「ん……ここは?」



「気がついた、おにいちゃん?」



目を開けるとそこには一人の少女がいた。



黒髪のロングヘアー、瞳はまるで空のように蒼い瞳、そして白いロングワンピースを身にまとう、十人中十人の男たちは振り向くであろう幼き美少女。



「君は誰? それにここは?」



「私はアリスって言うの、ちなみに10歳♪ そしてここは母なる大樹アリエスの森だよ、おにいちゃんはここで生まれました、この世界を救う者として」



「……世界を救う? どういうことだそれは?」



「そこまでは言えないよ、それを見つけるのがおにいちゃんの役目!」



――厳しいな……



と思いながら少年は立ち上がる。



そこで少年は今頃自分の姿を見ることができた、



黒い長袖シャツの上に銀色の胸甲だけの鎧を身に纏い、左手には龍を模した手甲。赤いジーンズには脚絆を付けて、腰には何重のベルトを身に纏っていた。



銀色に輝いている髪はゴムで纏めており、瞳は空のように蒼い。



当然だが少年は自分の顔を見ることができなかった。



「そういえば、もうひとつ聞きたいことがあるんだ」



「なに?」



「俺は……誰だ?」



聞きたいことはたぶんこれだけだと思う……他のものに対する疑問はまったくといっていいほどない。



「おにいちゃんの名前はこれに名付けられているよ!」



とアリスはどこから出したのか、少年に黒塗りの鞘に収められた太刀を手渡してくれた。



それを受け取った少年は太刀を抜いてみる、






――――鏡のように丹念に磨き上げられている片刃は白銀……それはどんな堅いものでも切り裂くことができるかもしれないほど輝いていた。鍔は龍をモチーフとしている。そして柄は炎々と燃え盛る焔のように紅い。







そんな自分の愛刀になる太刀を鑑賞し終え、少年は自分の名前を見てみると、




「……零(ぜろ)?」



刀身にはそう彫られていた。




――――――そうかそれが俺の名前か。



名前も知ったことで零は太刀を鞘に納め腰のベルトに身に付けた。














「それじゃあ、行こう。ここは聖域と言われる場所だから魔物は出ないよ、でもここから出ると魔物は現れる」



そういうとアリスは聖域の外から出られるだろう、うっそうと繁る杉林を指差す。



零はその杉林を数分間歩くと洞窟が見えてきた。




「洞窟を抜けると聖域の外……覚悟はいい?」




零は頷いて洞窟の中へと入る――――といっても歩いて何十歩も進めばすぐに辿り着けるという距離であったため、すぐに出られた。











出た場所は先ほどまであった純粋な空気はなかった、まるでジャングルに迷い込んだかのような重く苦しい空気が漂ってきた……。



これが聖域とここの違いといえるだろう……。



「さてここからどうするんだ?」



「そうだね、まずはここを出ること………」





『グオオオオオオオオゥ!!』





雄叫びが聞こえると零はそこへ振り向いてみる、



向いた場所にいたのは狼―――体長は普通の狼と同じ。だけど、牙や爪などは剣の刃そのもの……いやそれよりも長く太く鋭い。



「サーベルドック!」



「あれが魔物か……」



零は腰に差してあった太刀を抜き、すぐさま零はサーベルドックに向かって走り駆ける! 



サーベルドックは零を見つけたがもう遅い……



「はぁ!」



上段からの斬撃によってサーベルドックの体は真っ二つになった。









「……ふわぁ〜、おにいちゃんすごいね〜」



「太刀のおかげさ、俺の力じゃない」



呆然と呟いたアリスに否定の言葉を送るが、零自身も心の中ですごいと思っているが……。



「不意を着いたから勝てたんだよ、たぶん堂々とやっていたら……苦戦したと思う」









「謙遜しなくてもいいんじゃないですか? あなたの実力なら簡単に倒せたと思いますよ?」










声の発した方向を向いてみると、栗色の髪をセミロング状にしその色と同じ瞳の一人の少年が零を見ていた。



紺色のシャツに黒いズボン、背には一本を錫杖を背負い、腰には一振りの長剣に斧などが差していた。



「君は……?」



「僕の名前は、御堂……じゃなかったナカジマ・尚輝です。そういう、あなたは?」



「俺の名前は零、この子はアリスだ」



よろしくと笑顔で言うとこちらこそと笑顔で返してきた。







「そういえば、あなたたちの顔は見かけたこともないですけど……もしかして旅人ですか?」



「うん! 私とおにいちゃんはこれからミッドの町に行くの」



「そうなんですか、それじゃあ僕が案内しましょうか? そこは僕の住んでる町ですし」



「それは助かる、是非とも案内を頼む」



「任しといてください、それじゃあ着いてきてください」



はーいっと元気にアリスが手を上げて言った。



それに苦笑する零に案内している尚輝から小さい笑い声が聞こえた。