※この作品は一応ALLエンドで「双恋」とのクロスです。

祐一達は一年進級しています。

双恋のメンバーは高校生という設定です。

……あんまり、Kanonキャラは出てきませんが、そこん所をご了承ください

なお、桜月姉妹は指定や説明が無ければキラ、ユラの順。一条姉妹は菫子、薫子という順でセリフを書いてあります。











「ただいま〜」

「ただいま帰りました。秋子さん」

「お帰りなさい。二人とも」

 

授業という苦行を終え、居候先の水瀬家へ名雪と共に帰ってくる。

 

 

Trrrrrr……

 

 

「お母さん。電話が鳴ってるよ?」

「ごめんなさい名雪。今揚げ物をしてるから手が離せないの」

「じゃあ、俺が取りますよ。秋子さん」

「ありがとうございます。祐一さん」

 

ガチャッ

 

「はい、もしもし水瀬ですが」

『あっ、水瀬さんのお宅ですか?』

 

俺が受話器を取ると、若い女の人の声が聞こえてきた。

う〜む、どこかで聞いたことがある声だな?

俺が頭の中でそれらしき人物を検索していると、向こうから答えが返ってきた。

 

『あっ、私、一条薫子と申しまして、そちらに居候している相沢祐一君の前住んでいた街の友人なんですが……』

「ふえっ!? も、もしかして薫子ちゃんか?」

「はい……ってこの声は相沢君!」

「うわーっ! 久しぶりだな。元気にしてた?」

「うん、高校生になってから全くといっていいほど会う機会が無かったから……一年振りくらい?」

「あぁ、それくらいになるな」

 

一条薫子。 双葉町に居た頃の幼馴染の女の子で町では結構有名な美人さん。

その美しさはファンクラブができる程で、近くにいた俺は幾度と無くファンの野郎共に痛い目に遭ったのを覚えている。

……まぁ、有名なのは他にも理由があるからなのだが。

 

「で、何か用でもあるのか?」

「うん、ちょっと知らせたい事があってね……ってちょっ―――」

「? どうしたんだ。薫子ちゃん」

「な、何でもな……きゃっ!」

 

ドタッと受話器越しに物音がすると、今度は違う女の人の声。

 

「もう、独り占めは良くないよ! 薫子ちゃん!!」

「っと、この声は菫子ちゃんか?」

「やっほー。久しぶり、相沢君!」

「あぁ、久しぶり……で、話を戻すんだが……」

「そうだった、そうだった。あのね? 今度の連休、君の居候先に遊びに行くから」

 

へ!?

 

「な、なんで!?」

「う〜〜〜ん、なんか急に相沢君に会いたくなったから……かな?」

「そんな訳無いだろ? 大方、友達がみんなどっかに遊びに行っちゃって暇なんだろ?」

「あはは、バレた?」

「あぁ、バレバレ。全く、何年友人やってると思ってんだ? 二人の事ならほとんどわかるぞ?」

「……」

「どうした? いきなり黙りこくって?」

「う、ううん、何でもない。それじゃ今度の連休の初日の10時くらいにそっちに着くと思うから、お迎えよろしく!」

「お、おう。わかった」

 

こうして今度の連休に友人である一条姉妹が我が水瀬家に遊びに来ることになったのだった。

 

 

 

 

 

Are you Twins?<part3>

by.JGJ

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン……

 

「それじゃ、今日はここまでな。日直、号令!」

「きょーつけー、れー」

「で、HRだが特に連絡は無い。明日から連休だから怪我にだけは注意するようにな。じゃあ、連休明けに会おう。以上!」

「「さよーならー」」

 

ガタガタガタッ!!

 

「「祐一さん」」

 

今日の授業も問題なく終わり、最後の授業が石橋だった為『速攻のHR』という素晴らしいコンボが決まり、帰宅の途についていく生徒達。

俺、相沢祐一も例外ではなく、明日の一条姉妹来襲に備えて帰ろうとした矢先、聞き覚えのある声に呼び止められる。

 

「ん? キラちゃん、ユラちゃん。何か用か?」

 

俺を呼び止めたのはキレイな黒髪の脇をそれぞれ赤と紫っぽい青のリボンで止めた顔がそっくりの二人の女の子―――桜月キラちゃんにユラちゃんだった。

 

この時点でわかる人もいるかもしれないが、彼女達は双子なのだ。

始業式の時にここに転校してきた二人は、初日にいきなり俺に告白してきたのだ。

彼女達曰く、『キレイなコートを着て、にっこり笑って私達に手を振った』らしいのだが、俺はイマイチ覚えていない。

肝心の告白の方はあまりにいきなり過ぎたので、ひとまず友達ということでOKを貰い、今の関係が続いている。

 

 

閑話休題

 

 

「うん、よかったらでいいんだけど……」

「明日からの連休、どこかへ遊びに行こうかなと思ってて、それで祐一さんもよかったらどうかなって」

 

どうやら、連休中の遊びのお誘いらしい。

う〜ん、行きたいんだけど薫子ちゃんたちがこっちに来るからなぁ……

罪悪感が残るけど断るしかないか。

 

「ゴメン、ちょっと用事があって」

「えー残念……やっぱり今日はダメな日なのかなぁ……」

「うん、占いも最下位だったし、教科書忘れちゃうし、剣持さんが愛用の日本刀で素振りしてたおかげで少し遅刻しそうになるし」

 

さ、最後のがちょっと気になるな。

 

「そういえば。剣持さん、『小僧覚悟ぉぉぉぉ!!』って鬼気迫る勢いで振り回してたよね」

 

お、俺か!? 俺をKILLする為にか!?

ヤバい、これを剣持さんが知ったらマジで10回くらい殺される。

あの人の前では銃刀法違反は適応されないからな。

……なんか舞みたいだ。

 

「ゴメンな。その代わり今度絶対埋め合わせするから」

「「本当? 楽しみにしてるね」」

「うん、それじゃまた学校で」

「「うん、ごきげんよう。祐一さん」」

 

これで剣持さんの耳に入る事が無ければいいんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、駅前に着いたが……」

 

時計を見ると丁度10時。改札にでもいればわかるかな?

と、改札へ足を向けたその時、

 

「相沢君―!!」

「こっちこっちー!!」

 

少し茶色みがかった髪をポニーテールのように結んだ女の子と、同じく茶色みがかった髪をショートカットにした女の子が俺に向かって手招きをしている。

あの姿は正しく薫子ちゃんに菫子ちゃんだな。

ただ、二人とも俺を呼ぶのはいいんだけど、大声では勘弁してくれ。

周りの視線が刺さるほど痛いから。

 

「久しぶり二人とも。それとあんまり大声で俺の名前を叫ばないでくれ。めちゃくちゃ恥ずかしいから」

「え〜、別に私達は恥ずかしくないよ?」

 

ショートカットの方の女の子―――菫子ちゃんが反論する。

 

「菫子ちゃんが恥ずかしくなくても、俺が恥ずかしいんだよ」

「うーん、相沢君がそういうなら少し声を抑えるね」

 

ポニーテールの方の女の子―――薫子ちゃんが謝る。

 

「そうしてくれると助かる。薫子ちゃん」

「それより、早く秋子さんの所へ行こ? みやびさんにお土産預かってるし」

「そうそう、るるちゃんとららちゃんが相沢君に会いたがっていたわよ? たまには電話してあげてね」

「あぁ、わかった。それじゃあ案内するよ。荷物貸して」

「「うん、ありがとう」」

 

 

ズシッ

 

 

お、重い……

 

女の子が旅行に必要な物って結構あるのか?

俺は両手に花ならぬ荷物を持って、フラフラとした足取りで水瀬家へ案内する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、ここが商店街。大抵の物はここで揃うから、学校帰りなんかよく寄らせてもらってるんだ」

「へーっ、キレイな商店街だよね。菫子ちゃん」

「うん、ウチの商店街と同じくらいキレイだし、活気もあるし」

 

水瀬家に着いた俺達は、秋子さんの用意してくれたお昼を食べると、彼女達を連れて街の案内をする事にした。

といっても、俺もそんなに詳しいわけではないので、名雪に案内してもらったコースに若干自分流のアレンジを加えた簡単な説明なのだが。

二人とも興味津々なのか、とても楽しそうに聞いてくれるから、こっちも案内のしがいがあるというものだ。

 

「ねぇ、少し休憩しない? 少し歩きっぱなしで疲れちゃったし」

「そして疲れたときといえば!! あれだよね? 菫子ちゃん?」

「うむ、あれですな。薫子ちゃん」

「はいはい……この近くに百花屋っていう本格的な喫茶店があるから、そこへ行こうか?」

「さっすが、相沢君!!」

「伊達に友人として長年付き合っていたわけじゃないね!」

 

ははっ、現金な二人。

 

「じゃあ、そこだから行こうか?」

 

カランカラン……

 

「いらっしゃーい。おや? 祐一君じゃないか? 今日はまた違う美人さんを連れてるな」

「はははっ、どうもマスター。こっちは前いた街の友達なんだ」

「あっ、一条薫子です」

「一条菫子です」

「ほう、双子さんか……礼儀正しい子だねぇ。

私はここのマスターをやってて、祐一君とは顔馴染みなんだ。祐一君の友人なら遠慮は要らないよ。ごゆっくりとくつろいでくれたまえ」

「「はい、ありがとうございます」」

 

俺達はマスターとの話を切り上げると、近くに席を見つけて座る事にした。

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました。こちらコーヒーと紅茶二つ。モンブランにショートケーキになります」

 

注文した物が次々に運ばれてくる。

俺は出されたコーヒーを受け取ると一啜り。

うん、相も変わらずの素晴らしいお味ですな。

 

「おいしいーー!!」

「本当、この為だけにここに引っ越したいくらい」

 

お互いケーキを食べながら賛美する正面の二人。

 

「ははっ、さすがにそれは無いだろ?」

 

俺の為にこっちへ引っ越してきた人ならいるけど。

 

「でも、おいしいのは確かよ。相沢君ってばこんなおいしいものを食べれる所が近くにあるなんて羨ましいんだから」

 

『甘くておいしいね〜キラちゃん』

『本当、祐一さんも一緒に連れてこられればよかったのになぁ…………あれ?』

 

「ん? この声は……」

「「あれ? この声は……」」

 

後ろの席を振り返ってみると、そこにはキラちゃんの顔のアップがあった。

 

「うわぁっ!!」

「きゃっ!? って祐一さん?」

「キラちゃん!? それにユラちゃんも!?ど、どうしてここにいるんだ?」

「私達はここら辺でおいしい喫茶店があるって護国寺さんに聞いて二人で来て見たの」

 

確かにキラちゃんのいう通り二人はお嬢様っぽい高そうな私服を着てるな。

 

「それで……そこの方々は?」

 

で、ユラちゃんがお約束の如し、後ろの二人について聞いてきた。

 

「あっ、この二人は俺の幼馴染の一条薫子ちゃんに、菫子ちゃん。

で、こっちは今の俺のクラスメートで今年こっちに引っ越してきた桜月キラちゃんにユラちゃん」

「「よろしくね。桜月さん」」

「キラ、ユラでいいですよ。その代わり私達も薫子さん、菫子さんと呼ばせてもらいますから」

「そう?」

「じゃあ、改めて。よろしくね、キラさんにユラさん」

「「はい」」

 

よかった……昨日断ってしまった事に根を持ってないみたいだ。

 

「それじゃ、一緒に相席どうかな? 折角知り合ったんだし」

「「え!?」」

 

薫子ちゃんの提案に驚いた表情をするキラちゃん達。

 

「うんうん、ここであったのも何かの縁だしね……どうかな?」

「い、いいのかな?」

「「どうぞどうぞ」」

「じゃあ、ユラちゃん」

「そうだね。お言葉に甘えようか?」

「祐一さん、ご一緒してもいいですか?」

「あぁ、構わないぞ? みんなで賑やかにお茶するのは嫌いじゃないしな」

 

俺がOKするとキラちゃん達は俺が詰めた所に並んで座る。

 

「でも、羨ましいなぁ……相沢君といつも一緒にいられるなんて……」

「薫子さん達は、どれくらいの頃から祐一さんと付き合っているんですか?」

「相沢君とは小・中学校と一緒で、小さな時はすぐ近所に住んでいたの」

「へぇ……」

「そうなんですか……」

 

イマイチ会話に元気が無いキラちゃん達。

 

「「……」」

「どうかしたか? キラちゃんにユラちゃん?」

「えっ!? ご、ゴメンなさい。あの私達用事があるのを思い出して……ね? ユラちゃん」

「う、うん……もう行かないといけないの」

「えっ!? そうなの?」

「そ、それじゃ、私達は用事があるから……」

「三人とも……ごきげんよう」

 

えっ!? キラちゃん達―――泣いてる!?

キラちゃん達はそれだけいうと、早足で店の外へ出て行ってしまった。

 

「あっ、いっちゃった……」

「ねぇ、二人とも。俺……」

 

俺が二人に話しかけると、すべてわかっているといった風に、

 

「うん、なんか様子が変だったし、もう十分案内はしてもらったから……」

「相沢君は桜月さん達を追いかけてあげて?」

「ゴメン、二人とも」

「こっちの事は気にしないでいいから」

「ありがとう、それじゃあ行ってくる!!」

 

俺は二人にお礼をいって店を出る。

さて、何処を探したもんか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

「いた!!」

 

街中を走り回って、ついに公園で二人して座っている所を発見する。

 

「キラちゃん! ユラちゃん!」

「えっ!?」

「ゆ、祐一さん? どうかしたんですか?」

「いや、二人が急にいなくなるから、何か気になって……それに何だか泣いていたみたいだったから……」

「そ、そんなこと……」

「う、うぅっ……」

 

突然泣き始めてしまった二人。

 

「ど、どうしたんだ? 二人とも?」

「「祐一さぁん!!」」

 

泣き出したかと思うと、今度は俺に二人して抱きついてきた。

俺は赤ちゃんをあやすようにポンポンと背中を軽く叩いてあげる。

 

「まさか、祐一さんが私達を追いかけて来てくれるなんて……」

「私達、一条さん達がいるあの場所にいるのがツラくて……」

「一条さん達は私達の知らない祐一さんを一杯知ってると思うと、胸が苦しくなって……」

「それに比べて私達は―――って思うと段々あの空間に耐えられなくなって」

「あぁ……」

 

ポンポンする手は止めずに頷く。

 

「でも、祐一さんは私達を追いかけて来てくれた」

「うん、私達の気持ちを感じてくれた祐一さん……とっても嬉しかった」

「まぁ、確かに思い出の数なら薫子ちゃん達の方が一杯あるかもしれない。

 だけど、キラちゃん達にはこれからたくさん俺と思い出を作っていけばいいんだから……その為になら俺も出来る限り付き合うよ」

「ありがとう……祐一さん。本当に嬉しい」

「祐一さん。これからもよろしくね」

「あぁ、こちらこそよろしくな」

「「うん!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、また来るね」

「楽しかったよ」

「いつでも来てくれよ。秋子さんも大歓迎だっていってたし」

 

楽しかった連休もあっという間に終わり、俺はキラちゃん達を連れて薫子ちゃん達のお見送りに来た。

 

「また遊ぼうね」

「今度は私達も案内するね」

「ありがとう。その時はそうさせてもらうね」

「二人とも、次に私達が来るまでに相沢君のハートを射止めておくのよ?」

「なっ、何いってるんだよ!!」

 

まったく……

 

「重要なことよね? 薫子ちゃん?」

「うん、重要なこと」

「?」

 

「「だって……私達も相沢君のことが大好きなんだから……キラちゃん、ユラちゃん。次来た時は友達と同時に恋敵だよっ!!」」

 

「「「え!?」」」

「あっ、いけない! もうすぐ電車が来ちゃうよ」

「本当! 急がなきゃ!!」

「あ、あの……薫子ちゃん、菫子ちゃん?」

 

い、今……何ていった? 俺の事が好き?

気のせいか二人の顔も少し赤いし……

 

 

「「それじゃーねー!! ダーリン!!」」

「あっ!? おい、ダーリンって!!」

 

俺の引きとめも聞かないで二人は改札をくぐって行ってしまった。

 

「二人とも……俺のことが好きだったのか?」

 

全然気付かなかった。キラちゃん達を追いかける時も後押ししてくれたし。

俺はキラちゃん達の方を振り向く。

 

「どうしようユラちゃん。一条さん達も祐一さんが好きだったなんて……」

「幼馴染なんて強敵出現だよね。ユラちゃん」

「うわ、こっちもこっちで何か対抗心燃やしてるし」

「こうなったら、次に一条さん達が来るまでに祐一さんとたくさん思い出を作ろうよ!」

「うん、それっていい考え。一条さん達に負けないくらい、いっぱい作ろうね、キラちゃん!」

 

ん? 目が合った。

 

「「祐一さん!!」」

「のうわっ!」

 

二人がいきなり俺の腕に抱きついてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「祐一さん、これからたくさんの思い出を一緒に作ってくれますか?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続くかどうかはまだ不明

 

 

 

備考:呼び方の違いについて。

作中で一条姉妹、桜月姉妹ともに名前で呼ぶようなことを書いてありますが、二人一緒に呼ぶ場合は『桜月さん達』、『一条さん達』と呼び方を変えてあります。

 

 

 

 

 

 

 

2005年5月23日作成