※この作品は、Kanonと双恋とクロスオーバー第2弾です。
あまりKanonキャラは出てきません。あくまで主人公は祐一と桜月姉妹ですので
双恋キャラは桜月姉妹のみで二人とも高校生という設定です。
あと、この双恋はゲーム版のストーリーを参考にしていますので、基本的にストーリーはゲームに結構似た感じに進んでおります……というかそっくりです。
あと、セリフの順番は指示が無い限り大体キラ、ユラの順です。
その点に気をつけ、または了承してお読み下さい。
Are you Twins?〈Part2〉中編
作:JGJ
「「おはよう」」
次の日の朝、校門の所でキラちゃん達と会った。
ちなみに名雪は朝錬でいない。
「おはよう」
「今日もいい天気ね」
「今日は調子が良さそうね」
「あぁ、今日は何とか。ちゃんと朝も食べてきたし」
昨日食べなかったせいか、今日は3杯もお代わりをしてしまったけど
「よかった。昨日はなんか元気が無くて、心配しちゃったけど……」
「心配してくれてありがとう、今日は絶好調だから」
「昨日はどうしちゃったの?」
「昨日は急いでて朝食べれなかったから……あははは」
ユラちゃんにそう苦笑いして答える。
昨日は結局一食しか食べれなかったもんなぁ……
「それじゃ、元気でないわよね……ってええ!? それなのにお弁当食べなかったの?」
しまった! 墓穴を掘った!
「い、いやあの時は友達の碁石クッキーを思い出して、突然、何故か、不思議に、めちゃくちゃ食欲が無くなったんだ」
……あゆスマン。今度鯛焼き奢ってやるからな。
「どうしよう! 私達2人でほとんど食べちゃった……」
「いや、食べてくれて助かったよ。食べずに持って帰ったら神様に怒られちゃうだろ?」
自分の場合は居候だから、そういう所は結構気を使わないといけないからな
「うふ、そういってもらえると嬉しいな」
「普段もお菓子は食べるけど、ああいう食べ方って新鮮だったし」
アレを気に入ったのか……恐るべし女の子。
「今日のお弁当も昨日みたいな感じなの?」
「ううん、弁当じゃないんだ。今日は学食」
キラちゃんの質問にそう答える。
俺はいつも、栞か佐祐理さんのお弁当が無い時は購買と学食をローテーションしている。
今日はこの前が購買だった気がするので学食と決めていた。
「学食?」
「いいなー、私達まだ行った事が無いの」
「だから、ちょっと憧れてたりするの」
「行ってみたいね」
そうか……まだ2人は学校に来て間もないからな……
「じゃあ、そのうち連れて行ってやろう!」
「本当に!?」
「すっごく楽しみー! 待ち遠しいな」
「ははっ、あんまり期待しない方がいいぞ。その分ガッカリ度が比例するから」
「「ふふっ、期待してます」」
「だから、期待してもらっても困るって……」
そんなやり取りをしていたら予鈴が鳴ってしまったので、俺達は足早に教室に向かうことにした。
キーンコーンカーンコーン……
ガララララッ!
『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!』
……ん……なんだよ、煩いなぁ……
俺は今凄く眠いんだ、この心地良い眠りを妨げるんじゃない……
「ねぇ祐一さん、お昼だよー」
「学食に行かなくてもいいの?」
「zzz……くーー」
「ダメ、起きてくれない。ユラちゃん、そっちからも声を出して!」
「うん、わかった。じゃあ、せーの!」
「「お昼だよーー! 起きてーー!!」」
耳元で大きな声で呼ばれ目が覚める。
「はっ……ここは……教室だよな?」
「あっ、起きた!」
目を覚ますと俺の目の前には何故かキラちゃんがいた。
「あれ? 人がいないけど……もしかして移動教室?」
「お昼休みだよ。学食に行くっていわなかった? それに北川さんに起こしておく様に頼まれたの」
キラちゃんの横に立っていたユラちゃんがそういう。
ん? 学食? 学食、学食、学食、がくしょく、ガクショク……
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
しまった!? グッスリ眠ってしまった!?
最近お弁当で勘が鈍ったか、俺!?
……ってことは
「やっぱり……」
起きて速攻で学食まで走ったが時既に遅く、購買、学食共に黒山の人だかりが出来ていた。
テーブルは座れる所がちょこちょこあるのだが、いかんせん食べる物が無い。
「バカだな、相沢……むしゃむしゃ」
「斉藤!? お前買えたのか!?」
「当たり前だろ? 俺は昼食戦争のエースだぞ。エ・ー・ス! むしゃむしゃ」
くそ、名前しか出ないくせに生意気な……
「眠りこけてたお前が悪いんだろ? 自業自得だ。このパン1000円で売ってやろうか?」
「そんなぼったくり、誰が買うか!!」
「あ、そ。美味いのにな」
そういいながら購買人気No.1のメロンパンを一齧りする斉藤。
く、くそーー!
「そういえば、次は体育だったっけ? 今日は確か持久走だったよなぁ……」
「ぐ……」
これは……もはや買うしかないのか? あのぼったくり菓子パンを……
「仕方ない買『うわぁ〜すごい人だね。ユラちゃん』……キラちゃんにユラちゃん?」
「本当ね。こんなに人がいるなんて驚いたな……」
「2人とも、どうしてここに?」
東京に初めて来た田舎者みたいに辺りをキョロキョロ見回している2人に声をかける。
「あなたと一緒にお弁当を食べようかな〜と思って」
「学食も見つかったし、私達、お弁当を持ってきちゃった」
そういいながらそれぞれ、リボンの色の布で包まれた物を見せる2人とも。
「あれ? 祐一さんはもう食べちゃったの?」
「一緒に食べようと思ったんだけど、ゆっくり来すぎちゃったのかなぁ……」
「え? いや、実は遅すぎて買えなかったんだ……」
隠しててもしょうがないから正直に白状する。
「「えぇーーっ!!」」
「はははっ、かわいそうにねぇ……昼飯抜きだなんて」
「ふふん! 日頃から女性のお弁当ばかり頂いていた罰が当たったんだな」
同情しているようで、めちゃくちゃ同情なんかしていないような言葉が斉藤といつの間にか来た久瀬から発せられる。
「なら祐一さん、私達のお弁当を一緒に食べましょう?」
「えっ?」
今なんと?
「ね? そうしようよ。今日は私達のお弁当で我慢してもらって」
「えっ、いいの? よっしゃラッキー! 地獄に仏とはこの事だな……いや、キラちゃん達は女の子だから女神様か?」
「「女神様だなんて……」」
「それじゃ、ありがたく『いーや、よくないっ!』」
俺の言葉を久瀬が遮る。
「相沢、そんな畏れ多いことを!」
「そうだ! 遠慮しろ!」
斉藤もそれに賛同するかのようにいってくる。
「本当にいいの?」
「もちろん! あなたと一緒に食べられるんだもの」
「気にしないで、すごく嬉しいんだから」
「……というわけで、はい! 全部食べても構わないから」
俺に赤い包みのお弁当を差し出すキラちゃん。
「えっ、じゃあキラちゃんはどうするんだ?」
「私はユラちゃんのお弁当を分けて食べるから」
「そうだね、そうしよう」
嬉しいけど、さすがにそこまでしてもらうわけにも行かないなぁ……
「それじゃあ、キラちゃん達が半分しか食べれないでしょ?
だから3人で均等に分けよう……それじゃあ、このお弁当のフタに……」
キラちゃん、ユラちゃんのお弁当から均等になるように選んでおかずを取っていく
「あ、私のキュウリあげるね」
「だめよ、キラちゃん。キュウリが嫌いだからって祐一さんに渡しちゃ……」
「あは、バレちゃった?」
「いいよ。俺キュウリ結構好きだし……よし、こうやって分ければ……」
「うわー! ぴったり3分の1だよ!」
実は小・中学校の頃に幼馴染の双子とこういう事をやっててそれで慣れちゃったとはいえないよなぁ……
「こういうのってなんかいいよね」
「はははっ、そうだな。こうやって3人でお弁当の分けっこなんて」
「うぬぬぬぬっ……!」
そんなほのぼのとした空間の後ろで恨みがましく唸っている斉藤。
「あれ? まだ食べてたのか? どうした、パンでも喉に詰まったか?」
先程の仕返しとばかりにわざと嫌味ったらしくいう。
「どうだ、このタコさんウインナー1000円で売ってやろうか? な〜んてな!」
「ふぬぬぬぬぬっ……!!」
はっはっは! 人のことを笑うから天罰が下ったん……
「そのタコさん買ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
だ……って久瀬!?
「ふん、君のような平民にそのタコさんは似合わない……だが、この僕が食すことによりきっとそのタコさんの価値は高まるだろう!! その為の1000円なら……僕は喜んで払おうではないか!!」
久瀬、お前佐祐理さん命じゃなかったっけ?
というか食われてしまえば価値も何もあったものではないと思うのだが
「さあ、そのタコさんを僕に渡したまえ……」
「あのなぁ、そんなの冗談に……」
「あっ、じゃあ俺も」
決まってるだろ。という前にいつの間にか集まってたギャラリーからそんな声がかかる。
「なら、俺は1500円だすぞ!!」
斉藤もなんかノリノリになっている。
「その卵焼きはいくらだ? 相沢?」
北川がそんな事を聞いてきたので裏拳でタイルの床に沈めておいた。
……そんな事しなくても香里の制裁を浴びるだろうがな
「「あ、あはははは……」」
「収拾つかない状態になった……」
タコさんウインナー1つで
「……あっ、こら勝手に取るな! おかずが少なるじゃないか!! こうなったら……」
そういいながらおかずの乗ってるフタを持つ
「ま、待て! 早まるな!!」
久瀬の制止を無視してそのまま口に近づけ、角度を45度くらいまで上げて一気にかきこんだ。
「もぐもぐ……」
「ああああ……なんて勿体無い事を……うううっ」
てか、タコさんウインナー1つで泣くな。久瀬よ。
「お昼、大変だったね……まさかあんな大騒ぎになっちゃうなんて……」
「でも、一緒にお昼が食べれて楽しかった」
放課後の帰り道でキラちゃんとユラちゃんが当時を思い出すかのように話してきた。
「ゴメンな。あのあと先生に『静かにしろ』って怒られちゃって……
それに、あの騒ぎであんまり食べれなかったみたいだけど……大丈夫?」
「ううん、全然大丈夫! あのくらい食べれば私達は十分なの」
「ちょうどいいダイエットにもなるよね」
「そう、それならいいんだけど。本当に食べられてラッキーだった。ものすごく美味かったし……」
ただ、あの騒ぎのせいであんまり味わえなかったけど
「えへへ、ありがと。でも明日はどうするの? やっぱり学食?」
さすがにあの騒ぎの後だ。学食は不味いだろうなぁ……
「あっ! ユラちゃん、いい事を思いついちゃった。明日は祐一さんの分も用意しちゃおうよ!」
「あっ! それいい考え! 祐一さん、どうかな?」
「ええっ!? そりゃ俺は嬉しいけど……いいの?」
「「もちろん」」
「それじゃあ、お願いしようかな?」
俺が肯定の意を表すと2人ともぱぁっと笑顔になって
「やったー! お揃いのお弁当を3つ持って来るね」
「うわー楽しみー」
「あぁ、俺も楽しみにしてるよ」
そんなこんなで分かれ道まで話をして、そこで別れることにしたのだった。
そして次の日……
「いつもながら凄まじいな……」
4時間目の終わりと共に教室から次々に出て行くクラスメートを見ながら一人ごちる。
ということで俺も昼にしようかと肝心のキラちゃん達を探しているのだが、さっきまでいた2人の席はもぬけの殻で姿がいつの間にかいなくなっていた。
ガヤガヤ……
「ん? なんか廊下が騒がしいな……何してるんだ?」
野次馬根性丸出しで廊下に出てみる。
「なんだあれ? 花見でもすんのか?」
「さぁ……というかあそこに桜なんて植えられてないだろ?」
「おーい、廊下でなにやってるんだ?」
とりあえず近くでみんなと同じように背伸びして窓の外を必死に見ていたクラスメートAに話しかける。
「あぁ、相沢か。ほら見てみろよ。あれ」
と指差すが肝心の景色は人だかりで見事に覆い隠れてしまっている。
うーむ、非常にやな予感がするのだが……
「「おまたせ」」
「あ、キラちゃんにユラちゃん。どこに行ってたの?」
「ちょっとお昼の準備に行ってたの」
「それじゃあ、いきましょう」
といいながら俺の腕をグイグイ引っ張っていくキラちゃん
「え? 行くってどこに? これからお昼じゃないのか?」
「そのお昼ご飯に行くの」
「さあ、はやくはやく!」
ユラちゃんも加わり腕を引っ張る力が強くなる。
「うわっ! ちょっと、どこ行くの?」
「中庭です」
「中庭……ってえ? 外で食べるの?」
「「はい!」」
あの窓から見えるのって確か中庭も含まれていたよな……
「お待ちしておりました。御用意できております」
「「ごくろうさま、護国寺さん」」
「な、なっ、なんじゃこりゃあーー!!」
某刑事さんのように叫ぶ声がまだ春になりたての空に響き渡る。
だって、御膳だぞ御膳!!
お膳の上に天ぷらやらお刺身やら茶碗蒸しやらステーキやらなんか高級そうなものばっかり乗っててて
しかも召使いみたいな人までいて呼び方が「お嬢様」だぞ!?
これで驚かない人がいたらその人は感情が欠落しているだろう。
……ってまてよ? この召使いさんどっかで……
「あぁーー! 始業式の時に道を聞いてきた運転手さん!!」
「はい、あの時はお世話になりました。護国寺と申します。以後お見知りおきを」
失礼にも大声を上げてしまったのにも関わらず、丁寧に俺に向かってお辞儀をする護国寺さん。
「……ってことは、キラちゃん達ってお嬢様!?」
「はい、あまり自覚は無いんですけど一般的にはそういわれると思います」
ユラちゃんが答える。
知らんかった……
まぁ、お嬢様学校の月華学園にいたのだし、俺の為だけにこんな北まで来たのだからそうじゃないかな?
とは思っていたけど
実際に「そうです」といわれるとやっぱり予想ついてても驚くよな……
「そんな事より、約束通りお昼を用意しました」
「今日は特製なの。さぁ、遠慮しないでどんどん召し上がれ」
「ほら、早く座って座って」
「あ、う、うん……」
これは予想外……いや、予想以上だな……
とりあえず、立ってても何なので近くの敷いてあるシートの上に正座する。
「うちのシェフが腕によりをかけて作ったお弁当なの」
「素材も今朝空輸で届いた産地直送の物を使ってるのよ」
こりゃ、弁当というよりフルコースいや、和風が主流だから懐石料理か?
とりあえず、弁当という枠から大きく逸脱しているものと見て間違いは無いだろう。
「どうしたの? あ! 嫌いなものがあった?」
「お肉の焼き具合がお気に召さない?」
呆然としている俺に対して、そんな気遣いをしてくれる2人。
いや、もはやそういう次元の話では無いのだが……
「いや、そうじゃなくてだな……ただ周りが……」
チャキッ
俺が最後まで言葉を放つ前に後ろで鳴った不穏な音。
あー、こりゃ刀を抜くときに出る音だな。
距離からして狙いは……俺か?
……って何冷静に考えてるんだ!
「誰だ!」
「……こほん」
そこにはタキシードに身を包んだ、初老の紳士風の男性が立っていた。
「私、お嬢様方の執事を務めさせていただいています剣持と申します。
護国寺共々よろしくお願いいたします」
「あっ、はい。相沢祐一です。こちらこそよろしく」
剣持さんが差し出してきた手をこちらも握り返す。
この人か? でも刀なんて持ってないし……気のせいか?
ぎゅぅぅっ!
「い、いた、痛いっ!」
「もしも、お嬢様方を悲しませるような事をした時は……
この私地獄の底まで追っかけてあなたの命を頂戴に参りますので、そのつもりで」
「は、はい」
気のせいじゃない。この人は躊躇い無く俺を殺りそうだ。
「さっ、相沢様。お嬢様がお待ちですので」
締め付けられていた手が解放される。
マ、マジで痛かった。
「あ、あの……」
「いや、大丈夫だよ。わぁー美味しそうだ。それじゃいただきまーす!」
「「どうぞ」」
箸をもらい、まずはだし巻卵を口に入れる。
「……うっ……!」
「「……えっ!?」」
「うまい! なんて美味しいんだ!!」
下手したら秋子さんより美味いぞこりゃ。
「よかった」
「じゃあ、私達も食べようか?」
「何か、欲しいものがあったら遠慮なくいってね」
「ふーーっ……お腹一杯……ごちそうさま」
「「ごちそうさまでした」」
お弁当を残さず食べ切り、食後の御挨拶。
キラちゃん達の用意してくれたお弁当は本当に美味かった。
聞けば、フランスの三ツ星レストランでシェフをしていたとかしていないとか……
う〜む、恐るべし桜月家。
というより、それを秋子さんと比べて引けを取らないと思ってしまったという事は秋子さんの料理の腕は三ツ星シェフ級にまで昇華しているという事か?
……オレンジ色のジャム以外は
「いやぁ、それにしても美味かったなぁ」
「よかったぁ! 嬉しい」
「頑張った甲斐があったね」
「さて、片付けないと」
「あ、そのままで大丈夫。家のものが片付けるから」
「そ、そう? ならいいけど……ってうおっ!」
「えっ、どうしたの祐一さん?」
「結構、人がいたのな。全然気付かなかった……」
周囲を見回すと窓には人人人の人だかり。
さっきの倍はあるぞ?
いつの間にこんなにギャラリーが増えたんだ?
「わぁ、人が一杯。なにかあったのかしら?」
「気になるね。後で聞いてみよう?」
「ははは……」
当然、俺達を見てたんだよ。2人とも
「そうだ、ところで祐一さん!」
「ん?」
片づけを召使いの方々に任せ、食休みをしていた所にふとユラちゃんが俺に話しかける。
「あの、祐一さん。明日のお昼はどうするの?」
「そうだな……また学食かな?」
栞もまだ禁止令が解けてないだろうし
「遠慮しないで! 明日もまたお弁当用意するね」
「いや、さすがに続けて御馳走になるのは……」
なんか食傷起こしそうだし
「そう? 気にしなくてもいいのに……」
「ねぇ、キラちゃん。どうせだったら私達が自分で作るというのはどうかな?」
「あの……人の話聞いてる?」
「私達が? それ、いいね!」
「おーい……」
「明日は頑張って作っちゃおうか?」
「うふふ、そうと決まったら今夜は頑張って準備をしないと」
完全に2人の世界に入ってるな……こりゃ……
「いっぱい作ろうね! ユラちゃん!」
「いろんな味を楽しんでもらおうね」
まずい!? このままだとキラちゃん達が栞2号になってしまう!!
さすがに重箱は勘弁だ。
それだけは阻止しないと!!
「……あ、あの普通の大きさがいいなぁ。
中身もそんな凝った物じゃなくて普通のでいいよ。卵焼きとかタコさんウインナーとか」
「え、そうなの?」
「悩んじゃうね……お家で相談しましょ」
「そうだね!」
「ところで、話は変わるけどさ。キラちゃん達の家って何処にあるの?」
「私達の家?」
「うん、家が解れば休日とかに遊びに行けるかもしれないし」
「私達の家はものみの丘という場所の近くの方にあるの。表札がかかってるからすぐにわかるよ」
「へー、あそこらへんか……わかった。今度遊びにでも行くな」
「「はい、歓迎します!」」
キーンコーンカーンコーン……
そこで丁度昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
明日はキラちゃん達の自作のお弁当か……一体どんなのだろう?
2005年3月15日作成