※この作品は、Kanonと双恋とクロスオーバー第2弾です。
あまりKanonキャラは出てきません。あくまで主人公は祐一と桜月姉妹ですので
双恋キャラは桜月姉妹のみで二人とも高校生という設定です。
あと、この双恋はゲーム版のストーリーを参考にしていますので、基本的にストーリーはゲームに結構似た感じに進んでおります……というかそっくりです。
あと、セリフの順番は指示が無い限り大体キラ、ユラの順です。
その点に気をつけ、または了承してお読み下さい。
Are you Twins?〈Part2〉後編
作:JGJ
そして、次の日
「おはよう! 祐一さん」
昇降口で靴を履き替えていると、キラちゃん達に挨拶される。
余談だが今日も名雪が朝錬でいない。
「その……お昼の事なんだけど……」
「あの、ね……」
なんか歯切れが悪いなぁ……どうしたんだ?
「おい、相沢。朝早くですまないが職員室まで来てくれないか」
どうにも言い出せない2人がいい出すのを待っていると石橋に声をかけられる。
「あっ、はいわかりました。それじゃあゴメンね2人とも、また教室で」
「あっ……」
「……行っちゃった」
「どうしよう……期待してるよね?」
時計を見るとあと少しでお昼休み、キラちゃん達のお弁当が食べられる時間だ。
さて、おかずはどんなのだろうな……昨日いっといたからポピュラーなものだとは思うんだが……
キーンコーンカーンコーン……
「じゃあ、今日はここまで」
「よしっ! 行くか!」
学食に駆け出していく人達を尻目にキラちゃん達の席へと向かう。
「あっ、祐一さん……」
「あの……祐一さん。お昼の事なんだけど……」
「うん、それで……『相沢、あぶなーーーい!!』……ぬがっ!!」
俺が昼飯について聞こうと思った矢先、後頭部に何かが直撃する。
「相沢! おい、相沢!! どこにいるんだ!!」
この声、どうやら北川が俺に何かを当ててしまったらしい……が。
「き、北川さん……祐一さんなら今、あなたが踏んでますけど……」
「お? う、うわあぁぁぁぁっ!! 悪い、相沢!! おい相沢!!」
ガクガク
お、思いっきりシェイクするなぁーーーー!!
「がくり」
そうして俺はどこかのやかまみたいなセリフを吐きながら意識を失った。
「ほ、保健室に運べーー!!」
「相沢! おい、しっかりしろ!!」
「「……大丈夫かな?」」
うぅ、結局午後の授業中ずっと気絶していて弁当は食べれず仕舞い。
くそ! 神様は俺に何か恨みでもあんのか?
「あの、祐一さん?」
「えっ、あ、キラちゃんにユラちゃん」
教室に帰るとキラちゃん達が心配そうな顔で近づいてくる。
「頭……大丈夫?」
なんかそれだけで聞くと、俺が精神異常者かなんかみたいな感じだな。
「おう、大丈夫だ! 午後いっぱい保健室でずっと寝たからな!」
「なら、よかった……」
「えっと、ごめんな。わざわざお弁当作ってきてもらったのに……」
「「えっ?」」
ん? なんでそこで声をそろえて呆ける?
「それが……その……」
「謝るのは私達の方なの」
「え?」
その一言に今度は俺が呆ける。
「あの、実は今日手作りのお弁当を用意しようと思って朝から頑張ったんだけど……」
「その……いろいろと失敗してしまって……持って来られなかったの」
「「ごめんなさい!」」
本当にすまなそうに謝ってくる2人。
なんか、怒る気も起きないな……こう真剣に謝られると。
「明日こそは必ず持ってくるから!」
「もう1日待っててね!」
「そうだったのか……じゃあ、明日期待してるな」
「「うん!!」」
ただお楽しみが明日に延びただけだし。
明日こそはキラちゃん達がお料理を成功しますように。
そしてその次の日
「あ……祐一さん、おはよう」
「おはよう……」
朝、どうにもいつもの元気が無い2人。
「うわ、ど、どうした? そんな泣きそうな顔して……」
「すみません、あの、その……」
「朝早く起きて、色々レシピも見て、指導もしてもらったんですけど……うまくいかなくて」
「お弁当、また失敗しちゃって……」
「え? そうなのか?」
「一生懸命やったのに」
「「ごめんなさい!!」」
そっか……また失敗したのか……ここは元気付けてあげないと!
「謝らなくてもいいよ。2人は一所懸命やってくれたわけだし、それだけでも十分嬉しいぞ」
「でも今日のお昼が……」
そうだな……キラちゃんのいう通りそれが問題だ…………そうだ!!
「それなら、学食へ行くか! 以前約束したしな」
「ありがとう……」
「優しい、やっぱりあなたを好きになってよかった……」
「うん! そうだね!!」
「そんな、大げさな……じゃあ、昼は学食だから、授業が終わったら一気に飛び出すぞ?」
「「はいっ!」」
まぁ……予定とはかなりズレちゃったが、2人が元気を取り戻したし……結果オーライか?
あと10分位で昼休みか……
購買はまず競争率が高いから俺一人ならともかく2人には無理だな。
となると、やっぱり学食のメニュー狙いで行くか。
定食・丼物は運動部系の激戦区だから狙いを絞るとしたら麺類だろうか?
キーンコーンカーンコーン……
そして、運命のチャイムが鳴った。
「キラちゃん、ユラちゃん! 行くぞ!!」
「「はいっ!」」
「のわっ! もうこんなに人が……」
タイミングはバッチリだったのだが、やっぱり女の子を守りながらで行くと最高速は出せない訳で。
食堂には既に黒山の人だかりが出来ていた。
「うわぁ〜……」
「これは……私達には無理かも……」
2人はア然とした感じでその風景を眺めている。
「ええぃ! 迷ったら負けだ! 当たって砕けるだ! 相沢祐一、吶喊します!」
「それをいうなら『砕けろ』ですよ。相沢さん」
突っ込もうとした矢先、後ろからそう突っ込まれて動くタイミングを外す。
振り返ると赤みを帯びた髪をした一人の少女―――というか天野が立っていた。
「おぉっ、みっし〜」
「相沢さん、その呼び方は止めて下さい……それで行かなくてよろしいのですか?」
「おおっ! 急がないと……って天野が止めたのだろうが!」
「あの、祐一さん。この方は?」
ユラちゃんが俺に聞いてくる。
そうだった。2人とも名雪と香里と北川以外の友人を紹介してないからな。
「この子は天野美汐っていって俺の後輩なんだ。天野、2人は桜月キラちゃんとユラちゃん。この前こっちに転校してきたんだ」
「「よろしく、天野さん」」
「相沢さん、2人はもしかして?」
「もしかしなくても彼女らは双子だ安心しろ。決して片方が狐とかそういうのじゃない」
「なら、いいのですが……それで私もご同行させてもらってよろしいでしょうか?
今朝は不覚にもお弁当を作るのを忘れてしまいまして」
「なんだそういう事か、ならお兄さんに任しておきなさい!
いいか? 俺が先行するから3人はピッタリと俺の後ろをついてくるんだ」
「「はい!」」
「わかりました」
「じゃ、行くか!!」
俺達は先程説明したフォーメーション通りに並んで黒山に突っ込んだ。
「うりゃっ!」
「きゃっ!」
「ぐぐっ、前に進め……ない……」
「きついです……」
こうなったら相沢祐一、フルパワーだ!
「うぉぉぉぉっ!!」
次々に山をかきわけ、前に進んでいく。
「きゃーっ! すごい!」
「さすが祐一さん」
「お見事ですね」
3人の口から次々に感嘆の声が漏れる。
「まだまだ! 3人とも、今から俺がスペースを作る! その隙にカウンターへ行くんだ!!」
「は、はい!」
「でも、あなたは?」
「大丈夫、俺もすぐに向かうから! 天野、陣頭指揮は任せたぞ!!」
「わかりました。では、2人とも今度は私についてきて下さい」
「「はいっ!」」
そうして俺は力を込めて名も知らぬ男子生徒を押しのけて無理矢理道を作る。
「「「それっ!」」」
天野を先頭にキラちゃん、ユラちゃんも無事に抜ける。
「……これでいいんだ……あとは任せたぞぉ!!」
そして俺は黒山に呑み込まれてしまった。
「やった! 買えたよ!」
「私も無事に買えたわ!」
「私も希望のものを買う事ができました……それで相沢さんは?」
「そういえば……いないね」
「どこに行っちゃったのかな?」
「はぁ、ふぅ、た、ただいま……」
つ、疲れた。
「相沢さん、みんな希望の商品を買う事ができました。それで……相沢さんは?」
そう、俺の手元には丼はおろかお盆さえ持っていない。いわゆる手ぶら状態だった。
「あれ、あなたは?」
「ない……の?」
「あ、あぁ、売り切れちゃってな……あはははは」
そう、あの後死ぬ気でカウンターまで辿り着いたのだけれど時既に遅し、商品は全て売り切れてましたとさというオチだった。
「そんなぁ……」
「私達が先に買ったばっかりに……」
「いえ、2人は悪くは無いですよ。私があそこで止めてしまったばっかりに……」
……気まずい沈黙、でもそれを打ち砕いたのはキラちゃんだった。
「そうだっ! 私達の分を一緒に食べよう!」
「そうだよ、これ量も少し多いし……」
「確かにここのは部活動の人用にわりと多めになってるけど……いいのか?」
「もちろんですよ。私にもこれは量が多すぎるみたいですから……」
天野も……
「4人で分け合って食べましょ」
キラちゃん……ユラちゃん……天野……
「ありがとうな。ところで、3人とも何を頼んだんだ?」
「私はきつねうどんです」
「ユラちゃんは?」
「かけそばです」
「天野は?」
「私は山菜そばです」
「相変わらず頼む物もおばさん臭いな」
「そ、そんな酷な事はないでしょう! そんなこという相沢さんには分けてあげませんよ?」
「う、うわぁ、山菜そばだなんてナウいチョイスだなぁ……」
何もいうな。俺は芸人魂よりも自分のお腹の方が大事なんだ。
「祐一さん、それ古いよ……」
「今時ナウいなんて……ぷっ……あははは」
「あははは、いわないよねぇ……あははははは」
「ふふふっ」
「あははははははっ」
横でキラちゃんが笑い出したのを皮切りに次々に笑い出す俺達。
こんな昼食も悪くは無いか。
そんな事を腹を抱えて笑いながら思った今日この頃だった。
Q.続きますか?
A.意見があれば
2005年3月15日作成