俺が魔法を覚えた事件から三年、今日は中学の入学式、の予定だったのだが…


「あう〜祐一、そっちに行ったわよ!」

「――■■■■■――」


今現在うっそうと生い茂った森の中、そして聞こえてくるのは入学式で落ち着かない生徒の声ではなく、
真琴と真琴に追われてやってくるビーストの声、そして両手には俺の相棒。


「ああ!ブレイブ ソード」

「Ok Master Sword」


俺の右手に握られたインテリジェントデバイスBraveryが蒼く白い光を放ち魔力の剣を作り上げる。


「ワンダ ブレッドで待機モード」

「Ok Master Bullet stand by ready」


そして左手に握られたインテリジェントデバイスWonderがその身に魔力を充電していく。


「祐一!」


叫ぶ真琴の声、次の瞬間に木々を押し倒しながら進むビーストの姿が目に入る。


「―■■■■

「遅い!」


イノシシ型の低級ビースト、その巨体と速度で俺を押し倒そうと迫ってくる、
俺はそれを左前方へ飛びながら躱し、擦れ違い様にブレイブで斬撃を加える。


■■―――!!!」


叫ぶビーストに振り向きながら止めの一撃を加える。


「ワンダ!」

「Ok Master Bullet Shoot」


杖先端の宝玉から無数に放たれる魔法の弾丸は容赦なくビーストの息の根を止めるのだった。


「任務…完了…かな?」

「ゆーいち!」

「おっと」


後ろから俺にのしかかってくる真琴。
俺が魔法を使えるようになって人化できるようになった狐、
だと思っていたら、実は妖狐という特殊な狐だったと知ったのは随分後の事だった。.


「まったく、管理局?だっけ、に任せておけばいいのに」

「御役所は仕事が遅い、それにここは俺達の街なんだ、自分の居場所くらい自分で守りたい
それに、こいつ等ビーストはあの事件の名残だから、なおさらな」

「あう〜、祐一がそう言うならいいけど」


少し落ち込む真琴の頭を撫でてやりながら管理局、いや、正確にはなのはとフェイト、
それとはやて達と出会ったあの戦いへと俺は思いを馳せていた。





勇気持ちて奇跡を起こす少年





「様子はどうだい、三人とも?」

私、高町なのは魔法少女やってる小学四年生です。
今日はアースラで感知された特殊な時空震を調べにやって来ました。

「クロノ君、うん、変な感じ、上手く言葉に出来ないけど…」

「私も感じる、近い…はやては?」

「うちも似た感じや、この辺り一帯の魔力の濃度が濃いせいやと思うけど…」

この二人は私の親友、前がファイト・T・ハラオウン、後ろが八神はやて、
私はフェイトちゃん、はやてちゃんって呼んでます。

「クロノ!」

その瞬間、アースラが感知したのは断続的に大きくなる特殊な時空震と魔力の集束でした。

「これは!三人とも気をつけて、何か来る!」

「魔力が、来るよ二人とも」

フェイトちゃんが言うと同時に私達の前に掌大の星の形をした石が姿を現す。

「ロストロギア、見たことない型やね」

「ジュエルシードに似てるけど……こっちの方が、なんか怖い」

私がそう呟いた瞬間、星石が光り輝き一層に魔力が高まる、
そして光が納まった瞬間、私達の目の前に大きな馬、ユニコーンと呼べる物が姿を現した。

「これは…二人とも来る!」

フェイトちゃんの声とユニコーンがその体を上げ額の角から雷を放つのは同時でした。

「ヒヒーン!」

「「「protection」.」 」

「くっ!はやては結界を!なのはは私の援護!突っ込む!」

「「了解(や)!」」

私達はそれぞれのデバイスに命令を出しながら散開する。

「レイジングハート、お願い!」

「Yes my master」

「リーンホース!」

「はい!マスターはやて」

「行くよ、バルディッシュ!」

「Yes, sir.」

いつもの通りまずははやてちゃんが結界を展開。

「リーンフォース、封鎖結界、いくで!」

「はい!マスターはやて、封鎖結界、展開!」

そして次は私がターゲットに牽制をいれます。

「行くよレイジングハート」

「Divine Shooter.」

「いっけーーー!!!」

そして最後にフェイトちゃんが接近してターゲットの封印、または破壊を行います。
今回もいつもの様に行動しました、けど・・・

「バルディッシュ!」

「Yes, sir. Haken Form 」

「ハーケンスラッシュ!」

「ヒヒーン!」

「「「バリア!」」」

フェイトちゃんの攻撃はユニコーンさん?のバリアに防がれ、そして
私達の動きが止まった所にユニコーンさんの攻撃が加えられました。

「ヒヒーン!!」

「「フェイトちゃん!」」

「くっ!バルディッシュ!」

「Round Shield」

ユニコーンさんの角から放たれる強力な電撃がシールドを張ったフェイトちゃんに襲い掛かります。

「くっ!ぅぅ」

ユニコーンさんの攻撃が終わり爆発が起こりました。
そしてそこからフェイトちゃんが飛び出してきて、私達はフェイトちゃんの元へ行きました。

「フェイトちゃん!」

「大丈夫け?」

「うん、大丈夫、でも、あの子、強い」

ユニコーンさんの方を見てそう言うフェイトちゃん。
確かにフェイトちゃんの言うとおり、あのユニコーンさんは強い、
でも私達が頑張れば倒せない程でもないと思う。
私がそう考えていたときでした、急にリーンフォースちゃんが声を上げたのは。

「マ、マスターはやて!」

「どうしたんやリーンフォース?」

「結界内に人がいます!そっそれにこっちに向かって来てます〜」

「「「えぇ!」」」

リーンフォースちゃんの言う事を聞いて私達が驚きの声を上げたとき、そこに一陣の風が吹きました。
これが私達と祐一君の初めての出会いだったのです。









「結界が張られたと思ったら、お前達の言っていた管理局の魔導師か?」

「「It thinks so. Master(そう思われます、マスター)」」

「まあいい、此方に敵対行動をとらない限り放っておけ」

「「Ok Master」」

デバイスの返事を聞き一度頷いてから、俺は眼を閉じて側に待機している真琴に念話を送る。

「真琴もいいな?」

「あう?攻撃しなければいいんでしょ?」

「ああ」

「分かったわよ」

「よし」

真琴の返事を聞き、もう一度頷いてから俺は、左手に握ったデバイス、Wonderを目標に向ける。

「ワンダ、スキャン開始だ」

「Scanning   completion!」

「形状は馬型、ナンバーは11か?」

「Yes Master」

「なら問題はないな、ブレイブ、ワンダ、ソードで行く」

「「Ok Master Sword」」

両手に握られたデバイスから蒼白い魔力の刃が生まれる。

「さて、行くぞスタービースト!」







私達と祐一の出会い、凄く冷たい目、でもその奥はとても暖かな光を発している。
とても不思議な少年との始めての出会い。

「彼はいったい……」

突然私達の前に現れた白に蒼のラインが入ったロングコートに、
シグナムの甲冑に似た同じく白と蒼の服装の少年。

「ユニコーンさんと戦い始めちゃったけど、どうしようクロノ君?」

「しばらくは様子見だな、それですね艦長補佐」

「ええ、それで構わないわ」

「という訳だ、戦闘が終わり次第、又は何等かで戦闘が中断した次第、現れた少年と話を試みてくれ」

「お願いね、三人とも」

「「「はい」」」

クロノと母さん、インリィ艦長補佐の命令どおり私達は一旦、謎の少年とユニコーンから距離をとり離れる。

「それにしても、彼……」

「うん、強いね」

私が呟いた声にはやてが続けてそう言った。
横を見ればなのはもはやても真剣な表情で彼の戦いを見ている。
謎の少年は、私のザンバーフォームを小さくしたような形体のデバイスで、高速戦闘をこなすしていた。
あんな小型の、しかもインテリジェントデバイスなんて聞いたことがない、
しかも、その小型のデバイス一つで、私達のデバイスに負けない出力を出している。

「もし戦う事になったら……」

私がそう呟いたその時――

「フェイトちゃん!はやてちゃん!見て!」

「ブレイブ、ワンダー!」

「Ok Master HolySlash」

「切り裂け!」

――彼は私のハーケンセイバーに似た魔法の刃をユニコーンに飛ばしそして――









「ブレイブ、ワンダー!」

「Ok Master HolySlash」

「切り裂け!」

両デバイスより飛ばした魔刃は目標の障壁を切り裂きダメージを与える。
近接戦闘で角を折り、体に幾つもの魔刃による傷、そして今のダメージを考えれば頃合か。

「よし、真琴、拘束結界を!」

俺の命令と同時に近くに隠れていた真琴が出てくる。
狐の耳と尻尾をつけた俺と同じ、小学4〜5年生ぐらいの少女が魔法を唱える。

「あうー、行っくわよ〜、焔の鎖よ、敵を縛する牢と化せ、フレイムチャーン、バインドプリズン!」

炎で編まれた鎖は目標の体を縛りつけ、あたかも牢獄に閉じ込められているかのように見える。

「よし、ブレイブ!ワンダー!セイバーでけりをつける」

「「Ok Master UnisonShift Saber」」

俺の両手に握られたデバイスが一際大きな光を放ち輝く、
その光は俺の前で一つになり、辺り一帯を蒼白き光で染め上げ、そして集束した。
光が集束した中心点、俺の目の前に、一つの大きなデバイス、勇気にて奇跡を起こす剣を生み出されていた。

「終わりだスタービースト、ナンバー11、お前の星石、頂く!
踏み出すは勇気!起こすは奇跡!振るうは聖なる剣!集え魔よ!全てを切り裂く一閃と化せ!」


ホリーアーーーク!(HolyArch)


全てを切り裂く巨大な魔刃を目標に向かって叩き落す。
魔刃が通った後は石ころ一つ残さず抉り取られていた。





――凄い、としか言いようのない魔法やった。

「フェイトちゃんのジェットザンバーに似とるけど…」

「私のとは比べ物にならない、出力、威力共に向こうの方が圧倒的に上」

確かに、フェイトちゃんが抑えてるってのもあるやろうけど、ここまで回りが酷いことにならんもんね。

「あ、帰っちゃう!待って!」

私とフェイトちゃんが考え事をしてると、なのはちゃんの声が聞こえて、慌てて私達も彼の方へ顔を向ける。

「あの、あなたはいったい何者なんですか?!それに今のユニコーンさんは!?」

なのはちゃんの質問にとっても冷たい声で彼は答えました。

「管理局か、それともそれ以外の魔導師か知らないが、あれに関わるな、あれの始末は俺が付ける」

「待って!どうして一人でするの?私達も力になれるかもしれないよ?」

「お前達は必要ない、ブレイブとワンダ、それに真琴がいれば十分だ、いいな、この件には二度と関わるなよ」

そう言い去っていこうとする彼を私は必死に呼び止めます。
なんで呼び止めたかは、この時はまだ分かってませんでしたけど。

「待ってください!名前、名前教えてください!うちははやて、八神はやていいます!」

「……」

「私は高町なのは」

「私はファイト・T・ハラオウン」

「……相沢、相沢祐一だ」

「祐一君か、ええ名前やね、祐一君、私達はこれからも関わるよ、事件が解決するまでずっと関わり続けるよ!」

「好きにしろ、死ぬような事になっても、知らないからな」

そう言って彼、相沢祐一君は真琴ちゃんを連れて去っていきました。
これが私達と祐一君の最初の出会いです。
冷たく突き放すのに不器用な優しさを与えてくれる祐一君、
この時を機に、私達と祐一君は同じ道を歩む事になったんでした。






過去に思いを馳せていたらポケットに入れていた携帯が鳴り響く。

「もしもし祐一?」

電話に出ると同時に聞こえてくるフェイトの声、それと何やら騒がしい声も聞こえる。

「フェイトか、どうした?」

「今入学式が終わったとなんや」

「ごめんね祐一君」

はやて、なのはの声を聞き、聖祥大附属の入学式が終わった事に気付く。
どうやら過去に思いを馳せている間にけっこうな時間が経ったようだ。

「はやてになのはもか、いいさ、クロノに無理を言ってるのはこっちなんだ」

「もう、あんたの制服姿見るの楽しみにしてたのに〜」

「アリサか、ならすずかもいるのか?」

「うん、いるよ、残念だったね、一緒に入学式に出れると思ってたのに」

案の定すずかもいて、少し寂しそうな声で返事をくれる、
それと、アリサの少し怒ったような声も後ろから聞こえる気がする。

「やれやれ、すずか、さくらが携帯に写真を送ったはずだから、アリサに見せてくれ」

「えっ!?うん、ちょっと待ってね、え〜っと叔母様からのメールは…あった、えっ?これって…」

「何々すずか!あー!これ祐一の制服写真じゃない!凄く似合ってるじゃない!」

「ほんとだ〜、凄く似合ってるよ祐一君」

「うん、似合ってる」

そう言えばこの携帯、番号がフェイトだったからフェイトのだろうが、全員の声が聞き取れるって事は
魔法を使ってるのか?

「もう〜生で見られないなんて損したな〜」

アリサの奴、まだ言ってるのか。

「どうせ同じ学校なんだ、明日から嫌でも見れるだろう?」

「あかんな〜祐一君、今日に制服を見せ合ってこそ意味があるんやで?」

確かにはやての言う事ももっともだな。

「あぁーもう、分かったよ、この後翠屋で入学祝をするんだろ?そこに制服に着替えていくよ」

「本当ね!よ〜し私達は先に行って待ってるから、さっさと来なさいよ!」

「そやね、楽しみに待ってるから」

「私も待ってるね、祐一君!」

三人とも俺の制服姿なんかがそんなに楽しみなのか?

「皆で待ってるから、速く着てね、祐一くん」

「ああ、分かってるよすずか」

「それじゃあ祐一、待ってるから」

「ああ、また後でなフェイト」

そう返事をして俺は電話を切る。
すずかもフェイトもそれなりに楽しみにしているみたいだし。

「そうと決まれば、速く帰ろうか真琴」

「あう〜最速で帰るわよ!」

「ああ、帰ろう、ブレイブ、ワンダー?」

「「Ok Master」」

さあ、帰ろう、俺の望む日常へ、守るべき日常へ、お姫様達も待ってるからな。





あとがき
あ〜なんだこれは?上手い事まとまらずこんな物になってしまった。
やっぱ小さくまとめるのは苦手だ。
だからといって長編書くのも下手なんだが……
取り敢えず今回のSSで使った祐一の設定でも書いときます。
相沢祐一 12歳 回想時10歳
あゆの事件から帰宅後星石(スターストーン)BraveryとWonderを手に入れたことから事件は始まる
全部で16個あるうちの二つの星石から他の星石の回収を頼まれる。
もう悲しい思いをしないように、誰かが同じ悲しみを味わう事のない様にと
踏み出す勇気と、奇跡を起こす力を手に、少年は立ち向かっていく。
祐一は魔導師としてはデバイスの補助もあり、どのような距離でも100%の力で戦えるオールラウンダーです。
でも強力無比な必殺技(ホーリーアーク等)は溜め時間や隙などが多いことから、
真琴のサポート無しでは使う事は出来ない。
てな感じかな?
デバイスの詳しい設定は雲のHPのトップに乗ってるのでそれを見てください
後、家族設定は両親は仕事で国内を飛びまわっており、
知り合いの綺堂さくらに預けられ生活をしている。
そのためすずかとは最初からそれなりに仲がよかった。
てな感じの無茶な設定です。
本当はこの家族設定はこれで使う気は無かったんですが、
考えたんだし使うかってことで使用しました。
設定は以上かな?
自分でもこりゃ駄目だ、と思うような駄文ですが、読んでいただけたなら幸いです。
それでわ