「な、名雪!?」

「なに私を無視して和やかムードになってるんだよ!! 極悪人だよ! 犯罪人だよ!! 村八分だおっ!!!


……というか村八分って……(


「えっと、こちらの方は……」


愛知さんも名雪の迫力に怯えている。なのはちゃんに至っては今にも泣き出しそうな雰囲気だ。


「あぁ、こいつは名雪っていって俺の従兄妹だよ」

「まぁ、そうだったんですか! では、私は愛知 満月といいます。よろしくお願いします。名雪さん」

「っ! 敵と仲良くする事なんてしないよ!!」


友好的に挨拶する愛知さんだが名雪はそれを突っぱねる。


「あらあら、嫌われちゃいました……ところで祐一さん?」

「はい? 何ですか?」

「私の事は満月と呼んでくださいな。私も祐一さんと呼ばせてもらいますので」

「で、無視してるんじゃないよぉぉぉぉぉぉ!!」


あ〜うるさいぞ?


「まあまあ、落ち着いて水瀬さん。お昼ご飯の誘いに来たんだろ?」


北川が名雪をどうどうと宥める。


「はっ!! そ、そうだったよ。というわけで祐一、さっさと行くっ!」

「あっ、お、おい。じゃ、じゃあまた五時間目にな〜」


名雪に引っ張られて教室からフェードアウトする俺。


「はい、いってらっしゃい」

「じゃあ、北川さん。学食に連れて行ってください」

「あっ、俺も相沢同様、潤って下の名前で呼んでくれていいぞ」

「「それは遠慮します」」

「うぐぅ……」


北川、撃沈

 

 

 


魔法青年 相沢祐一

第九幕「それは新しい魔法使いなの?」

 


 

 

「う、うぅぅぅっ……財布が軽い……」


放課後、今回は見事に名雪たちに捕まってしまった。

まぁ、逃げ切れる事の方が稀なんだが……

まぁ、それで例の如く奢らされたわけで……

とりあえず、一人で帰りたかったので会計の後とっとと逃げてきてしまったが……

どうしようか? 今帰ったら確実に襲撃に遭う。

最低でも8時……名雪が眠ってから帰りたい……


「どうしようか……どうやって時間を潰そうか……」

「どうしようです……水瀬家は何処ですぅ……」

「「ん?」」


二人の声が見事にハモる。


「フ、フィア?」

「ゆ、祐一さん?」

「どうしたんだ(です)?」


またハモる。


「俺は、ちょっと時間を潰そうとだな」

「私は逃げてたら隣町に行ってたみたいで、そしたら親切な自称人形遣いとそのペットさんにここまで道案内してもらったです」


へー親切な人もいるもんだな。今度会ったらラーメンセット辺りでも御礼しておくか。


「そうか、なら丁度良いから一緒に歩こうか?」

「わかったです。どうせ、祐一さんについていかないと水瀬家まで辿り着けないですから」


そういうと俺の横について並んで歩き出す。

過ごしやすい季節になってきたなぁと夜風を体に受けながら思う。


「うむ、それでこれからどうしようか?」


当ても無くふらついても良いんだけど……と笑いながら後に付け加える。


「公園にでも行こうです」

「あぁ、そうだな……」

 


キュピィィィィィィン……


 

「……といいたかった所なんだけどな」

「そうですね……」

「「ユンカースの御登場だ(です)」」


俺達は駆け出す。

目指すは、気配のある場所……中央公園

 

 

 


その頃の中央公園には二つの影が一匹の化物と対峙していた。

影の内、一人は少しボロボロなマントを纏った少年、もう一人は先程まで祐一たちと一緒にいたなのはである。

一方の化物は、ライオンのような姿をしている。


「やっぱり、『ロスト・ロギア』だね。ユーノ君」

「うん、この化物からはとてつもない魔力が感じられる……」

「じゃあ、行くよ! 我、使命を受けし者なり。契約の元、その力を解き放て。
風は空に星は天に、そして不屈の心は、この胸に!
この手に魔法を――レイジングハート! セットアップ!


Stand by Ready -Set up-


胸にかけた赤い宝石が光り輝き、少女の服装が可愛らしい私服から白を基調とした強化服へと変わっていく


「ガァァァァァァァァァァッ!!」


一気に間合いを詰めて襲い掛かってくる化物。


「レイジングハート!!」


All Right


「ガァァァァァァァッ!」


Protection(プロテクション)


レイジングハートの機械的な音声の後、なのはの前に半円型のバリアが展開される。

 


ガキィィィィィィィィン!


 

「ガァァァァッ!」


バリアによって攻撃を弾かれる化物。


「一気に叩き込むんだ! なのは」

「うん!」


Shooting Mode -Set up-


レイジングハートが形を変えて槍のような形になる。


「これで、おしまい!」


倒れている化物に狙いをつける。

だが


「ガ、ガァァァァァァァァァァッ!!」

 


ピカァァァァァァァァァッ!


 

「「うっ!?」」


化物は光を放ち、光によって自らの姿を消し去る。

ユーノとなのはは一瞬だが目が眩んでしまう。しかし、化物……No.19『light(ライト)』にとってはそれで十分であった。


「ガァァァァァァァァァァァッ!!」

「危ない! なのは!」


一瞬だが動きを止めたなのはに襲いかかる化物


「なのはっ!!」

「きゃあっ!」

 


ドォォォォォォォン


 

なのはがいた場所から鳴り響く轟音。


「なのは! なのは!」


ユーノは精一杯の声を振り絞ってそこにいた彼女の名を叫ぶ。

しかし、そこから彼女の返事は返って来ない。

なぜなら


「危なかったです」

「あぁ、マジでやばかったな」


そこから少し離れた場所でなのはを抱え、そんな事を話している縞々の猫と高校生らしき青年。

そう、我等が相沢祐一とフィアが寸での所で彼女を助けたからだった。

 

 

 

「……ん」

「気がついたか?」


まだ目が眩んでいてよく顔が見れないけど、声からして男の人が優しく私に声をかける。

確か私はロスト・ロギアと戦っていて……


「はっ、ユ、ユーノ君は?」

「ユーノ? そいつはあのマントを羽織っている男の子の事か?」

「はい」

「なら、無事だ。あの化物はなのはちゃんを狙ってたからな、他は無事だ」


えっ!? なのはちゃんってもしかして……

眩んでいた目が徐々に慣れてきて男の人の姿を鮮明にしていく。


「よっ、なのはちゃん。なのはちゃんも魔法使いだったのか」


その男の人は祐一さんでした。


「えっ? え?」


今の状況は祐一さんが私の足と背中に手を回して抱き上げられる形――――そう、通称お姫様抱っこをされていた。


「は、はぅ……」


は、恥ずかしいです……


「ん? 顔が赤いけど風邪か?」


祐一さんはどうやら自覚症状という物が欠けているようです。

 


ゾクッ!!


 

い、今の殺気は……

何か横にいる猫から発せられた気がするけど……


「……ま、まぁ、いいや。なのはちゃんはここで休んでて、後は俺達がやるから」


祐一さんも殺気に当てられたのか、私を地面に優しく降ろす。

……もう少しやって欲しかったのはここだけの秘密。


「えっと、俺達って?」

「俺とこのフィア」


祐一さんは、自分と近くにいる猫を交互に指差す。


「むー、人を『この』扱いですか?」


ね、猫が喋った!?……って違うね。どうやらユーノ君と同じ変身の魔法を使えるみたい。

じゃあ、さっきの殺気って……嫉妬?


「でも魔法使いという言葉に驚かないなんて……ゆ、祐一さんってもしかして……」

「御名答!!」


祐一さんは制服の上着を放り投げて、青の宝石を構える。


我、汝と盟約を結びし者なり。契約の元、その力を解き放て。
大義を剣に正義を盾に、そして勇気の心は、この胸に!
この手に皆を守れる力を――スペリオル・ブレイド! 『うぐぅ〜〜〜〜〜』

 


ピカァァァァァァァァッ


 

祐一さんの服装が一瞬にして私のような強化服へと変わる。

やっぱり……祐一さんは……


スペリオル・ブレイドッ!! メタモルフォーゼッ!!

「祐一さん……」

「そう、俺は魔法青年 相沢祐一だ!」

 

 






 

 

 

後書き

J「テストも終わったし、とりあえず一段落だな!」

フ「お疲れ様です」

J「おかえり、フィア」

フ「ただいまです。先週は大層ぶっ壊れたらしいですね」

J「あぁ、Zガン○ムのカ○ーユレベルの精神崩壊を起こしそうになった」

フ「余程、テストが悪かったですか?」

J「いや、リリカルなのはを見忘れた!!」

フ「そっちかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!……です」

J「何をいう! 前回、今回となのはの一人称にどれだけ悩んだ事か……」

フ「某有名SSのなのはの一人称が『なのは』でしたからね」

J「それと、祐一の呼び方とか……」

フ「『先輩』を『さん』に変えたですね」

J「あぁ、フィアとキャラが被りそうでちょっと怖いんだが……何とかなるだろう」

フ「でた、お得意のアバウトです……」

J「では、今回は新しく出てきた単語、キャラなどを」

フ「説明するです!」

 

人物紹介

 

愛知 満月(あいち みつき)

18歳 祐一のクラスに新しく転校してきた少女。

良家育ちなのか、少し丁寧口調。

詳しい事はまだ語れないが、結構今後重要な人物。

おまけ:イメージCV.田中理恵(

 

高町なのは(たかまちなのは)

9歳 満月と同じく転校してきた少女だが、その正体は魔法少女。

先生は飛び級してきたと言っているが、実際は魔法で頭を良くして少々経歴を偽造した。(人それを犯罪という)

時空管理局の依頼と、前回の戦い(リリカルなのは本編)の影響の責任を取りに海鳴市からユーノと共に派遣されてくる。

 

ユーノ・スクライア

9歳 フィアとは違う異世界からやってきた少年。なのはのパートナー的存在。

フェレットに変身する事ができる。

ちなみに、ユーノが使用している魔法とフィア達が使用する魔術は全く別のものと考えてください。

 

単語

 

レイジングハート

なのはの持つ杖の名前。自律思考を持ち、命令をすると電子音声で返事をする。

普段は赤い宝石の形をしているのだが、杖の形など他に3つの形態に変化する事ができる。

 

ロスト・ロギア

発展しすぎてしまった異世界の遺産の総称(ユンカース、ジュエルシードなど)。基本的に超危険なものが多い。

 

魔術

 

Protection(プロテクション) 術者:高町なのは

レイジングハートの防御魔法。基本的に祐一のWallと同じ

 

J「まぁ、こんなものだ」

フ「感想・質問・指摘がありましたらBBSかmailによろしくです」

J・フ「「では、さよ〜なら〜」」

 

 

P.S.

フ「なんか、祐一さんの変身前のセリフがカッコいいです」

J「自分も意外とお気に入り」

 

 

2004年12月14日作成