※前半は、キャラが少し壊れています。

 

 

 

 

「ここに魔力が集まっているのね……」

朝霧に包まれる住宅街……そこを一人歩く少女。

辺りはまだ朝だからかひっそりと静まり返っていて、スズメの綺麗な囀りが良く映える。

「さて、あたしの力を使いこなせるような魔術師は出てくるかしらね?」

そう一人ごちる彼女の顔はとても美しい笑みで満ちていた……

 

 

 

「えっ、あたしの出番これで終わり!?」

えぇ、そうです。今のところは

 

 

 

魔法青年 相沢祐一

11幕「守護者」

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン……

 

退屈な授業の終わりを告げるチャイムが鳴ると、上に向かって伸びをする。

「やっと放課後か……」

「祐一さん」

隣からかかる声。もしかしなくてもなのはちゃんの声だ。

「うん? なのはちゃん。なんか用?」

「あの、今日一緒に……」

 

ガララッ!!

 

「祐一っ!! 一緒に帰るよ!!」

何かいおうとしたなのはちゃんの声を遮り、名雪がこっちに近づいてくる。

「おいおい、名雪。部活はどうしたんだ?」

「そんなのはどうでもいいんだよ。さっ、祐一帰るよ!」

 

そんな事でいいのか? 陸上部部長よ……

 

「あっ……さ、さよなら……」

それにしても、なのはちゃんは一体何をいおうとしていたんだろう?

もしかして一緒に帰りたかったとか……なんてな

そんな事よりも、名雪には悪いけどさすがに出費(一緒に帰る→百花屋で奢りの為)は勘弁したい。
なんか、うまい言い訳はないものか?
キョロキョロと辺りを見回すと、丁度なのはちゃんと目が合う……そうだ!!

「悪い、名雪」

「何?」

俺の腕を持って無理矢理引っ張っていく名雪は、俺の一言に疑問を浮かべる。

「いや、今日はなのはちゃんにこの街の案内を頼まれていてな」

「「「えっ……」」」

俺の一言に驚く名雪、なのはちゃん、それと何故か満月。

「悪いんだけど、今日は一緒に帰れないんだわ……すまん」

「……そういう事なら仕方ないね。しっかり案内するんだよ」

「あぁ、悪いな」

「いいんだよ。いくら祐一でも小学生に手を出すほど落ちぶれてはいないだろうから」

なるほど、なのはちゃんは圏外ということか。

「じゃあ、私は部活に行ってくるね〜」

「おう、またな」

残念そうな顔をして去っていく名雪を見送って、俺はなのはちゃんの方を向く。

「祐一さん……」

「ごめんな、なのはちゃん。言い訳に使って……」

「いえ、それは別に気にしませんけど……そうだ! どうせなら本当に案内してもらえませんか?」

「えっ?」

今なんと?

「実際、本当に案内が欲しかったですし……駄目ですか?」

ぐはっ! 上目遣いでお願い光線は止めてくれっ! 俺の理性が保たない!

「……いいぞ」

どうとでもいえ! 俺はこういう純粋な少女のお願いを断れないだけだ!!

 

 

 

「というわけでここは商店街に来たわけだが」

「祐一さん。誰に話してるんですか?」

画面の向こうのお友達

「?」

やばい、なのはちゃんの俺を見る目がナイスガイ()から電波〜な人間に変わろうとしている!?

くそっ、電波〜な人間はあの金髪アンテナ男北川だけで十分だ!

「ゆ、祐一さん?」

「あっ、悪い悪い! ここは商店街。大体の物ならここで揃うぞ」

「へ〜、そうなんですか……」

「ふ〜ん、そうなんだ……」

「そうそう……って誰だ?」

後ろを振り返ると金色の髪を腰の辺りまで伸ばした見た目16、7の少女が立っていた。

 

 

 

 

 

「あたし? あたしの名前はエレナっていうの。よろしくね」

「はぁ……それで私達に何か用なんですか?」

と私が聞くと

「いや……あたしもこの町に来てまだ日が浅くってさぁ……道に迷っちゃったのよ」

臆面もなくいってのけるエレナさん。

「それで、俺の説明を聞いていたという訳か」

「そゆこと」

「で、あたしも街の案内をして欲しいんだけど」

「はにゃにゃ!? あ、あんですと〜」

「な、なのはちゃん?」

はっ……いけないいけない、ついつい某口の悪いお嬢様の口癖がでてしまった。

「な、なんでもないです!」

「それで案内してくれるの?」

「……わかったよ。いいよな? なのはちゃん?」

「うぅ〜っ……わかりました」

「よし、決まりっ!! じゃあ案内して」

そういってエレナさんは祐一さんの腕に抱きつく。

「わわっ! いきなり見ず知らずの人に抱きつくな!」

「いいじゃないのよ」

いいなぁ……羨ましいなぁ……私も抱きつきたいなぁ……

「……じゃなくて!!」

「な、なのはちゃん!?」

はっ!? 祐一さんの私を見る目が今の所は可愛い妹分から電波〜な人間に変わろうとしている!?

いやです!! 電波〜な人間は金髪アンテナ男北川さんだけで十分です!!

「……それじゃあ行きましょう」

「…………あぁ」

……祐一さんの目が痛い……

 

 

 

 

「で、ここが神社。まぁ、初詣くらいにしかここは利用しないと思うんだけどな」

ここの神社は丘の上にあり、本殿に行くにはふもとにある長ったらしい階段を上っていかなければならない。といってもまだ行ったことが無いのだが

名雪曰く、ここは『死の階段』と呼ばれていて部活動が頻繁に使用しているらしい。

「へぇ〜結構あるわね……」

上の方を眺めながら呟くエレナさん。

あるというのはおそらく階段の事であろう。

「それで、上に行きますか?」

「う〜ん……」

 

キュピィィィィィィィィン……

 

「!?」

こ、この感覚は!?

「祐一さん!!」

「あぁ、行くぞ。なのはちゃん……エレナさん、悪いけど急用が出来たから案内はここで終わりな。帰りは来た道を戻れば商店街に着くから」

「えっ!? ちょっと!?」

エレナさんの抗議を聞かず、なのはちゃんと共に階段を一気に駆け上る。

「……やれやれ、あたしも行った方がいいよね……やっぱ……」

 

風は空に、星は天に 輝く光はこの腕に 不屈の魂はこの胸に!レイジングハート セーットアップ!

大義を剣に、正義を盾に 燃え揺る想いはこの腕に そして勇気の心はこの胸に!スペリオル・ブレイド! メタモルフォーーゼッ!!『うぐぅ〜〜〜〜〜』

 

ピカァァァァァァァァァッ

 

「いくぞ! なのはちゃん! 敵は階段の上っ!」

「はいっ!」

「いけっ!『fire』」

階段の上にいる黒い影に向かって火球を数個飛ばす祐一。

「フン!!」

 

バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……

 

黒い影は火球を軽々と受け止めるとそれを握り締めて消してしまう。

「そこだっ!『fire』、『wing』 いっけぇぇぇぇぇぇぇっ!! 『アカシックバスタァァァァァァァァァァ』」

続けざまに火の鳥と化した杖が黒い影に襲いかかる。

「チィッ!」

その攻撃ラインに対して直角に避けるが

 

ガチャッ……

 

「ガッ?」

「レイジングハート!」

Shooting Mode -Set up-

「!!」

「遅いよっ!!」

Divine shooter(ディバインシューター)

 

ドゴォォォォォォォォォォッ!!

 

黒い影は、零距離から放たれた光線によって吹き飛ばされる。

「ガガガガガガガァァァ!」

「祐一さん!」

「あぁ、一気に封印するぞ」

祐一達が黒い影に近づいたその時

「ガ、ガァァァァァァァァァッ!!」

「!?」

「何っ!」

黒い影は素早い動きで俺達をかわすと階段の方へ逃げ出す。

「逃がすかよっ!『speed』」

すかさず影を追いかけようと『speed』を唱える祐一。

「待って! 祐一さん。階段の所に誰かいます」

「やっほ〜二人とも……って何その格好?」

「「エ、エレナさん?」」

「ん? どしたの?」

「ガガァァァァァァァァァァァァッ!! ド、ドケェェェェェェェェェ!!」

一直線にエレナさんに向かってくる黒い影

「「エ、エレナさん!!」」

「ん?」

「ガァァァァァァァ……ガ!!」

今にも襲い掛かろうとしていた黒い影が動きをピタリと止める……いや、空間が止まっている。

「あなた如き低級魔石があたしに勝とうだなんてお笑い種よね……」

にょきにょきとエレナさんの頭から二つの突起が現れる。

目を凝らしてみてみると、それは犬のような狼のような立派な耳が生えていた。

「け、獣の耳?」

「アルフさんみたい……」

「ガ……ガガ……」

「ふんっ!」

 

ドゴォォォォォン……

 

止まっている影を思いっきりぶん殴るエレナさん。

……女性の力じゃないよ……あれ……

「今、なんか悪口いわれたような気がするんだけど……」

「き、気のせいです!!」

「……まぁ、いいか。それより早くあれを封印したら?」

そういってさっきぶっ飛ばしたほうを見…………いない!?

「ウシロダァァァァァ!!」

エレナさんの背後に魔力が集まったかと思うとそれが集まって黒い影となる。

「エレナさん!! 後ろっ」

「慌てなくてもいいわよ」

そういってエレナさんは指をパチンと鳴らすと

「ガッ!……ガ……」

まただ……また空間ごと止まってる……

「『worp(ワープ)』……瞬間移動の能力ね。訂正するわ、まあまあの能力ね……でも……」

エレナさんは手刀の形をとって真横一文字にそれを振り切る。

 

ズバッ!

 

黒い影は腹部から真っ二つに切り落とされる。

つ、強い……

「『守護者(ガーディアン)』のあたしからすればお遊戯同然だったわ……」

 

 

 

後書き

J「はぁ……」

フ「どうしたですか?」

J「いや、最近自分の作品に微妙な物が多くてな」

フ「最近、自己嫌悪が多すぎるですよ」

J「やっぱり、風邪が痛かったなぁ……あれで調子が狂った」

フ「案外、今のが自分の限界なんじゃないですか?」

J「 _| ̄|○イタイトコロヲ…… 」

フ「まぁ、これからも精進していく事ですね」

J「そうだな……」

 

魔術説明

 

Divine shooter 術者:高町なのは

威力:A 命中:B 魔力:B

レイジングハートを射撃形態であるShooting Modeに変化させて放つ、光線状の中距離魔法。

威力、命中、消費魔力、どれをとってもバランスがいいのが特徴。

 

 

用語説明

 

守護者(ガーディアン)

ユンカースの中でも更に強力な力を持つ魔石。全部で五つある。

これらの魔石はレイジングハート同様に自我を持っているが、守護者は人間の姿に変身する事が可能なので、レイジングハートよりも格上。

 

 

J「以上、新キャラ登場でした」

フ「戦闘を見る限りでは結構強いですね」

J「そりゃ、守護者だからな」

フ「なんか能力も反則っぽいですし……」

J「そりゃ、守護者だからな」

フ「で、なんで獣耳なんです!!」

J「そりゃ、守護者だからな!(キッパリ」

 

※感想・指摘・質問がございましたらBBSかmailにてよろしくお願いしますね。

 

P.S.

フ「そういえば、今回は私の出番が無かったです……こうなったらまたバルディッシュで」

J「やめんか!!」

 

2004年12月27日作成