「ここがミッドの町です」
尚輝に案内され、零たちはミッドの町へと辿り着いた。
そこは穏やかな雰囲気が漂い、町の人たちみんなが笑顔でいる……それを見たことで思ったことは、
「いい町だな」
「え……?」
「みんなが笑顔でいる、とっても幸せそうに。だから良い町だ」
それを聞いた尚輝はうれしそうに微笑み、
「えぇ、だから僕も好きなんです。この町も住んでいる人もみんな」
「私もなんだかここが好きになってきちゃったー♪ 尚哉さーん、案内してー♪」
アリスは調子付いてきたのか歌うように言った。
それに頷き、尚輝は、
「それじゃあ、ギルドに行く前に僕のお気に入りの場所へと案内します」
尚輝のお気に入りの場所への案内が終えた後、零たちはミッドの町の一番奥にある建物へと辿り着いた。
尚輝は静かにドアを開けて、誰かの名を言った。
「ゲンヤさん、ただ今帰りました」
「おぉ、結構早いじゃねぇか」
階段からゆっくり降りてきたのは白髪の男性。
「相変わらず仕事を終えるのが早いな、お前は」
「あはは、でも彼に取られちゃいましたよ」
尚輝はそう言うと零のほうに指差す。
「ほ〜う、この坊主が……」
「ゲンヤさん、零さんをハンターに入隊させてください。彼はかなり腕が立ちます」
「おまえが言うからにはかなりの腕前なんだろうが、ハンターについて分かってるのかどうか聞かなきゃいけねぇ。お前さんは『ハンター』ってどんな仕事をするか知っているか?」
「人助けみたいなことでしょ? 魔物を倒すこととか、そういうの」
「嬢ちゃんの言う、そういうのもある。だが他に 『探索』 『配達』 『退治』 っていうのがある」
『探索』―――人々が捜し求めている物を見つけて持ってきたり怪しげな場所を調べたりすること。これには人探しも含まれる。
『配達』―――物を届けること。これは人々が簡単には行けない場所に限る。
最後の 『退治』 というのは魔物退治である。
「『ハンター』―――つまり俺たちは町の人々の笑顔を護るために全力をつかさなきゃいけねぇ……お前にその覚悟はあるか?」
鋭くそして真剣な眼差し……零は拳をぎゅっと握り締めながらまっすぐ見つめる。
「覚悟なんてもちろんできている。だからやらせてくれないか?」
「そうかい……そんじゃあ、早速仕事に取り掛かってもらうか」
ゲンヤは手に持っていたファイルから数枚の紙を取り出す。
【アリエスの森に探検しに行ってしまった弟を探しに行って!】
【傑作の小説を書いたから出版社まで配達して!】
「まぁ、お前さんは初心者だから、まだこれで十分だな」
「その前に仕事仲間を紹介しましょう、ゲンヤさん……みんなは?」
「あ〜、あいつらなら――――」
「ゲンヤさん、仕事を終わらせてきたぜ〜」
後ろから聞こえた声に反応し、振り向いてみる。
そこには紺色のブレザージャケットの下には白いシャツ、そして下のほうは青いジーンズ―――そして口元には白い煙がもくもくと……いわゆるタバコを口にしている少年がいた。
腰には一振りの剣と一本の弓、背中には弓筒と槍を交互にして背負っている。
「……あ? 尚輝じゃねぇか、そんで隣にいる子供とその白髪頭は誰だ?」
少年は零とアリスの姿を見るとそう言った。
「俺の名前は零……この子は」
「アリスだよ!! そういうあなたは? 失礼な不良お兄さん?」
零が名前を言う前にアリスが先に言うが、言葉にとげがある―――おそらく自分が子ども扱いされたことと零のことを白髪頭呼ばわりされたことに起こっているのだろう。
アリスの口の聞き方に気が悪くすることもなく、苦笑しながら、
「わりぃわりぃ、俺の名前は浅賀光一郎。ここのハンターだ」
タバコを離しながら自己紹介を行った光一郎。
そんな光一郎に苦笑するゲンヤ。
「お前ら新人ハンターになんだろう? それじゃあ、宿屋に案内してやるよ」
「光一郎、お前仕事が成功したかどうか教えろ……」
「へいへい、仕事なら成功。あいつらのくだらない喧嘩ならちゃんと止めたよ」
「言葉じゃないんですよね、もちろん」
そのとおりと愉快そうに笑う光一郎に呆れたようにため息を吐くゲンヤと尚輝だった。