「スコール……」
「スティナイト?」
「……誰?」
俺、なのはちゃん、エレナさんの一言で某新喜劇ばりに盛大にずっこけるスコール。
あいにくフィアもいないからなぁ……魔法界のことなどさっぱりだ。
「えっ、エレナさんは知らないんですか?」
俺達とは違って魔法界の住人(?)のエレナさんならわかると思ったんだけど
「有名な人ならあたしでもわかるけど……スティナイトなんて聞いたこと無いわね」
「……こほん。まぁ、君達が無知なのは認めざるをえないですね」
なんか馬鹿にされてるなぁ……俺達
「それで、僕に封印されませんか?」
「やだ」
下手したら秋子さんも真っ青な速さで即答するエレナさん。まぁ、今時あんなキャッチセールスみたいな誘いでホイホイついて行く人ってあまりいないと思う。
「……なら力づくにでも封印させてもらいます。『スペリオル・ホーネスト』」
スコールは深紅の宝石を構えて叫ぶと、スコールの服装が瞬く間に変化し、スペリオル・ブレイドと同じような杖が出てきた。
うぐぅ……俺のよりカッコいいし……
「君達はさっさと散りたまえ。関係ない人まで巻き込みたくは無い」
「……いや、あながち俺達にも関係があることでね」
「ん? どういう意味だ?」
「こういう事さ。行くぞ、なのはちゃん! 『うぐぅ〜〜』」
「はい!『レイジングハート!セットアップ!』」
魔石を構え呪文を唱える。
ピカァァァァァァァァァッ
「……なるほど、君達も僕と同類という事か……ならば容赦はしない!」
「臨む所だ!」
蒼と紅の戦いが始まる……
魔法青年 相沢祐一
13幕「勇気 VS 誠実」
「いけっ! 『shot』」
スコールに向かって数個の魔力の弾が飛んでいく。
「ふん、『shot』」
スコールも杖から俺が飛ばした魔力の弾と同程度の大きさの魔力の弾を飛ばす。
バシュバシュバシュゥゥゥン……
その全てが俺の出した弾を正確にかき消す。
凄い腕前だ……
「考えている程の余裕なんて無い!」
背後から声がする。
「!? 後ろっ!」
「もらったっ!」
「それはこっちのセリフです!」
ぶわっ
『Divine shooter』
スコールに向かってなのはちゃんの放った光弾が飛んでいく。
「ちっ!『burst(バースト)』」
地面を自ら爆発させて上に上がる事によりそれらを避けようとするスコール。
だが
くくくっ
それを追いかけるように向きを変える光弾。
「!? 誘導弾か!? 『wall』」
ズドドドドドドドドドドン!!
間一髪の所でバリアを張り、それらを防ぎきるスコール。
「『wing』『sword』『light』、三つの魔石の力を融合し今、新たな魔法として生まれ変われ!! ライトニングスラッシュ!!」
スコールが上がった所より遥か上空から急降下しながら雷を纏った剣を構えて突撃する。
ガキィィィィィン!!
バリアを突き破り地面に思いっきり吹き飛ばす。
「くっ、『wind(ウィンド)』」
ぶわっ
地面に激突すれすれで風が起こりスコールを優しく受け止めた。
「何っ!? 魔石の力」
「君だけが魔石を使えると思うな。僕も君と同様、魔石をもらった魔法使いだ」
『wind』の風がかまいたちのようになって襲いかかる。
「祐一さん、後ろに回ってください」
なのはちゃんの指示に従い、なのはちゃんの後ろに回る。
『Wide area Protection(ワイド・エリア・プロテクション)』
俺となのはちゃんの前に広範囲に広がったバリアが現れ、かまいたちを防いでいく。
「ふぅ、危なかった……」
「なかなか、やるようだね……では、そろそろ僕も本気を出させてもらうよ」
スコールは杖から一つの魔石を取り出す。
「!? あの魔石は!!」
「どうしたんですか? あの魔石は?」
「あの魔石は……いや、なんであいつが封印されてるの?」
エレナさんは信じられないといった具合の表情だ。
「エレナさん?」
「ははは、『time』にはわかるようだね……そうだよね。君の仲間だものね……」
「あいつが封印されるなんて信じられないわ……あいつが……」
「エレナさん! あの魔石は何なんですか?」
「……祐一、なのは、逃げるのよ……今のあなた達ではあいつには絶対敵わない……」
あれだけ強かったエレナさんのこの怯えよう……
「それだけ、凄いってことかよ。あの魔石が……」
「さぁ、現れよ。『absolute(アブソリュート)』」
キィィィィィィン……
スコールの脇にぽっかりと空間の穴ができる。
そこをくぐる様に現れたのはメイド服を身に纏い、白銀の長髪をしている人形のような年齢12、13の少女だった。
「……呼びましたか。マスター……」
感情の無い声で喋る少女
「あぁ、命令だ。あいつらを30秒以内に排除しろ」
「……了解しました」
ぶわぁっ
少女の周囲に物凄く濃い魔力が集まる。
「「!?」」
な、なんだこの魔力は!?
「……あなた達には恨みは無いですけど……マスターの為に倒れて下さい」
ぐわん!
「ぐはぁっ!」
突如、現れた腕部に殴り飛ばされる俺。
「祐一さん!……きゃぁっ!」
同様になのはちゃんも殴り飛ばされる。
「な、何が起きたっていうんだよ……」
見ると、少女は腕を先程少女が現れた穴の縮小版みたいなものの中に入れていた。
ぐわん!
「がはっ! がはっ!」
今度は背後から殴り飛ばされ、それの反動で飛ばされた所でもう一発殴り飛ばされる。
「……マスター、命令を遂行しました」
「僕は『排除』といったんだ。戦闘不能とはいっていない……消せ」
スコールがそういうと無表情の少女の顔が一瞬だけ歪む、だがすぐに無表情に戻り
「……わかりました」
「そう簡単には負けません!」
『Divine shooter』
先程もスコールに当てた誘導弾を少女に向けて放つなのはちゃん。
「……無駄です」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
少女は冷静に目の前に先程のような空間の穴を作り、誘導弾を全部掻き消した。
(なっ!? なら、接近戦!)
『Flash move(フラッシュ・ムーヴ)』
レイジングハートの掛け声と同時になのはちゃんの姿が掻き消える。
なのはの考えでは、今の瞬間移動で少女の背後に回りこみその間に魔力を溜め、至近距離のDivine shooterを入れる……はずだった。
しかし
「!! いない!?」
瞬間移動した所には少女の姿は無く
「……ここです」
「えっ、後ろ……」
「……ごめんなさい」
ドゴォォォォォン……
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!」
なのはちゃんの瞬間移動よりも速く後ろに回りこんだ少女の先程とは打って変わった魔力のこもった情け容赦無い掌底。
防護服のおかげで外傷は無いみたいだが気絶してしまった。なのはちゃんはもう戦えないだろう。
そういう俺も、もう体のあちこちが悲鳴を上げてる。折角、この前の戦いの傷が癒えたばっかりだというのに
「58秒……遅かったが、まぁいいだろう。これで、心置きなく『time』を封印できるという事だ」
「くっ……」
「さぁ、封印されるんだ!『wind』」
エレナさんに向かってかまいたちが襲いかかる。
「ここまでね……」
「いや! まだ諦めるな!」
俺はそう叫んだ後、自分でも不思議なくらいな動きで間に割り込むと
「!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉっ」
ズバズバズバズバッ!!
放たれたかまいたちをその身で全て受け止めた。
後書き:
J「結構、時間がかかったな……」
フ「そですね。結構、色々な事がありましたですから」
J「言い訳するならば、祖父が入院したんです」
フ「これ、本当です」
J「さあ、いよいよ『time』編も終盤!」
フ「『absolute』の能力は、そして『time』を庇い攻撃を受けた祐一さんの運命はどうなるのか!! 乞うご期待です!!」
J「……いや、しなくてもいいんだけどね」
フ「気にでもかけて置いてくれればいいですから」
J「本当、本当」
キャラ紹介
スコール・スティナイト
フィアと同じ魔法界の住民。スペリオル・ブレイドと同クラスの魔石『スペリオル・ホーネスト』を使う。
性格は冷静沈着、冷酷無比、目的の為には手段を選ばない性格。
実力は祐一ほどではないが頭はめちゃくちゃきれる。
absolute(アブソリュート)
『守護者』の一人。何故かメイド服を着ている。
性格は無口なのであまり思った事を口にしないし、無表情なので非常に怖い印象を持たせるが根は優しい少女。
能力の他にもなにか特殊な能力を持っている。
魔石
スペリオル・ホーネスト
凄腕の魔術師に与えられた魔石の一つ。魔石の色は深紅
基本的にスペリオル・ブレイドと同様の性能
ただ、ブレイドは女性用(フィア用)、ホーネストは男性用(スコール用)なので祐一が着ている服より若干カッコいい(笑
使用魔術はrealize
魔術
Divine shooter(誘導弾) 術者:高町なのは
威力:C 命中:S 魔力:B
Divine shooterと同様、Shooting Modeに変化させて光弾を放つ中距離から近距離魔法。
誘導弾形式なので命中が高いがその分威力を殺す事になった。
Wide area Protection 術者:高町なのは
威力:− 命中:− 魔力:A
Protectionの範囲強化型の魔術。当然、魔力消費はこちらの方が高い。
Flash move 術者:高町なのは
burst 術者:スコール・スティナイト
威力:B 命中:A 魔力:B
スコールのオリジナル魔術、当てた物を爆発させる事ができる。
また、爆風を利用して空へ飛ぶ事も可能
ライトニングスラッシュ 術者:相沢祐一
威力:S 命中:C 魔力:C
「sword」「wing」「light」の三つの魔石の複合魔術。
空から雷撃を纏った剣を構え、落下速度を利用して攻撃する魔術。
J「だな」
フ「です」
J「それでは、また次回」
フ「感想・指摘・質問はBBSかmailまでよろしくです」
二人「ではでは、さよーならー」
P.S.
フ「という事は当分私の出番は無いですか?(ニッコリ」
J「……(汗」
フ「発言は一回のみ、黙秘は認めないです。」
J「……はい(ごめんなさい皆さん、先立つ不幸をお許し下さい)」
フ「バルディッシュ!!」
※リリカルなのはでフェイトというキャラが使っていた杖。雷系の魔術が得意♪
『Phalanx Shift.(ファランクス シフト)』
※そのバルディッシュの最強魔術。威力はスターライトブレイカーと同等♪
バリバリバリバリバリバリバリバリッ!!
J「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
―作者お仕置き中につき強制終了―
2005年1月6日作成