「ふぇ? ふぇ?」


何がなんだかわからない状況だった。

私の記憶が正しければ、さっきまでマジで殺られる5秒前だったはず……


「フィア、怪我は無いか?」


祐一さんが優しく微笑みながら言葉をかけてくれる。


「ですっ!? だ、だいじょぶ……です」


不覚にもその笑顔にドキッとしてしまった。


「そうか、それならよかった」

「なんで……薬の効果はまだ続いてるはず……」


確かにそう。

スペリオル・ブレイドに解毒作用はあるけど、こんなに早く解毒が起こるなんて普通考えられない。やっぱり祐一さんは……


「どうやらこの服には解毒能力があるらしくてな。ものの二分ちょっとでこの通りさ」

「「「!!」」」


驚く三人、無理も無いよね。ただのコスプレだと思っていた服にそんな効果があるなんて思わないもの。

……まぁ、私も別の意味で驚いているけど


「やっぱり、祐一は私達の手で殺さなきゃいけないんだね……」

「名雪、栞、舞、俺がお前らに巣食うユンカースを退治してやる! フィアは退治した奴から家に運んでいってくれ」

「わかったです」


状況は三対一……数なら祐一さんの圧倒的不利。

でも祐一さんは負けない。

目に見えないものは大嫌いだし、そんなものを信じる気も無いけど今回は根拠も無いのにそんな気がしてならなかった。

 

 

 






魔法青年 相沢祐一

第五幕「第二の力」






 

 

 

「いくよ!」


名雪がこちら目掛けて走り、後ろから舞が追いかけてくる。


「wall!」

 


ガキィィィィン


 

俺が展開した魔力の膜に阻まれる名雪


「同じ手が二度通用すると思ってるんですかっ!」

「!?」


名雪がいた所に目掛けて栞の作り出した氷塊が魔力の膜に当たる。


「くっ……膜の維持が出来ない」

 

「これで終わり……」


舞が剣を振り下ろす!

 


パリィィィィィン


 

舞の一撃により、膜が無残に崩れ去る。


「もらったよっ!」


バリアが崩れた所を狙って名雪が走りこんでくる。


「ぐはぁっ!!」


名雪の蹴りが当たり塀に背中から叩きつけられる。

大事には至らないが、それなりのダメージはある。


「駄目だよ。攻撃しなければ私達を封印なんてできないよ? さあ、立てるなら早く立つんだよ! そして私達と殺しあおうよ祐一!」

「そうです! まだまだ寝かせませんよ!」

「……祐一、立つ」


栞と舞が俺の腕を掴み、無理矢理立たせる。

舞はともかく栞、本当に数ヶ月前まで不治の病にかかってたのか?

 


ドゴォォォッ


 

「ぐふっ……」


名雪の加速した拳が俺の鳩尾を捉えた。

杖が手から離れ、地に落ちる。

 


ドゴォォォッ! ドゴォォォッ!


 

今度は二発、全く同じ所に寸分狂わず入れる名雪


「げほっ! げほっ!」


肺に溜まった空気が全て吐き出されたかのように息が苦しくなる。

しかし、倒れたくても二人が腕を抑えているため倒れる事ができない。


「ふーーん……まだ意識があるんだ……」


いや、もう意識が飛ぶのも時間の問題なんですけど……ね


「祐一さんしぶといですね。これはもう賞賛に値するくらい」

「そうだね栞ちゃん。だからここまで頑張ったご褒美に……」


名雪が大きく拳を振りかぶる。


「祐一の魔石を奪ったら、私が乗り移って一生こき使ってあげるよ!!『そうはさせないですっ!』また、あなた!?」


二人を家に運び終えたのか、フィアが名雪以上のスピードで拳と俺の間に割り込み……

 


ガシィィィィッ!


 

高速の拳を受け止めた。


「だ、だお!?」

「今です!」


必殺の一撃を受け止められ三人に一瞬の隙が芽生える。

もちろんフィアはそれを見逃さない。


「祐一さんを離すですっ!」


名雪の腹部に蹴りを入れ、その反動を利用して栞に飛び掛った。

栞は反射的に俺の腕を離し反撃の態勢をとる。


「祐一さん!」


栞を相手にしながらフィアが叫ぶ。


「祐一さん、魔石を使うです!」

「魔石?……スペリオル・ブレイドをか?」

「ちょっと違うです。封印した魔石を使うです!」


封印って……あぁ、clawとかか?


「でも、どうやってやるんだ?」

「叫ぶです! 思いっきり魔石の名前を叫ぶです!」


フィアは偶然転がっていた杖をこちらに放り投げる。

 


パシッ


 

「わ、わかった! 『fire(ファイア)』!」

 


ボォォォォォッ


 

「!!」


魔石の名前を唱えると俺の体が炎に包まれ、腕を掴んでいた舞が炎の熱さに耐え切れず手を離してしまう、それが命取りだった。


「ごめんな舞!『claw(クロゥ)』!」


炎に怯んだ舞に爪の斬撃が食い込む。


「くっ……」


浅めに入れたので致命傷にはならないが、それでももう戦うのは無理だろう。


「俺の勝ちだ、舞から出て行け!」

「……無念」

「seal!」


舞の体から魔石が現れると舞は糸の切れた人形のように倒れてしまった。

おそらく、魔石の自我が無理に体を酷使していたのだろう。


「No.6『sword』か……舞はあの時に剣は捨てたはずなのにな……皮肉なものだよ」


 

 

残るは二人

 

 

 

 







後書き:J「まず、最初に謝らせてください。ごめんなさい」

フ「中途半端な上に書いてる作者すら何書いてるかわからなくなったですし」

J「なら、出すなよ! という突っ込みは無しで。これをやり直したら更にやばくなりそうなので」

フ「どうあっても修学旅行前に書きたかったんですね」

J「あぁ、普通こういう出来だと後書きでいろいろやられるんだろうけど、今回は寛大な心でお読みになって頂ければ嬉しいです」

フ「凄い下手です……」

J「感想・指摘・質問はBBSかmailによろしくお願いします」

二人「それでは、さよ〜なら〜」

 

 

 

P.S.フ「修学旅行ということは当分更新は無理ですか?」

J「あぁ、期待してる方がいたら申し訳無い」

 

 

2004年11月14日作成