「アースラ?」
時空管理局っていうのはなのはちゃん達に命令を与えている人達がいるっていう組織の事だよな。
「はい、アースラには僕達にユンカースの依頼をしたリンディさんという人が艦長をやっているんです。そこでなら、魔石の修復とかに何か役立つ情報を得られるかもしれません」
「なるほどです……時空管理局なら何とかしてくれそうです」
「では、アースラに向かうという事に決定でいいですか?」
ユーノ君が俺に賛同を求めるように聞いてくる。
「あぁ、そうだな。スペリオル・ブレイドを早く治してやりたいからな。でも……」
「でも……? なんですか?」
「秋子さんに了承を貰わないといけないから一旦家に帰っていいか? 一応散歩という事で家から出てきてるし……」
なのはちゃんやユーノ君は今は二人暮らししてるし、absoluteも許可を取る相手がいないし、フィアは猫という事になってるから今すぐにでも行けるけど、俺は一応秋子さんの家の居候という立場だからな。
幸い、明日は日曜日だから学校のほうは休みだから行けないという事は無いけど、
一日か二日くらい家を空けるという報告だけはしといた方がいいだろう。
「そうですね。私も似たようなことがあったから、報告はしておいた方がいいよユーノ君」
なのはちゃんも俺の援護をしてくれる。
「……わかりました。じゃあ、僕はアースラに連絡を入れます……その間に、祐一さんは秋子さんという人に了承を貰ってきて下さい」
「おう、じゃあここにまた集合という事で……行くぞ、フィア」
「はいです!」
そういう事で、俺は秋子さんから了承を貰って来る為に一旦水瀬家に帰ることにした。
魔法青年 相沢祐一
19幕「時空戦艦アースラ」
「了承」
「……の一言だもんなぁ……折角理由とか考えたのに……」
水瀬家から丘に戻る帰り道で俺は不満そうに呟く。
水瀬家に着いた俺は早速、だお〜とうぐぅとあぅ〜にばれない様に秋子さんを呼び出して、手っ取り早く外泊の許可をくれるように頼んだ。
少し突っ込んで聞かれるかと思ったのだが、返答は上に書いた通りである。
「まぁ、許可を貰えたですからいいじゃないですか」
「もっと、突っ込んでくるかと思ったんだけどな……少し体に傷が付いてるし……」
「案外、秋子さんも魔法使いなんじゃないですか?」
フィアが冗談めかしてそういう。
「あはは、まさかぁ〜」
オレンジのあれは確かに魔法みたいな味だったが……
そんな事を話しているとさっきまで戦っていた丘の上辺りに辿りついていた。
「あっ、祐一さん。速かったですね?」
「まぁ、ね。それで、アースラとは連絡取れたの?」
速かった理由をうまくうっちゃりつつなのはちゃんに聞く。
「はい、結構近くを航行していたみたいなのですぐに着くそうです。
それと、absoluteさんの希望でスコールさんを魔法界に連れて帰るので、スコールさんも連れて行きます」
「ふ〜ん、それで何処に行けばいいんだ?」
戦艦だからやっぱ海か? ってそんな訳無いか。
「いいえ、ここですよ。待っていればそのうち……うん、来たみたい」
「えっ?」
カァァァァァァァァァァァァッ!!
光に包まれるものみの丘
光が収まると、10m位先に光の柱状の物が丘を照らすように出現していた。
「あれです。あの光がアースラへと連れて行ってくれるんです」
「あの光が……」
「さっ、行きましょう祐一さん」
「わっ、ちょ、ちょっとなのはちゃん」
なのはちゃんが俺の腕をぐいぐい引っ張って光の柱の中に入る。
「うみゅ、羨ましいです……(ボソッ」
「祐一さんも罪作りですね……(ボソッ」
「……えぇ、全くですね。timeが見たら暴走しますよ(ボソッ」
その後を小声で何かいっているフィアとユーノ君、スコールを担いだabsoluteがついてくる。
「それで、どうな……ってうわぁっ!」
全員が光の柱の中に入ると、体が上に引っ張られていく感覚……いや、実際に上に引っ張られている!?
ある程度上に引っ張られると、視界に何も見えなくなる、といっても先程の暗黒とは違い真っ白で何も見えないというよりは何も無い感じに近い。
「はわわわっ、何も見えないです〜」
脇でフィアが慌てふためいてるのが聴こえる。
なのはちゃんやユーノ君はさすがに経験しているからか叫び(?)声は聴こえてこない。
absoluteは……まぁ、absoluteだから……
「そろそろ、到着しますよ。時空管理局の戦艦『アースラ』に」
光が……晴れる……
「戦艦『アースラ』へようこそ。私はここの艦長をしてるリンディ・ハラオワンです……久しぶりね二人とも……といっても一、二週間じゃそうでもないわね」
和室みたいな応接間のような所に通された俺達はそこでエメラルドの長髪がきれいなお姉さん――――――リンディさんは笑いながらそういった。
「お久しぶりです。リンディさん」
「お久しぶりです。それでこちらの方々が……」
「あっ、相沢です。相沢祐一です」
「フィア・クラッセです」
「absoluteです。それと横たわっているのがスコール・スティナイト様です」
ユーノ君に紹介されて恭しく一礼をする。
「確か、相沢君はなのはちゃんと同じ所出身だから名前が後のはずよね?
……それじゃあ、祐一君にフィアちゃんにabsoluteさんでいいかしら?
さっきも自己紹介したけど私はリンディ・ハラオワン、ここの艦長をしているの。よろしくね」
コンコン……
「母さ……艦長。お茶を持ってきました」
襖をノックして現れたのはスコールの着ていた服に似た感じの服を着た、見た目14、5歳位の青年だった。
「あら、てっきりエイミィが持ってくると思ったんだけど……ふふふっ」
「なっ、なんですか!? その含み笑いは!」
顔を真っ赤にして反論をする青年。
「我が息子にもこういう人並みな恋が出来ている事が微笑ましいだけよ」
……息子!? この綺麗なお姉さんの息子!?
……そうか……そうなのか、この人も秋子さんと同系列の人間なのか!!
「ほら、挨拶なさい。この人達がユンカース……例のロスト・ロギアの回収をしていたっていう魔法使いの方々よ」
「俺は相沢祐一だ。相沢でも祐一でも好きな方で呼んでくれ」
「私はフィアです。フィア・クラッセ。祐一さん共々よろしくです」
「……僕はクロノ・ハラオワンだ。よろしく相沢さんにフィアさんにabsoluteさん」
結構、クールっぽい青年だな。
「久しぶり〜クロノ君」
「えっ!? ひ、久しぶりだ……ね。なのは」
……そうでも無いか?
というより
「むふふ〜〜」
「はにゃ? なんですか? その含み笑いは」
「いやいや、思われているんだなぁ〜と思ってな」
「……微妙に危ない人に見えますよ? 相沢様」
……うぐぅ
「……それで本題に入るけど」
といいつつ緑茶に砂糖をドバドバ入れるリンディさん。
あんなに入れて……溶けるのか?
「……問題はそこでは無いと思いますが?」
「absolute、的確な突っ込みありがとう。それと心の中の言葉に突っ込みは無しな」
「イエス、マスター」
そういいつつお茶を一啜り。
……absoluteも良いキャラになってきたなぁ……最初はあんなに無愛想な子だと思ったのに父さんは嬉しいぞっ!
「祐一君の魔法の杖が壊れちゃったから修理をしたいと……そういうことね?」
「はい、大体そうです。それで直『ここでは無理ね』……そんな即答しなくても……」
「無理な物は無理ね。ここでは設備があまりにも少な過ぎるわ。
構造はよくわからないけど、基本的にレイジングハートとかと同じ仕組みなら真っ二つで自己再生機能がやられているならまず修復は難しいわ。
パッと見だけでもここでは修復出来ない事だけはわかるわ」
そうか……無理なのか……
「あっ、出来ないわけじゃないのよ」
「えっ?」
意気阻喪している俺を見てリンディさんが付け加える。
「本局に行けばそれなりの設備があるから或いは……」
本局? 本部という事か?
「そこに行けばスペリオル・ブレイドは直るんですか?」
「えぇ、最低でもここよりは直る見込みはあるわ。それに……」
そこで止めて、ふとなのはちゃんの方をちらっと見る。
「もしかしたら彼女に会えるかもしれないしね」
「えっ? 本当ですか?」
なのはちゃんが目を輝かせて身を乗り出してくる。
彼女? 彼女って誰だろ……も、もしかして! なのはちゃんって両刃!?
「……それは無いと思います」
「……だよな……ってか心の中の言葉に突っ込みを入れるなといった筈だが?」
「イエス、マスター」
そういってまたお茶を一啜りするabsolute。
……無闇に心の中でボケれないな……
「えぇ、まだ裁判が終わってないから確信は持てないけど、もうほとんど無罪は同然だし、面会くらいなら出来ると思うわ」
「そうですか、楽しみだなぁ……」
と、遠足を待ち侘びている子供のような状態のなのはちゃん。
……どうやら、その彼女とは相当なのはちゃんと仲が良いみたいだな。なのはちゃんの過去の事は知らないけど、あんなに嬉しがるんだから、きっとそうなんだろう。
「ここからなら比較的近い方だし、幸い急ぎの任務も無いから一日位で行って帰ってこれるけど……今から行く?」
「はい、明日は休みですし、許可も貰ってきましたから」
「そう……それじゃあ、私はこの事をスタッフや上層部に知らせるから」
そういうとリンディさんは立ち上がって行ってしまった。
「それじゃ、なのは達は元いた部屋に案内するとして、相沢さん達はどうしようか……」
「あっ、absoluteとスコールは医務室に案内してくれ、俺達はそこらで雑魚寝でもいいから」
「私も祐一さんと同じでいいです……その方が嬉しいですし」
「にゃっ!?」
フィアも最後のほうは聞こえなかったが俺の意見に賛同する。
そうだな、さすがに直してもらう上にそこまで好意を受けるわけにはいかないからな。
「それじゃ、ここ『駄目ですっ! 絶対駄目!』……なのは?」
「……はっ!?」
クロノの言葉を遮ってなのはちゃんが大声で叫ぶ。
その後やった事に気付いたのか、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「……と、とにかく。そこらで雑魚寝なんて駄目です。風邪ひいちゃいます! なんだったら私と同じ部屋でもいいですから」
「「なっ!?」」
さり気に爆弾を投下しながら叫ぶなのはちゃん。
「……じゃあ、俺はユーノ君の部屋で寝るわ」
「……それが一番妥当ですね」
ユーノ君もちょっと遠い目で見ながらそう返す。
「じゃ、とっとと逃げますか……それじゃフィアはなのはちゃんの部屋な! それじゃおやすみ!」
「「あっ!?」」
このままだと不毛な気がした俺はユーノ君とクロノを連れてとっとと逃げる事にした。
後ろで二人が何かいってる気がするが無視だ! 無視!
――――――本局到着まであと7時間弱――――――
後書き
J「今回は短めだったな……」
フ「短かったです……ってなんで祐一さんと寝させてくれなかったですか!!」
J「あ〜、それだけいうとちょっとやばいから止めとこうな。若気の至りでした。ごめんなさい」
フ「話を逸らさないで欲しいです!」
J「うちはR指定にはしてはいかんのだよ!!」
フ「ただ一緒に寝るだけじゃないですか!!」
J「それが、下手すりゃR指定になるというんだ……」
フ「いつか書いてくださいですね? そういうの」
J「それは無茶だな。だって自分は一応高校生ですから〜〜!! 残念!!」
フ「ちぇっ……です」
J「サーバー停止される恐れがありますから……斬り!!」
人物設定
リンディ・ハラオワン
時空管理局戦艦「アースラ」の艦長でクロノの母親。
祐一曰く秋子さんと同列にいる存在。
類を見ない超絶甘党
クロノ・ハラオワン
14歳、時空管理局戦艦「アースラ」所属の執務官でフィア、スコールと同等レベルの凄腕魔術師。
真面目な性格だが、真面目故に人当たりが少し強く、作戦遂行のためには手段を選ばない傾向がある。
なのはが好きらしい
※感想・指摘・質問がございましたらBBSかmailにてよろしくお願いします。
P.S.
J「次回はいよいよ本局か……完全オリジナル、ちゃんと書けるかなぁ……」
フ「まぁ、なんとかなるですよ」
2005年1月30日作成