「また明日な! 相沢」

「あぁ」


日も沈み、俺はさっきまで一緒に遊んでいた北川と別れて帰路につく。

街灯があるので暗くは無いが、人はおろか犬猫すらいない帰り道はホラーな雰囲気をバリバリ醸し出していた。


「……疲れた」


今日の夜は、名雪たちにこってりと絞られそうだ。

奇跡が起きて、秋子さんは生還し、あゆは意識を取り戻し、真琴は戻り、栞は不治の病が完治し、舞は自分の力を受け入れることができた。

その為か、みんながみんな俺に好意を持ってくれている。

女の子に囲まれるというのはそれで嬉しいのだが、最近いささか我侭な気がする。

それは、俺が何かにつけてからかうと、みんなが自分の好物を要求してくることだった。

香里や佐祐理さん、天野達も止めてくれるが、いつもみんなの気迫に負けてしまう。

三人とも皆に少し甘いから、それは仕方の無いことなのだろう。

……一番責任があるのは紛れも無い俺なのだ。

 

俺はそんな事を半分考えつつも、もう半分で名雪たちへの言い訳を考える。

 


「北川に拉致された……これは以前使ったし、あの後北川半殺しにあってたしな。
 それじゃ、買いたいCDがあったは……駄目だ!
 見せてと言われたら一発でバレる」


無い脳をフル回転させて考えるが、なかなかいい案が浮かばない。


「よし、今日は北川か久瀬か斉藤の家に泊めて貰おう!
 
そうと決まれば――『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』……ん?」


女の子の悲鳴が聴こえた気がするのだが、左右どこを見わたしてもそれらしい姿は見えない。


「気のせいか? 『そ、そこの人っ! どいてどいて〜!』……だからどこに」


俺の言葉が終わる前に、俺は頭に凄い衝撃を受ける。

くそ、まさか上からとは不覚だった。

 

これが俺と少女の出会い。






これが長い戦いの始まり。


 

 

 

魔法青年 相沢祐一

 

 

 






後書き

新連載。

名付けて、祐一君魔法少女青年になるです。

 

 

2004年10月17日作成
2008年5月20日修正