「これが、真実……?」
「どうかしらぁ? 私にはもうどうだっていいことだもの」
祐一は目を見開いて聞き入り、驚愕した。
拘束されていた祐一も、アビスの姿をした彼女から先程の話を聞いていたのだ。
「だって、私は外に出ることが出来たのだから。
何よりも悔しくて……何よりも憎かった過去なんていらないもの」
アビスの姿をしたボルツネェイは、表側で狂気に染まっている彼女と比べれば落ち着いた印象を持つ。
しかし祐一は知っている。
darkに取り付いていたスコールのような剥き出しの狂気よりも、沖縄で出会った満月のような静かな狂気の方が恐ろしいのだ。
エレナ達の前にいる彼女が前者ならば、今目の前にいる彼女は間違いなく後者だ。
「あなたはただそこで見ていればいいわぁ。すぐに証明できる。
真の守護者たる存在。最強は誰かって――」
「断言しましょう。それはあなたではありません」
祐一の前方に光が集まる。
それは人の姿に成形すると、一人の少女を浮かび上がらせる。
銀色の髪、メイド服、少し俺よりも小さい背、そして何にも動じない力強い瞳。
光が晴れる。
「マスターを傷つけるものは誰だって許しません。
それが例え自分自身であろうと」
「安心しなさぁい、新しい体を貰えたらとっとと出て行くわ。こんな不細工な体」
アビスとボルツネェイの視線が交錯する。
表と裏、光と影、静と動。
決して相容れることのなかった二人の最初で最後の戦いが始まった。
魔法青年 相沢祐一
48幕『裏の戦い』
「強い……」
ユーノには今の光景が信じられなかった。
ユンカースの中でも特に強力な能力を持つ守護者。
その彼女達が三人。
三人揃って攻勢を仕掛けたはずだ。
いくらアビスの能力が強力だとしても、所詮は同列の守護者。
同じ程度の実力者が喧嘩をするなら、もちろん数が勝っている方が有利に決まっている。
ならば何故。
ならば何故、目の前にいる彼の姿を借りた彼女は傷一つなく、数で勝っているエレナ達が地に伏せているのだろうか?
避けて、捌き、殴る。
ボルツネェイが行った行動を言葉にするならこれだけのことだ。
しかし、彼女は柳のような体捌きでリムの槍をひらりと避け、立て板に流れる水のようにミナの攻撃を受け流し、鉄槌のような重い一撃をエレナに放つボルツネェイの姿を見ると、たったそれだけのことなのに、それらがとても難しく、強力な技のように思えてくる。
攻守ともに非常に洗練された体術。しかしそれだけならば、数で優位に立つ彼女達が負ける理由にはなりえない。
体術は所詮どれだけ昇華させても体術なのであって、体術というものは個対個を前提として作られているものがほとんどだ。
個対多を想定した戦い方の存在する体術もあるだろうが、相手はそこら辺の有象無象ではなく、確実に実力者と呼べるほどの力量を持っていて、なおかつ連携もそれなりに出来る守護者である。
どれだけ対複数戦をこなしていたとしても、ここまで圧倒的な戦いにはならないだろう。
苦戦と敗戦の境界。それは――
「あははははっ! この娘の能力を忘れたわけじゃないわよねぇ?」
「迂闊ね。そういう可能性もあったっていうことを失念してた」
――彼女の強さの本質。その能力にあった。
エレナが、リムが、ミナが肉弾戦から移行し、それぞれの能力を発動させようとした瞬間のことである。
ボルツネェイの手が幻のように揺らぎ、気が付くと彼女達の魔法が打ち消されていたのだ。
それはユーノに疑問を、守護者達に驚愕と納得の表情を与え、その隙を突いたボルツネェイが彼女達を吹き飛ばした。
それが今の状況の答えである。
「ちょーっと油断しちゃったわね」
そう言ってエレナが立ち上がる。続くように残りの二人も倣う。
ダメージはそこまでなかったのか、それとも元々タフなのか、全員足元は全くふらついていない。
置いてきぼりになっている気がしたユーノは、この戦いに口を挟むのは野暮だと思いつつも、彼女らに説明を求めた。
「説明しましょう。ボルツネェイが今使った魔術は、absoluteの『忘れ物』よ」
忘れ物。先程の話がまだ記憶に新しいユーノにはそれだけでなんとなくの察しがついた。
「もしかして、さっき言っていた封印されていた能力……?」
「空間魔法っていうのはただ穴あけるだけの能力じゃないってことよぉ?」
ボルツネェイが笑みを浮かべて答える。
能力を実際に行使している彼女自身がそう答えているのだから、それ以上の答えはないだろう。
「空間魔法っていうのは直接空間に干渉をすることが出来る能力なの。
空間に穴を空ける能力も、転移する能力も、空間を一瞬で超爆発、超圧縮して擬似ブラックホールのような現象を起こすことも、ね」
「でも、それは今のアビスさんでもできることなのでは?」
リムの説明にユーノは異論を唱える。
説明に出てきた例は確認の有無はともかく、アビス自身ができると言っていることだけだからだ。
「当然、これくらいの能力じゃ最強なんて看板は貼れないわ。
absoluteが封印指定を受けた能力、それは『空間内の情報量操作』」
「情報量操作?」
「アビスがいる空間内で彼女が認識した全ての情報量を操作することができる。
はっきり言って反則的な能力ですわ」
「勿論、質量や構成によって魔力を大量消費をするし、有機物には使用することは出来ないわ。
だけどこれは私達やあなた達の世界では究極の効果を発揮するの。
……ユーノにはわかるかしら?」
リムは答えを出せないユーノにこう続けた。
――空間内の情報量を操作できるということは、空間にある全てのものを、例えば魔力ですらも操作することが可能だということ――
例えば、敵が行使した魔術に対し、魔術に使われている魔力を0にして、発動を無効にしてしまうこと。
例えば、魔術に使われる魔力を増大させ、威力を上昇させること。
それは少ない魔力で何人もの魔導師が放つモノよりも圧倒的な威力を持つ攻撃魔法を放ち、何人もの魔導師が幾重に防御魔術を展開するよりも早く、そして容易に魔術を防ぎきる。
たしかに対魔法戦が主流の魔法界やミッドチルダでは絶大的な相性の良さだろう。
そして個人として見ても、それに加えて物理には鍛え上げた体術、緊急回避用の空間に穴を開ける能力がある。
やりすぎなほどにまで、身を護ることに特化した能力。
absolute――『戦場を支配できる絶対的な力』――は伊達ではない。
「ねぇ、正しかったでしょう?
魔力を使っている以上、あなた達には私に傷一つ付けられないの」
「どうやらそのようね。私達では彼女にダメージを与えることは出来ないもの」
「って、諦めるの早すぎでしょ?!」
ボルツネェイの言葉をあっさりと認めるリムにエレナがツッコミを入れる。
しかし、リムの表情には絶望の欠片もなかった。
「そうでもないわ。ほら……女神の足音が」
「へ?」
「あーーーーーっ、祐一様だよぅ!」
それはこれから進むべき方向からやってきた。
戦場には決して似合わない能天気な声、天真爛漫を地で行くほどに喜色に満ちた表情、純真さを隠しもしない少女。
いい意味でいえば、戦場に舞い降りた天使のよう、悪い意味でいえば、空気の読めない純粋なバカ。
そんな彼女――ルドラは祐一の姿を見つけると、まるで母親を見つけた子供のように嬉しそうに飛び跳ねた。
「ほらほらぁ、どうしたのかしらぁ?」
アビスとボルツネェイの戦いが始まって数分だろうか。
戦況はボルツネェイの方が優勢な状態だった。
戦闘を見る限り、アビスとボルツネェイの肉体的、魔術的な能力はほとんど同等だ。
ならば何故ボルツネェイの方が優勢に戦いを運んでいるのか。
それは先程から見せられているボルツネェイの能力だった。
「くっ……!」
アビスが空間の穴を開き、その中に腕を突っ込む。
得意技の一つ『トンネルストレート』。
異空間を経由して、遠くの敵へと攻撃することが出来ると同時に、出口の位置を自由自在に変えることで、相手が回避することも困難にさせることが出来るという攻守共に優れた技だ。
「何度も言っているでしょ。
私にはぁ、それは効かないってよおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
叫びと同時にボルツネェイを中心に波動が飛散する。
波動が周囲に拡散すると、アビスの開けた空間の穴を、消しゴムで落書きを消すように消滅させた。
その合間を突いて、ボルツネェイはアビスに肉薄して掌底を入れる。
吹き飛ばされるアビス。
これで十回目だ。さっきから全く同じことを見せられているような気がする。
アビスが空間に穴を開け、それをボルツネェイが掻き消し、反撃をアビスに入れる。
全く同じ流れ、強いて違うところを挙げるなら、それを食らったアビスの吹き飛び方くらいだ。
この攻略が難しい技も、ボルツネェイの能力の前には全く歯が立たない。
くそ、俺の体が拘束されてなければ、今すぐにでもアビスに協力してやれるのに……
「バカねぇ。穴しか開けられないあんたに私の能力が敗れるわけがないじゃない」
「……『相性』だとか、『確率』だとか、『損得』だとか、そういうもので物事を測っていた頃が私にもありました」
ふらふらになりながらも立ち上がるアビス。
こんな圧倒的な状況でも、その目はまだ死んでいない。
それどころか――
「でもそんなもの、実際の戦闘では何も役に立たないってことを知りました。
相性が悪ければ、頭を使って補えばいい。
どんなに確率が低くても、この世界に絶対はない。
そんな考えに浸っていたら、損得を考える前に体が動いてしまうのです。
不思議ですね?」
「何が言いたいの?」
「あなたは昔の私にそっくり。
表面上だけわかった振りをして、結局戦いの何も知らなかった私に。
だから教えてあげたいんですよ。何も知らない後輩に本当の戦いっていうものを」
――彼女は笑っていた。
そんな余裕もないはずなのに、彼女は優しい笑みでボルツネェイをみつめていた。
「バカにするのも大概にしなさい!
今の状況を支配しているのは誰だと思っているの?!」
当然それがボルツネェイの癇に障らないわけがない。
アビスとは正反対に憎悪のこもった眼差しで激昂するボルツネェイ。
「残念ながら、それも私です」
「あんたぁ……」
ボルツネェイが再び、アビスに襲いかかろうとした時。
「『claw』、『chain』! 二つの魔石を融合し今、新たな魔法として生まれ変われ!」
先端に鋭い爪のようなパーツを備えた五本の鎖をボルツネェイの足元に進行を妨げるように突き刺す。
――アビスによって拘束が解かれた俺が。
「アビスの言う通りさ、あんたは大局を見るべきだった」
「これで二対一。さぁ、もう一度、今度は私から問いましょう。
今の状況を支配しているのは誰でしょうか?」
アビスが何度も吹き飛ばされている時、俺は自分の体を自由に動かすことができることに気がついた。
アビスはただ闇雲に突撃していたわけじゃない。
俺を救助するために、わざと大きなモーションで魔術を使用していたのだ。
その裏でやっていた、解除作業を完全に隠蔽するために。
「う、嘘よ……嘘よ嘘よ嘘よ嘘よっ!
あんたの能力であの拘束が解けるわけ――」
「知っていますか、穴というのは常に円形をしているわけではないのですよ?」
穴というのは様々な形が存在する。
円形、四角形、三角形、星型、例えそれがどんな形であれ、空間と空間を繋ぐ入り口が出来ればそれは全て穴である。
そう、アビスは俺を拘束する器具だけを綺麗に空間の穴で切り取り、俺を脱出させたのだ。
「そんな、ばかな。わたし……まけるの、まけるの? まけるの?!
まけたくなんかない、わたしはさいきょうよ。わたしはだれにもまけない。
わたしは勝ち続けて、この世界に、認めてもらうんだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
「かかってきなさい、ボルツネェイ。私と相沢様がお相手しましょう」
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
先程までの余裕の表情も見る影もなく、野生の獣のように襲い掛かってくるボルツネェイ。
それは先程のような能力を使いこなしたスマートな戦い方と比べれば泥臭いものかもしれない。
だけどそこにはボルツネェイの敗北への恐怖が、ユンカースへの憎しみが、世界に認めてもらいたい願望が、全てぶつけられている。
こうなったらさっきのような小細工は通用しないだろう。
能力の質なら、向こうの方が遥かに上なのだから。
「はあっ!」
ボルツネェイに向かってアビスが左ストレートを放つ。
顔に吸い込まれるように直撃した拳、だがボルツネェイは怯まない。
お返しとばかりにボルツネェイはアビスの髪を掴んで思い切り自分の方へ引っ張る。
その勢いを利用して、アビスの顔面に一発をお見舞いする。
バランスを崩したアビスに追撃を加えようとするボルツネェイ。
「『speed』、忘れるなよ、相手は二人いるんだ!」
俺がそれをアビスの前に出て受け止める。
受け止めた拳はずしっと重い、こんなものをアビスは受けていたのだろうか。
拳が止められたと判断した瞬間にはボルツネェイは足を跳ね上げていた。
狙いは抑え込んでいる俺の腕。
無茶な戦法を取ってくる。こんな無茶な体勢、避けられれば途端にバランスを崩し、死に体になってしまうというのに。
しかし、わかったところで反応できなければどうしようもない。
ボルツネェイの狙い通りに俺の腕に一撃を加える。
衝撃で離してしまった拳。
彼女は倒れる瞬間に床に両手をつく。
まずい、これは――
「ぐっ?!」
そのまま逆立ちすると、床についた手を軸に回転させて、そのまま蹴りを放つ。
ダメだ、これは避けられない?!
「相沢様!」
アビスに後ろから襟首を掴まれて力強く引かれる。
蹴りは鼻先を掠っただけで間一髪当たらない。
その代わり、盛大に尻餅を付いてしまったので、ちょっとカッコ悪いが。
ボルツネェイは攻撃に失敗したとわかるや否や、すぐさま立ち上がり、尻餅のせいで動きが止まっている俺にストンピングしようとする。
「させません!」
踏みつけられるよりも速く、今度はアビスが前に出てきて、ボルツネェイの腹部に体当たりをする。
一緒に転がる二人、姿が同じため、入り乱れてしまうと、どちらがどちらだかわからなくなってしまう。
「うわあああああああああああああああああああっ!」
「ボルツネェイ、願いを持つことは重要なことだと思います。
ですが、その為に人を踏み台にするのは間違っています!」
「うるさい、うるさい、うるさぁい!! わたしには、こうするしか方法がなかった!
システムとして組み込まれたわたしが、また光を浴びるには、戦うしかなかったのよぅ!」
互いに肩を掴みあい、額と額を突きつけあっている二人。
俺は援護も忘れて見入ってしまった。
いや、例え見入っていなかったとしても、俺は援護をしていなかっただろう。
ここからはアビスとボルツネェイが二人で決着を付けなければならないことだと頭の中で理解しているからだ。
この膠着状態が解けた時、勝負が決まるのだろうか……?
「あんたなんかにわたしの気持ちがわかるわけないでしょう?」
膠着が動いた、台詞からして仕掛けたのはおそらくボルツネェイだろう。
彼女は力任せにアビスを床に押し付けると、馬乗りになって殴り始める。
アビスは腕を×にクロスさせてそれを防ぐ。
「あんた達みたいな成功作にぃ!」
「……えぇ、わかりませんとも。自分を『なりそこない』なんて自虐しているあなたの気持ちなんて!」
アビスはクロスさせた腕で器用にボルツネェイのパンチを挟み込むと、そのまま寝返りを打つように体を横に倒す。
バランスを崩したボルツネェイに今度はアビスが馬乗りになる。
形勢逆転だ。
「はぁ、はぁっ……ユンカースは体の有無なんかで決まりません。
あなたは体という概念に縛られている。そんなあなたを私は認めません」
「ふぅ……ふぅっ! そんなもの持っているもののいう詭弁よ。
あんたに認められなくてもいい! 私は体が欲しい!
……そうよ、忘れていた。この気持ち、本当の私の気持ち!」
攻撃を続けるアビスにボルツネェイはガードをすることなく、アビスを殴ることで抵抗しようとする。
しかしマウントを取られているボルツネェイのパンチはリーチが圧倒的に足らず、空を切り続ける。
「体を得て、マスターを得て、私も、妹達と同じように役に立ちたい!
それのどこが悪いっていうの! 縛られたっていいじゃない!」
「……」
いつの間にか、アビスの攻撃は止んでいた。
ボルツネェイはひたすら、壊れた玩具のようにアビスを殴ろうと力なく腕を伸ばし続けている。
ボルツネェイは純粋にユンカースとして主人に仕えることを望んでいたのだ。
ただそれだけが願いだった。
それが理不尽に踏みにじられて、彼女はどうすることもできなくて。
体があれば……体があれば……体があれば……
私もユンカースとして振舞うことが出来たのに。
ユンカースとして、主人の役に立てたのに。
体を持っていない所以外は他の守護者と変わっていないのだ。
そうなれば体を持っていないというコンプレックスが強くなって当然。
そして、彼女は自らの存在が役に立つことを知らしめるために、狂気に身を委ねた。
そう考えれば、彼女が言っていた最強の守護者になるという目的も突き詰めれば、主人のために強くなりたいということに起因する。
全ては彼女がユンカースの本能に忠実だったということなのだろう。
「あたれぇ、あたれよぉ……あたらなきゃ、あいつをたおせないじゃなぁい」
ただひたすら腕をアビスに向かって突き続ける。
そのあまりにも必死すぎる姿からは恐怖はかけらも感じられず、ただただ哀愁を誘うだけだった。
戦意なんてない。ただ作業のように。
それが義務のように。
「あたってよぉ……あたってよぅ……わたしはこんなことで……」
「ボルツネェイ」
「な、なによ……わたしはまだ負けてないわ」
怯えるボルツネェイを、アビスはゆっくり抱きしめる。
赤子をあやすように、優しく背中を叩いている。
「……謝らなければなりませんね。あなたは立派なユンカースです」
「え?」
「あなたはユンカースです。体がなくても、立派なユンカースです。
あなたは体という概念に縛られていたわけじゃなかった。
ただ、ユンカースとしてマスターの役に立ちたかった、それだけだったのです。
だから、もう戦わなくてもいいのですよ?」
「嘘だぁ、嘘だぁ……」
ぐずる子供のように首を横に振りながら拒絶するボルツネェイ。
たしかにそう簡単に納得できるものじゃない。
「嘘じゃありませんよ。ね、相沢様」
「へ? あー、うん、俺もそう思うぞ?」
急に俺の方を向いて、俺に同意を求めてくるアビス。
アビス、いきなり俺の方に話を振ってくるな。ビックリしたじゃないか。
「ね? 私のマスターもこう言ってくれています。
あなたは正真正銘のユンカースなのですよ」
「私が……?」
「お前はなりそこないなんかじゃない。ただ人より純粋すぎただけさ」
それを聞くとボルツネェイは長年貯まっていた憑き物が取れたような、心の底から安心した笑顔を浮かべて。
「ありがとう」
なりそこないが、本物になれた瞬間だった。
あとがき
J「いい加減にこの超展開続きをどうにかしたい」
フィ「第一声がそれですか」
J「というかボルツネェイの能力とかどうよ? 情報量操作はある意味反則じゃね? とか思ってしまったわけですが」
フィ「でも操作できないものもあるのですよね?」
J「あぁ、簡単に言えば人間や動物のような有機物、魔力が多い物質、構造が複雑な物質は情報量操作はできないということにしてはいる」
フィ「それでも対魔法戦なら究極の能力ですよぅ」
J「かなり反省している」
魔術紹介
『ピアニストチェーン』 使用者:相沢祐一
『chain』と『claw』の融合魔術。鎖の先にclawの爪が付いた武器を生み出す。
一本一本を独自に動かすことができ、長さも、魔力に応じて調整することができる。
※感想、指摘、質問がございましたらBBSかmailにてお願いします。
P.S.
J「次回は外での戦い編」
フィ「久々にルドラが活躍するです?」
2007年7月1日作成