
朝、携帯電話から鳴り響く目覚ましのアラームを止め、私は布団から体を起こす。
窓からは眩い朝日が差し込み、今日一日良い天気であると知らせてくれているかのようだった。
「う、うーーん……っと!」
体を思い切り伸ばし、眠気を覚まして、ユーノ君がおきないように静かに私は部屋から出る。
部屋の外は朝独特のひんやりとした空気が満ちていたけど、目的地はすぐそこにあるから気にせずに進む。
コンコン……
目的地であるドアをノックする。
返事はない。私はそのままドアを開けて部屋の中に入る。
非常識だと思われるかもしれないけど私にはちゃんとした理由がある。
そう、祐一さんを起こすというちゃんとした理由が。
「祐一さーん、朝ですよー」
殺風景な部屋。といっても決して殺伐とした部屋ってわけじゃなくて物が置いてない簡素な部屋。
そんな部屋で一番大きな面積を占めている布団の中で祐一さんは眠っていました。
「祐一さーん」
「……zzz」
祐一さんの子供のような無防備な寝顔。
一瞬、このまま襲っちゃおうかと思ったけど、そこを理性でなんとか抑えて、祐一さんの体を揺する。
「祐一さーん」
「うにゅ〜」
ゆさゆさ
「……ニンジンも食べれるぞぉ〜」
はぁ……全然起きる気配がしません。
揺するのを一旦止めて、祐一さんをまじまじと見ます。
眼は髪に隠れちゃって見えないけど、顔の上に整った鼻に、まるで大トロのような鮮やかなピンクの唇。更に無防備すぎる寝顔が魅力を二倍三倍に引き立てています。
……もしかして私を誘ってるんですか?
祐一さんにはそんな気は無いのだろうけど、私からすればこれは甘美な誘惑以外の何ものでもないんですよ。
―――このままじゃ理性がもたない。
そう考えた私は最終兵器を使うことにしました。
「祐一さん、起きてくれなかったら―――」
き、キスしちゃいますよ?
恥ずかしくていつも私は最後まで口にすることは出来ないけど、これが私の最終兵器。
いつも寝てるフリをして粘ってる祐一さんはこれを聞くだけで一発で起きてくれます。
だけど―――
「……zzz」
「ほ、本当に寝ちゃってるの……かな?」
今回に限ってなかなか起きない祐一さんに戸惑いを覚える。
「祐一さん?」
「……zzz」
「ゆーいちさーん?」
「……zzz」
「ほ、本当に起きないと……き、キキキキスしちゃいますよ?」
「……zzz」
「いいのでありますかー? あとでダメって言っても無効なのでありますよ?」
「……zzz」
いけないいけない。緊張の余りに変な日本語になってる。
でも、未だ祐一さんからの返事は無い。
……こ、これってOKでいいのかな?
祐一さんに……キスしちゃってもいいのかな?
私はそっと布団の上に跨り、祐一さんの顔に少し火照った自分の顔を―――
「……んにゃ?」
「?!」
―――近づけたその時、ナイスタイミングとでも言わんばかりに祐一さんが眼を覚ましてしまいました。
この絶妙なタイミング、神様は私に喧嘩を売ってるの?
「……」
「……」
気まずい沈黙。
そんな状況から先に動いたのは祐一さんだった。
「……ん」
「……にゃっ?!」
何事も無かったかのように再び眼を瞑った祐一さん。
へ? こ、これってばっちこーいって意味ですか?
そ、それじゃあ、遠慮な―――
ガチャッ
「祐一、早く起……き…………な、なのはにナニをしようとしたぁぁぁぁ!!」
「のわっ?! 恭也、誤解だから、剣を抜くなぁぁぁ!!」
本当に神様、私に喧嘩を売ってるんですか?
8ヶ月前、北の街で起こったユンカースの暴走、そしてディアボルガの暗躍を食い止めた私達は元の生活に戻っていきました。
全てが解決し、世界の危機を救った私達。
でも私の想いはそれを境に加速して行った。
―――祐一さんが大好きだという想い―――
今まではそんなことを言っていられる状況じゃなかったから、我慢できた想い。
それは、事件の解決と同時に決壊したダムのように雪崩れ込んできました。
年の差なんて関係ない。
祐一さんに今すぐこの想いを打ち明けたい。
だけど祐一さんは受験生。
祐一さんに告白して、余計な考えを起こさせたくない。
だから、私は賭けにでた。
一世一代の大博打。
――祐一さんが卒業するまでの8ヶ月間は我慢しよう。
その間、私は祐一さんに見合うだけの女性になろう。
毎日でもメールして、祐一さんに忘れられないようにしよう。
それだけやって、祐一さんに彼女がついてしまったら私の負け。
それまで祐一さんがフリーだったら海鳴市へ招待して、私の想いを打ち明けよう。――
フィアちゃんや名雪さん、佐祐理さんにアビスさん。
ライバルは沢山いる、可能性ははっきり言って絶望的。
でも8ヵ月後、祐一さんは答えてくれた。
『俺もなのはちゃんのことが大好きだよ。
仲間としてでも、可愛い妹としてでも無くて、一人の女性としてな』
こうして私と祐一さんの甘い甘い同居生活が始まったんです。
「いらっしゃいませー」
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
「おまたせしました。イチゴのミルフィーユになります」
「お会計、1300円になります。はい、2000円のお預かりで、700円のお釣りです」
「ありがとうございました。また来て下さい」
「よく働くね、祐一君」
「えぇ、居候してる分はちゃんと働きますよ」
「あら、気にしなくても良いのに……」
昼、俺は居候させてもらってるお礼に、なのはちゃんのお父さんである士郎さんが経営している翠屋という喫茶店で働いている。
士郎さんや奥さんの桃子さんは別にしなくてもいいと言うのだが、さすがに何もしないとヒモに見られかねないからな。
なのはちゃんの告白を受けた俺は北の街を離れ、ここ海鳴市で高町家に居候して生活していた。
それにしても、海鳴市は実は俺が進学しようと思っていた大学がある街なのだが、まさかなのはちゃんが住んでる街だったとは……世間は広いようで狭いもんだ。
「祐一君。これ4番テーブルにお願いできるかい?」
「あ、はい」
士郎さんから渡されたトレイを持って4番テーブルへと行く。
「おまたせしました。コーヒーとイチゴの―――」
「あら? 祐一君じゃない」
「こんにちはですー。祐一さん」
「あ、リンディさんにフィアじゃないか」
4番テーブルにいたのはリンディさんとフィアだった。
事件後、リンディさんは通常のアースラの艦長を、フィアは守護者達と共に魔法界から正式に時空管理局で働くよう言われたらしい。
功績が認められたのか、アースラは結構融通が利き、よっぽどの大事件が無い限りはリンディさんはこうやって翠屋に遊びに来てくれているのだが、フィアが来るとは少々意外だったな。
「あれ? そういえば今日はクロノは?」
リンディさん専用の砂糖入れを持ってきつつ、リンディさんに話題を振る。
いつもはフィアの代わりにクロノが来てるんだが、今日は来ていないようだな。
「今、アビスさん、リムさん、エレナさんの4人で少し仕事をこなしてるの。
クロノも残念がってたんだけどね」
砂糖を相変わらずドバドバと入れながら答えるリンディさん。
クロノも事件後すぐに怪我が完治し、今は仕事を悠々とこなしている。
特に守護者チームやフィアと組むことが多いらしいので、現在の守護者のマスターみたいなものだ。
「そうですか。みんな役に立っています?」
「役に立つどころじゃないわ。もう彼女達無しで管理局は成り立たないっていってもいいくらい」
「みんなちゃんと頑張ってくれてるですよ」
「それならよかったです」
「だけど、みんな個性が強すぎてね。やっぱり本来のマスターがいないと……ねぇ?」
やばい。またこの話か?
「ねぇ?」
「ダメです」
「まだ何も言ってないですよ」
「どうせまたスカウトでしょ?」
俺の考えが当たっているのか、二人は顔を見合わせ。
「ね、本当に就職してくれないかしら? 私としてもクロノ、フェイト、祐一君でトップレベルの魔術師三人に守護者という最強の布陣を見てみたいのだけど……」
「週休もあるですし、福利厚生もバッチリ、更にお給料もいいです。それに……私が祐一さんの近くにいれるですし」
フィアの最後の辺りの声が聞こえなかったけど、一生懸命時空管理局のメリットを紹介している。
だけど、どうも気乗りがしない。
あの事件以来、魔石には触っていなかった。
だから今更というのもあるし、俺は所詮ユンカースが無いと魔法すら発動できないヘボ魔術師だ。
まぁ、それは建前の理由でなのはちゃんとの時間を減らしたくないというのが本音なのだが。
「ごめんなさい。俺なんか入っても足引っ張るだけですし」
「そんなことないです! 祐一さんはいるだけで士気が上がるですよ」
「そうそう、クロノも言ってたわよ。
『僕が気絶してる間に祐一はかなり成長したな。
大体、あんなに癖のある守護者をよく扱えていたね。尊敬するよ』って」
「そ、それでも……うぐぅ……」
「アースラに来てくれればフェイトも喜ぶでしょうし、艦のみんなも歓迎してくれるわ」
「あ、あぅ〜」
くっ、いつもよりもスカウト攻撃が激しい。フェイトちゃんを出すなんて卑怯だぞ?
助けを求めたいけど、周りに助けてくれる人がいるわけがない。
普通の会話ならともかく、今話してる話は一般の人には理解不能な話だからな。
「こ、これまでか……」
「やったです! それじゃ、この書類にサイ―――『あーーー!! また祐一さんの引き抜きをしてるんですか?!』」
救世主?!
フィアの言葉を遮ってやって来たのは、学校から帰ってきたなのはちゃんだった。
「祐一さんと私の時間を奪わないでください!」
「あら? 私としてはなのはさんも一緒に来てくれると嬉しいんだけど」
「ダメですっ! そうしたら私と祐一さんの甘々な日々計画がぱーになってしまうですっ!」
「にゃっ?! フィアちゃん! いい加減に諦めてください。祐一さんはなのはの彼氏さんですっ!!」
「いーやです。私が最初に祐一さんに目を付けてたですっ!」
「にゃにゃっ! このドロボウ猫!」
「今の時代は愛人がウケるブームなのですぅ!」
なんか少女が話すような言葉じゃないような気がするんだが?
それと周囲の皆さん。微笑ましくこの状態を見守ってないで止めてください。
特に士郎さんと桃子さん。あんたらなのはちゃんの保護者でしょうが。
「な、なんか話がずれ込んで来ちゃったわね……」
「え、えぇ」
「フェイトも連れてくればよかったかしら?」
「そ、それだけは勘弁してください」
さすがに三つ巴は勘弁してくれ……
「とにかく! 祐一さんは時空管理局には行きません! ほら、祐一さんもお仕事があるんですから」
「あ、お、おぅ……じゃあ、また〜」
なのはちゃんに引き摺られていく俺。
なのはちゃん……パワフルだなぁ……
「ちっ……です」
「また今度にしましょう。フィアちゃん」
「次も今度もないですって!」
当分スカウト生活が続くのを暗示してるかのような発言は止めてください。
「お待たせ、アリサちゃん、すずかちゃん、はやてちゃん、ヴィータちゃん」
祐一さんを仕事に戻して、私は待っている友達の所へと戻ってきた。
「遅いわよ。なのは」
「さっき向こうで言い合ってたけど、何かあったの?」
「なんか修羅場みたいやったなー」
「あはは、気にしないで。ただの猫畜生の戯言だから」
あ、いけないいけない。ついつい本音が。
「そんなこといいから早く注文しよう? あたしもうお腹ペコペコだよぉ」
「あはは、ヴィータは食いしん坊やなぁ」
「それじゃ、祐一さーん、こっちに注文でーす」
「ん、あぁ、はいはい」
注文をするために祐一さんを呼ぶ。
「いらっしゃい。なのはちゃんの友達かい?」
「はい。以前話したと思うんですけど、アリサちゃん、すずかちゃん、はやてちゃん、ヴィータちゃん」
確か、沖縄旅行のときにアリサちゃんとすずかちゃんは話しに出したから判るよね。
「こんにちは。俺は相沢祐一っていって、高町家に居候させてもらってるんだ」
「……」
「よろしく、祐一さん」
「よろしゅーな」
「……ん」
にこやかに挨拶する祐一さんに同じく笑顔で返すすずかちゃんとはやてちゃん。
ヴィータちゃんはやっぱり人見知りが激しいのか、こくんと首を縦に振って挨拶をする。
あれ? アリサちゃんだけ何か考えてるみたいだけど……
「アリサちゃん、どうかしたの?」
「えっ?! う、ううん、なんでもない。
それより注文しちゃお? 祐一さん待たすのも悪いし」
「そうだね。それじゃ、祐一さん―――」
次々に注文していくと、まるで機械のように間違いなく復唱していく祐一さん。
「―――以上でよろしいでしょうか?」
「うん、祐一さん。随分上手くなったね」
「まぁ、慣れだな。百花屋で散々見てきたし」
「あ、あはは……あの頃は大変だったですもんね。それで―――『そろそろ世間話は止めて祐一さんを行かせてあげた方がいいと思うんだけど?』」
祐一さんと私の会話を遮るようにアリサちゃんが口を挟む。
その行動にそこはかとなく悪意を感じたけれど、理由がもっともなので世間話を止める。
「それじゃあ、よろしくお願いします。祐一さん」
「まかせとけ。もっとも、作るのは士郎さんと桃子さんだけどな」
そういって祐一さんが奥に消えると、はやてちゃんが口を開いた。
「にしても、えらいかっこえぇ人やったなぁ」
「……別にあんなのタイプじゃないけど、ザフィーラと比べりゃマシってとこか」
「なのはちゃんとも仲良かったし、居候……だっけ?」
「うん、今年の春から一緒に住んでるの」
「……」
ヴィータちゃん、すずかちゃんと祐一さんの感想を言ってくる中、アリサちゃんだけずっと俯いて黙っていました。
「……アリサちゃん、どうかしたの?」
「……あたし、一目惚れしたかも知れない」
「「えぇっ?!」」
驚いて声を上げる周囲。
というよりも私の声が一番大きかったから他の三人の声が消されちゃったけど。
ま、まさかアリサちゃんも……敵に?
「あ、アリサちゃん? じ、実は祐一さんって私の彼氏さんなの」
「「えぇっ?!」」
先程よりも大きな声で驚きの声を上げる周囲。
よく見たら周りのお客さんがみんなこっちを見ていたので、頭を下げて少し小声になる。
「というわけだから、アリサちゃん……アリサちゃん?」
「……なのは」
「?」
不意にアリサちゃんは私の肩を掴み、眼を合わせて―――
「……略奪愛っていいって思わない?」
いえ、全然よくないですから。それ。
「ふぁ……ふぅぅ」
夜、欠伸を手で押さえて噛み締める。
時計を見ると―――0時。
ふむ、起きる時間を7時くらいとするならば、寝るのには丁度いい時間かな。
俺は参考書を閉じて、枕元に置いて眠ることにした。
こんこん……
「ん?」
「なのはです。もう寝ちゃってますか?」
ノックの主はどうやらなのはちゃんらしい。
俺は布団から這い出てドアを開けると、そこにはピンクのパジャマを着たなのはちゃんが立っていた。
「祐一さん……いいですか?」
「ん? あぁ、どうぞ」
なのはちゃんを部屋の中に招く。
「……」
「……え、と、話があるんだよな?」
「……怖い夢を見たんです」
怖い夢?
「祐一さんが遠くへ行っちゃう夢……祐一さんの隣に私じゃない女の人がいた夢……」
なのはちゃんは自分の体を抱きしめるように腕を回して呟く。
「そんなことあるわけ無いってわかってるんです。
体でわかってても、心が不安を拭えなくって……
私、祐一さんがいなきゃ生きていけないのは自覚してるつもりだったんです。
でも例え夢の中でも祐一さんの隣に私以外の女の子が立ってるって思ったら……嫌な子ですよね。私」
自嘲気味に語るなのはちゃんの様子に、俺はなのはちゃんがそのことをとても深刻に考えていることが手に取るようにわかった。
「なのはちゃん」
そんな小さな体をそっと抱きしめてあげる。
俺はここにいる、どこにも行かないって、そう感じ取ってくれるように。
「なのはちゃんは全然嫌な子じゃない。寧ろ、そう思ってくれて嬉しい」
なのはちゃんは気付いてないけれど、それは立派な独占欲というやつだ。
当然そこまで思われてるのはなのはちゃんの彼氏として悪い気がするはずがない。
「俺はなのはちゃんの傍にいつまでもいる。
寂しい思いなんてさせない」
「……時空管理局にスカウトされても?」
「なのはちゃんが行かなきゃ、俺も行かない」
「……私よりももっと魅力的な人に告白されても?」
「なのはちゃんが俺を嫌わない限り、俺の一番はなのはちゃんさ」
「私の一番はずっと祐一さんです! 嫌うなんて―――」
「なら、そういうことだよ」
うーむ、我ながら臭いセリフだな。
でもこれがありのままの本心。
俺だってなのはちゃんがいなくなったら悲しい。
悲しいどころじゃ無い、きっとなのはちゃんと同じで生きていけないだろう。
それくらいなのはちゃんの存在は俺の中で昇華してる。
抱きつくのを止めると、なのはちゃんが口を開いた。
「……ごめんなさい祐一さん、少し落ち着きました。
ところで―――」
「ん? どうした?」
「寒くないですか?」
「あぁ、そういや少しな。でもこれから布団に入って寝るし」
「で、でもでも、布団って入ったばっかりだと少し冷えてるし」
「……なにがしたいんだ?」
遠回しに何かを伝えようとしてるのはわかるんだが……
鈍感な俺にそれ以上の解釈は無理だぞ?
「え……っと、『湯たんぽ』ならぬ『なのはたんぽ』はいかがかなぁ〜って」
「……」
もじもじと恥ずかしそうにそう言うなのはちゃん。
つまりそれは一緒に寝ろということか?
「だ、ダメですか?」
「……寝るか」
「はにゃっ?! む、無視ですか?」
そそくさと布団に入る俺を見て、なのはちゃんが少し寂しそうな声になる。
むぅ……しょうがない、覚悟を決めるか。
俺は黙って布団をめくり上げる。
「ほら」
「……?」
「寝るんだろ? 一緒に」
「あ、はい!」
最初ぽかんとしていたなのはちゃんだったが、許可が出たということに気付き、嬉しそうに布団に潜り込んで来る。
潜り込んでくるなり、いきなり俺の腕に抱きつく形になるなのはちゃん。
「えへへ……使用者にくっついて直に暖めるのがなのはたんぽの利点なんです」
「……まぁ、悪い気はしないから、いいか」
「はい、いいんです」
俺はなのはちゃんの温もりを腕に感じつつ、そのまま眠りについたのだった。
ちなみに次の日に恭也にこのことがバレ、朝から斬られそうになるのは別の話。
あとがき
いっつあ・なのはーず・わーるどとはこの事かもしれない。
にしてもキャラが壊れまくったなぁ……
30万Hit、ありがたいですねー
というわけで鮭缶さんからのリクエストで『魔法青年でなのはルートにすすんだら?』というのを書いてみました。
いろいろ候補はあったのですが、今回はベターに事件の8ヶ月くらい後で祐一となのはが付き合っている状態というものにしてみました。
大学生と小学生の超年の差カップルだよ、これw
というわけでリクエスト内容に沿えることが出来たのかは甚だ疑問ですが、どうでしょうか?
本当、良いお題貰ってるのにこの程度の文才しか持ってない自分が恥ずかしいです。
ではー
2005年12月15日作成