「……ここは?」

 

目を覚まして見たものは一面の桃色だった。

空を覆いつくすかのように広がる桜の木々。

彼女はそこに仰向けで倒れていた。

明らかに今までいた場所と違う光景に、彼女は身を起こして情報収集を試みる。

 

「……っ?!」

 

辺りを見回す。

彼女にとって自らの命よりも大切な供が見つからない。

慌てて周囲をこれでもかというほどに細かく、そして慎重に探し始める。

一緒に落ちてきたそれ。ならこの世界に存在しているはず――。

彼女はそんな楽観的な考えに一縷の望みを託して探す。

しかしそんな彼女を嘲るように、目的の物はおろか、周囲には人の影すら確認することが出来なかった。

諦めたくない一心で、今度は自らの足で立ち上がり、範囲を拡げて捜索を再開する。

しかし探し物は見つからず、時間だけが無情にも過ぎていった。

そして見つからないという事実は彼女にとって、自らの夢を断たれたと同時に、生きる意義を見失うことでもあった。

 

「……ふふっ、これが全てを壊してでも夢を叶えたかった私に対する罰なのかしらね」

 

そう言って自虐的な笑みを浮かべる彼女。

自らの身体を犯してでも助けたかった至上の存在の消失。

それは死よりも恐ろしく、そして絶望させるには十分なことだった。

 

――あの子のいない世界に興味なんてない。

 

ここが何処かなんて興味はない。

何故、生きているかなんて興味はない。

彼女にとって、絶対、至上、無比の存在だったあの子のいない世界は、ミジンコにプラズマテレビを与えるくらい無意味だということ。

彼女はゆっくりと歩き出す。

今度はあの子を探しに行くためでなく、自らの死に場所を探しに行く為。

 

「どこへ行くんだい?」

 

歩み始めた足を止め、声のする方を振り向く。

見た目は二十歳前後。髪は褪せた感じの茶色。

そんな声の主である青年は近くの桜の木にもたれていた。

 

「どこへ行こうと、あなたには関係ないわ……失せなさい」

「怖いねぇ。そんなんじゃ、折角の美貌も台無しだよ?」

「……」

 

威圧的に放った言葉をにべもなく受け流す青年。

 

「三度は言わないわ。失せなさい」

「嫌だね」

「そう……」

 

彼女は即座に間合いを詰めると、至近距離で青年の腹部に不可視の力を叩き込む。

青年は寄りかかっていた桜に激しく身体を打ちつける。

 

「がはっ?!」

「痛いのは嫌いでしょう?」

「そりゃ……ね。でも俺からすれば、あんたの方が痛ましい表情してると思うんだけどねぇ」

「……」

「話してみなって。知り合いに話すより、赤の他人に話した方が気分が楽になるってこともあるだろ?」

 

 

 

これは桜と魔法の織りなす物語。

大切なモノを失った彼女が行き着いたのは桜の楽園。

 

 

「とりあえず、自己紹介しよっか。俺は芳乃大樹。君は?」

「……」

「君は?」

 

 

主人公は彼女の遺した二人の少女。

結びつけたのは二人の魔法。

 

 

「プレシア……プレシア=テスタロッサよ」

 

 

これは『あったかもしれない』もう一つのエンディング。

これは『あったかもしれない』もう一つの真実。

 

二人の魔法使いの物語が、今、始まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人の魔法使い

by.JGJ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

一面の桜の世界。

黒の戦闘服を纏った少女、フェイト=テスタロッサは、右腕に相棒であるバルディッシュを持った状態でそこに立ち尽くしていた。

空は既に黒に包まれ、宵闇に映える桜のピンクが幻想的な雰囲気を醸し出している。

 

「バルディッシュ。何が起こったか、わかる?」

No, I don’t know.

 

静かにフェイトはバルディッシュに状況を聞く。

インテリジェントデバイスと呼ばれる自らの意思を持った杖であるバルディッシュは、流暢かつ、無機質な英語の電子音声でそれに答えた。

その日、彼女はロストロギア――異世界の進化しすぎた遺産――を回収すべく、自らの使い魔のアルフと共に時空管理局がトレースした場所へ調査に赴いていたはずだった。

逃げるロストロギアをアルフとの連携と、自らの魔法を駆使して追い詰め、あと一歩で回収というところで事件は起こった。

突如、ロストロギアが光り輝いたと思った瞬間。

彼女の姿はその場、いや、その世界から姿を消した。

そして、気が付いたときにはここに寝かされていたのである。

 

「アルフが管理局に報告してると思うから、すぐに助けが来るはずだよね」

Perhaps,(おそらくは)』

 

周囲にいない使い魔が無事、所属している組織に助けを求めていると信じ、歩き出す。

フェイトはこの世界では異分子。この世界の住人と接触し、なんらかの影響を及ぼしてしまうかもしれない。

それはいくら夜だとはいえ、人と接触しない可能性がゼロとは言えない以上、最善の策をとるべき。

そう考えたフェイトは桜咲き誇る森を奥へ奥へと足を進めることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分歩いたところで森が退くように開き、広場のような場所にたどり着いた。

広場の中心には周囲のそれよりも一際大きい桜の木がそびえ立っている。

 

「綺麗……」

 

力強く枝を張り巡らせ、その先々に美しい桃色の花を咲かしている木に、私は思わず見とれていた。

力強さだけじゃない。美しさだけじゃない。

この桜には他にはない圧倒的な存在感、そして――

 

「……これは、魔力?」

「この木はね。魔法の桜なんだ」

「?!」

 

おもむろに呟いた言葉に背後から返事が返ってくる。

振り向くと、金の髪を左右で青のリボンで止めた少女がこちらを見ていた。

 

「魔法の……桜?」

「感じたんでしょ? 他にはなくて、この木にはある不思議な力を」

 

現地の人と接触してしまったことも忘れ、私は思わず聞き返してしまっていた。

 

「この世界にも魔法が……?」

「……この世界『にも』?」

「あ……」

 

口にしてしまってから慌てて口を押さえるが、後の祭りだった。

目ざとくそれを耳に入れた少女は人懐っこい笑みを浮かべた。

 

「にゃはは、そうなんだ。ボクのお祖母ちゃんと同じなんだ」

「えっ?」

「うーん……キミになら話してもいいかな?

なんか初対面なのに他人のような気がしないんだよね。

それに異世界から来たんだったら、もしかしたらお祖母ちゃんのこと、知ってるかもしれないし」

 

そんな重大そうな話を軽く話せるものなんだろうか?

困惑する私を尻目に、少女は勝手に事情を話すことで自己完結したようで口を開いた。

 

「ボクのお祖母ちゃんはイギリス人って皆には言ってるんだけど、実は異世界からやってきた魔法使いなんだ」

「異世界から来た魔術師?」

 

イギリスという国はたしかなのはの世界にもあったはずだ。

つまりこの世界はなのはの世界の平行世界の可能性が高いのかもしれない。

 

「数十年前にここで倒れているお祖母ちゃんを見つけて、助けてあげたのがきっかけ。

大切なものを失くして絶望してたお祖母ちゃんをお祖父ちゃんが救ったの」

 

大切な物というのが何かは知らないけれど、その人が絶望するくらいなのだから相当大切なものだったんだろう。

私もなのはやアルフや管理局のみんなを失ったら、そういう気分になるのかな?

 

「そして幾年を経てボクが生まれるに至る……ってわけ。

 この桜はお祖母ちゃんが結婚した時に植えられたもの。

魔力を帯びているのは、お祖母ちゃんがこの木に魔法をかけたから」

「……」

「この木には不思議な力がある。望みを聞き、叶える、不思議な力が。

 人の心を知りたい人には心を読む能力を、気になる人に勇気がなくて近づけない人には自らのペットを人間にする力を、そしてボクも――」

 

そこまで一気に言い切って、少女は息継ぎをする。

この子、見た目は私と同じくらいなのに、すごく大人びてる。

 

「今、ボクのこと、見た目は自分と同じくらいなのに妙に大人びてるとか思ったでしょ?」

「え?! そ、そんなこと、ないよ?」

 

心を見透かしたように少女はジト目でこっちを見る。

……口に出してたかな?

 

「そう? 今、キミから邪念みたいなのを感じたから。

 でも残念でした。ボク、これでもキミよりずっと年上だよ?」

「えぇぇ?!」

 

ふふんと起伏のない胸を反らす少女に、人目もはばからず大声を上げてしまう。

 

「……やっぱり思ってたんだね」

「え、あ、その……」

 

どうしよう。上手い言い訳が思いつかないよ……

 

「ま、いいけど。今回は特別に許してあげる」

「う、うん。ありがとう……それももしかして……?」

「想像通りだよ、ボクの成長が止まってるのは、この桜の能力。

 そう、ボクもこの桜に守られている存在」

 

そこに冗談なんて含まれてない。

いや、違う。これが冗談だとしても、冗談なんて思わせない威圧感を放っているのだ。この桜が。

 

「でもね。このままじゃいけないって思うんだ」

「……どうして?」

 

わからない。

この桜の魔法はきっと本物だろう。

ならこの桜さえあれば、いつまでも幸せに暮らしていける。

なのに何故?

 

「願いを叶える桜の力は無限に溢れる甘い蜜。

 飲み続ければ、進むことを考えなくなるくらいの依存性を持った甘い蜜。

だけどボク達はいずれそこから抜け出さないといけないんだ。

自らの足で進まないといけないんだよ」

 

皮肉めいた笑みを浮かべながらそう語る少女。

彼女はちゃんとわかってるんだ。

物事には『絶対』や『永遠』なんてものないってこと。

依存と崩壊は隣り合わせにあり、壁に立てかけてある棒のように、支柱として不変だったものが一度崩れると連鎖のように崩れてしまうこと。

そして――

 

「……って、守られてるボクが言ったって説得力なんてないってわかってるんだけどね。

でも気付いたんだ。『願い』と『暴力』は同じ物を持っているんだって。

ボクと、音夢ちゃんがそうだったように、ね」

 

 

独り善がりな願いは、必ず、誰かを傷つけるっていうこと。

私の母さん――プレシア=テスタロッサがそうだったように。

 

 

「音夢?」

「従兄妹だよ。といっても義理の……だけどね」

「あ……ごめん」

 

不謹慎なことを聞いてしまった。

私は素直に少女に謝る。

 

「にゃはは、気にしないでいいよ。音夢ちゃんがここにいるわけじゃないし」

 

全く気にしてない風の彼女の笑顔に幾分か罪の意識が和らぐ。

だけど、本人が気にしないといっていても失礼なことは確かだ。

お母さんやお兄ちゃんだって、同じことを言われれば気分が悪くなるはずだし……

もう一回私が謝ろうとすると、さくらが聞こえるか聞こえないかの声量でぼそっと口を開いた。

 

「……本当に血が繋がっていたらどんなによかったんだろう、ね」

「えっ……?」

 

それって、一体……?

 

「ごめん。こんなこと、知り合ったばかりの人に話すことじゃないよね。忘れて」

「え、う、うん……」

「だからボクは、この桜を枯らしに来たんだ。

 この木さえ枯らせば、全て元通りに戻るから。何もかも、全て」

 

少女はゆっくりと桜へ歩み寄る。

その腕周りよりも遥かに大きい幹に手をかざすと、桜が淡く緑色に発光する。

ライトアップされたように明るくなった桜は更に幻想的なものになっていた。

 

バチィッ!!

 

「あうっ?!」

「っ、バルディッシュ!!」

Blitz Rush

 

閃光と共に吹き飛ばされた少女の軌道を予測し、高速移動で先回りをして受け止める。

 

「大丈夫?」

「ありがとう。ノープロブレム、大丈夫だよ」

 

 

大丈夫といいつつも、発行を止めた桜を険しい目つきで睨み付ける少女。

 

「桜が拒絶してる……って当たり前か。だってボクはお前を否定してるんだもんね?」

「……」

 

今のを見る限り、桜には意思がある。

そして彼女の力量ではあの桜には敵わない。

取り付いても何回も何回も弾き飛ばされるのがオチだろう。

だったら、私がやることは一つしかないんじゃないだろうか?

時空管理局にいる以上、それは禁忌だってことはわかってる。

だけど!

 

「私、手伝うよ」

「ホワイ?!」

 

力があるのに、困っている人を助けることが出来ないなんて、そんなの間違ってるよ!

それに彼女はどうも他人のような気がしない。

声もなのはにそこはかとなく似ているし。

私はそう自己完結させると、バルディッシュを握りなおした。

 

「ありがとう」

「困ったときはお互い様だよ」

「……ねぇ、君の名前は?」

「フェイト、フェイト=テスタロッサ」

「テスタロッサ……?」

 

私の名前を聞くなり、なにやら思案顔になる少女。

私の名前ってそんなに変なのだろうか?

 

「ゴメン。お祖母ちゃんの旧姓もテスタロッサだったから……

もしかしたらって思ったんだけど、気にしすぎだよね。

ボクは芳乃さくら。さくらって呼んでね、フェイトちゃん」

「うん、頑張ろう。さくら」

 

『お祖母ちゃんの旧姓もテスタロッサだったから……』

私ももしかしたらと思ったけれど、そんな偶然、ある訳がない。

だって彼女……私の母さんはあの時、虚数空間に飲み込まれたのだから。

 

改めて少女――さくらと共に魔法の桜と対峙する。

桜は今までと同じ静けさだけでなく、不気味なくらいの存在感を醸し出していた。

さっきの閃光は防御魔法。それもなのはのプロテクションのように、仕掛けた攻撃の衝撃をそのまま返すような仕組みのものだ。

 

だったら――!

 

Zamber form

「だったら、防御壁ごと叩き斬る!!」

 

杖の形を取っていたバルディッシュが大剣へと変形する。

 

「フェイトちゃん、かっこいー!」

「……さくら、一つ聞いてもいい?」

「んにゃ?」

「さくらのお祖母ちゃんの名前って?」

「プレシア=T=芳乃。旧姓は……プレシア、プレシア=テスタロッサ」

「……ありがとう」

 

バルディッシュを構える。

狙いは……魔力の源。

なのはがやっているように、木そのものを傷つけないで元を断つ。

 

「行くよ……母さん」

 

ここは追い求めていたアルハザードじゃない。

ここには願っていた「ただひとつの幸せ」はない。

例え最初は絶望から目を背ける為の行為だったとしても。

この桜が証明してくれた。

母さんはアリシアへの重責から解き放たれて、この世界で違う形の幸せを見つけたんだって。

だから私も母さんとの決着をつける。

この桜の街に住む人々と、私の義理の姪の為に。

 

 

 

Plasma Zamber

 

「雷光……一閃っ!」

 

そして私はバルディッシュを叩き付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、フェイトちゃん」

 

枯れた桜をバックに、さくらが頭を下げた。

バルディッシュの斬撃は見事に魔力の元だけを断ち、桜は多少焦げ付いただけで、ほぼ原型を留めていた。

 

「ううん、私が好きでやったことだから」

「お祖母ちゃん、今までありがとう。

 だけどね、ボク達は羽ばたかないといけないんだ。

 いつまでも甘えているわけにはいかないんだ。

 だから――お休み、お祖母ちゃん」

 

そして振り返って両手を合わせて桜にもお辞儀する。

暫く互いに桜を黙って見つめ続けた私達の沈黙を破ったのは一人の声だった。

 

「フェイト!」

「……クロノ?」

 

やはり無事にアルフが報告しておいてくれたのだろう。

クロノが慌てた様子でこちらにやってきた。

異世界の住人と接触するなと口を酸っぱく言い続けていた張本人。

案の定、私と一緒にいたさくらを見て、私に嫌疑の視線を投げかけてきた。

 

『フェイト、この子は……?』

『し、親戚……だよ』

『……君に肉親はいないだろう』

 

さくらに聞こえないように念話で会話する私達。

親戚というのは本当なんだけど、普通は思わないよね。

母さんがこの世界に流れ着いていて、再婚したなんて。

 

「えっと、フェイトちゃん、この人は……?」

「クロノ=ハラオウンだ。フェイトは将来の義理の妹になるかな」

「クロノの家が私を養子として迎え入れてくれるの」

「へぇ……」

『全く、あれほど異世界と干渉をするなと言ったのに』

『じ、実はね――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なるほど……まさかプレシア=テスタロッサが生きていて、しかも子供まで作っていたなんて。

 さすがにそこまで予想は出来なかった』

『うん』

『彼女は真の幸せを手に入れることはできなかった。

 だけど代わりにそれ以上の幸せを手に入れたのかもしれないな』

 

私は事情を説明した。

実は母さんが生きていたということ。

さくらのお祖父ちゃんが、絶望していた母さんを救ったこと。

立場上では、さくらは私の姪に当たること。

目の前で枯れている桜は実は母さんが植えたもので、願いを叶える魔法の桜だということ。

そんな現状から自立するために、私が魔法でこの木を枯らしたこと。

全て包み隠さず伝えた。

クロノは黙って聞いていたけど、一通り話を終えると、そうコメントをした。

 

『異世界に干渉することは本来は規律違反だが、今回はフェイトにも大いに関係のあることだ、大目に見よう』

『ありがとう。クロノ』

『……そ、それじゃあ、帰還するぞ。フェイト』

『……? うん』

「目を覚ませクロノ、フェイトはこれから妹になる、フェイトはこれから妹になる……」

 

私が微笑みながら念話でお礼を伝えると、クロノは聞こえないくらい小さな声で何か呟きながら桜の木に頭を打ち付けてる。

変なクロノ。

 

「ごめん。もうそろそろ行かなきゃ」

「あ、うん、そうだよね……残念だけど、フェイトちゃんはこの世界の住人じゃないんだよね」

「うん、折角知り合えたのに、ごめん」

「謝ることなんてないよ……元気でね」

「うん、さくらこそ」

「……また会えるかな?」

「わからない。けど、さくらに困ったことがあったら真っ直ぐに飛んでくるよ。

 それは絶対」

「あはは、できればそれ以外の理由で会いたいけどね」

 

転移魔法を発動させて足元に魔法陣を描く。

魔法陣は徐々に広がりを見せると淡く光り始める。

クロノも混乱から復活したのか、既に魔法陣の中に入っていた。

 

「さよなら。さくら」

 

光が私達を包み込んでいく。

さよなら、母さん。

さよなら、さくら。

 

「うん! 絶対にまた会おうね。フェイト――さん」

 

 

 

そして、私はアースラに帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこであった出来事は、偶然だったのだろうか?

あの魔法の桜が――母さんが呼び寄せたんじゃないのか?

私は帰ってきてからずっとそんなことを考えていた。

それは未だ答えは出ないことだけど、たった一つだけわかったことがある。

 

 

「フェイト、あの子――さくらは君の姪だったな?」

「うん、そうだけど?」

「じゃあ、君は彼女の――――になるということか」

「……バルディッシュ」

『……』

「バルディッシュ!」

『……yes, sir. It is ..chrono.. sorry.

「ちょっ、ま、待て! こんなところでザンバーフォームは……」

「疾風……迅雷っ!!」

 

 

それは私が若くして『伯母さん』という不名誉な称号を得たことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

というわけで意外と無かったシリーズ。リリカルなのはとD.C.〜ダ・カーポ〜のクロスです。

では早速、制作秘話を少々語りましょうか。(ぇ

まずこの作品自体は苦労しなかったんですよ。文章なんかはすらすら書けました。

まぁ、それと文章能力が比例するということではないのですがw

ただこのクロスを考えるのが難しかったですね。

とりあえず、Kanonは使わないでやろうと心で決めて取り組んでいたので、まず知っている作品から二つ選ぶのに難航しました。

で、D.C.をリリカルなのはに組ませた理由も、

リリカルなのは=魔法使い=D.C.

フェイト=金髪ツインテール=さくら

とかいう安直な共通点が思い浮かんだためなのです。

それで、ただそれだけというのも面白くなかったので、無印リリカルなのはの時に虚数空間に落ちてそのままだったプレシアを織り交ぜてみたというわけです。

自分自身、プレシアには幸せになってもらいたいという願望もあったので、本当にすらすら書けました。

作品の背景としては、D.C.はさくらが桜を枯らすシーン、リリカルなのははA’s終了後、数ヶ月くらい。

時間軸の違いという疑問点に関しては平行世界なので時間の流れが違うとか、過去に飛んでしまっていたということにでもしてください(ぉ

でも読み返すとやはり、穴とか設定とか無理が多いですなぁ。

まぁ、ギリギリでルールは侵していないかと思います……多分。

 

 

それでは〜

 

 

2006年5月30日