いつからだろう……。
全てがくだらないと思うようになったのは……。
くだらない学校、くだらないテスト、くだらない人間……。
確かに変わったキッカケはあゆの事故からだ……。
あの時何も出来なかった自分を何度も悔やんで……どんな事にでも人一倍努力するようになった。そして、中学に入る少し前までには勉強もスポーツも音楽も芸術でも賞まで取るくらいになった。
だが、それからだった。
俺も俺の周りにいる人達も変わってしまったのは。
周りにいる人達が俺をいや俺の才能を妬み始めたのだ。
勿論そういう人達ばかりではない。
分からない問題を教えたり部活動のマネージャーをやってチームの勝利に貢献した時は感謝する人もいた。
でも、そういう人に限ってその場限りで俺を利用しているだけだった。本当の意味で俺を必要としてはいなかった。
そして、それはあの北の街で再会した名雪達も同じだった。
俺を万能の神のように勝手に思って自分では何の努力もせずに俺に頼る。
そんな他人にいつの間にか俺は嫌気が指した。そして、他人に興味も持てなくなってしまった。
だから、女の子に告白されたことは何度もあったが何の興味も無かったし一緒にいても得られるものはないと感じたので全て断ってきた。その度に悪いとは思ったが……。
でも、何だろう。彼女は……。白河ことりは……。
他人に興味も持てなくなった俺なのに……どうしてだろう。
どうして彼女のことが気になるんだろう……。
告白は年始めに
あのクリスマス・イブから8日後……世間では正月だが、祐一達受験生にはそれは当てはまらない。
カリカリカリカリ!!
祐一は予備校の一室で問題集を解いていた。
と言っても何時ものように授業を受けているわけではない。正月だけは授業は休みになっていた。
それなのに何故彼が予備校の一室で勉強しているのかと言うと集中して勉強が出来る場所だからである。
勿論今教室にいるのは彼だけではない。彼以外にも 5人の女子生徒が勉強をしている。
ちなみに他の受験生も寮の自分に割り当てられた部屋や予備校の図書室で勉強をしている。
まあ、正月なので受験生と言っても勉強している受講者は約半分程度だが。後の半分の生徒は初詣に行ったり、居酒屋やレストランで打ち上げ会をやったり、予備校の家庭科室で宴会をやっている。
祐一も他の受講生(殆どが女子生徒)に初詣や打ち上げ会に誘われたが、全て断っている。
「……やっぱ一人で勉強できるのはいいな。心が落ち着く」
彼がそう言いながら答え合わせをしていたその時だった。
「相沢君……又で悪いけどこの問題の解き方教えてくれない?」
ショートカットの女子生徒が祐一に問題の解き方を尋ねに来た。
「森川さんか、別にいいけど。で、何処の問題?」
「此処、第6問目」
「此処か。この問題は……この前の授業中に出た公式を使えば楽に解けるけど」
「あっ、本当だ。ありがとね」
「どういたしまして」
祐一が進学クラスの一番の成績である所為か彼の身の回りではこの様に問題の解き方を教えて欲しいと頼まれることはよくあった。まあ、その利用者の殆どが女子生徒なのだが。
だが、祐一のこの行動は殆どの受講生はあまりよくは見ていない。
「予備校でトップだからって嫌味なことしやがって」とか「ライバルのレベル上げてどうする」等と裏ではよく言われていた。ある意味成績がトップなのと女子生徒に人気があることでの嫉妬も含まれているが。
祐一自身は自分が裏でどう言われているのかは分かっていたが特に何も言ったりはしていない。
「くだらない」と思っているからだ。
とその時だった。
ピピピピピ!!
祐一の携帯電話のアラームが鳴り響く。
「もう12時か」
祐一はそう言って軽く背伸びをする。そして……
「丁度いい頃合だし、昼食でも食べるか」
そう言って、自分の筆記用具を片付けて教室をあとにする。
「さてと……何処で食べようかな?」
教室を出た祐一は何処で昼食を摂るのか考える。
家庭科室……行ったら宴会に強制参加させられるので×。
食堂……正月なので休み。
売店……食堂と同じく正月休みで利用不可能。
休憩室……今の時間ならやっているので利用可能。
外に出てコンビニやレストランを利用すると言うのは時間の無駄なのでNG。
「よし、休憩室に行くか」
休憩室で昼食を摂ることにした。
ガコン!!
祐一は休憩室の自販機からホットコーヒーを選ぶ。そして……
「じゃあ、頂くとするかな」
そう言って鞄からカロリーメイトを出して食べようとしたその時だった。
「祐一君、こんちわっす」
ことりに見つかってしまう。
「……ああ、こんにちわ」
祐一もぎごちなく挨拶をする。しかし……
「又、カロリーメイトっすか?昨日もでしたよね」
ことりにカロリーメイトを食べようとしていたところを見られてしまう。
「ああ、そうだけど。昨日はチョコ味だったが今回のはフルーツ味だ」
祐一はそう言ってカロリーメイトの箱をことりに見せる。
「……そおっすか。栄養バランスは問題ないと思いますけど、いつもいつもカロリーメイトで飽きませんか?」
「もう慣れたよ。済んでる北の街でも家に戻らない時の食事はいつもカロリーメイトだし」
「……。」
祐一のその言葉にことりは唖然となる。だが、少ししてから立ち直って口を開く。
「あのう、迷惑でなければ私が祐一君のお弁当も作ってあげましょうか?」
「気持ちだけ受け取っとく。そんな事されたら、俺絶対君が好きな人達に粛清されると思うから」
「……そおっすか」
ことりは祐一のその言葉に少し残念そうな顔をする。だが、心の中では……
(それは私も同じなんだけどな……。何せ私も祐一君を落とそうと狙ってる人達の中ではぶっちぎりで抹殺リストに入ってると思うし)
と思ってたりする。
「でも、もう今持っていたらどうします?」
ことりはそう言ってドカンと重箱を出す。
「……ってことりさん。これはどう見ても弁当には見えないんですけど」
「はい、今日はお正月と言うことでおせち料理にしました」
ことりは笑顔であっさりと言う。そして……
「それで、どうします?食べてくれた方が私としては嬉しいのですが。少し作り過ぎましたから一人ではキツイんですよね」
そう言って祐一を徐々に追い詰めていく。
「……分かった。貰うよ」
結局祐一は折れることにした。
「それなら……はい、どうぞ」
ことりはそう言って祐一に割り箸を渡す。
「ありがとう……でも、本当に準備いいね。もしかして、俺が折れることを計算してたんじゃ……。」
「あははは……。」
祐一の質問にことりはあははと笑ってごまかす。だが、彼の言葉はまだ終わらない。
「それにさ、この量はどう考えても作り過ぎとは思えないんだけど」
「うっ……。」
一番言われたくなかった言葉なのかことりは何も言えなくなった。
「でも、感謝はしてる。今年の正月はおせち料理は無理って考えてたから。それに……この昆布巻きが美味い。それに伊達巻もケーキみたいにふわふわしてて美味しい」
祐一はそう言って感謝とおせち料理の感想を述べる。そしてことりは…
「……ありがとうございます」
顔を赤くして礼を言う。
それから40分後二人は重箱のおせち料理を食べ終わる。
「ご馳走様でした」
「お粗末様です」
こうして二人の昼食は終わったその時だった。
「あのう……少しお願いがあるのですけどいいですか?」
「!?どうしたの?」
ことりのその言葉に祐一は首をかしげながら言う。
「これから初詣に行くのですが一緒に行きませんか?」
ことりは少し顔を赤くしながら言った。そして、祐一の顔を見ると……真剣に考え込んでいるようだ。
(うわぁ……どうしよう。すっごく悩んでる。どう見てもこれは断られる確率高そうです……。)
祐一の顔を見てことりは地雷を踏んだような顔になる。だが、それから数分後……
「いいよ。おせち料理のお礼と言うことで一緒に行ってあげても」
予想外の「了承」の返事が返って来る。
「えっ、本当にいいのですか?」
ことりは祐一のその予想外の返答に驚きながら尋ねる。
「ああ、まだ昼間だからどこも人でいっぱいだと思うから一緒に行った方が安全だからね。それに、同じ予備校に通う仲間に何かあったら嫌だし」
「あっ、ありがとうございます」
ことりは焦りながら礼を言った。
それから、30分後……二人は目的地である湯島天神に到着するが……
「真昼間だからやっぱまだ多いな……。」
「そおっすね……。でも、ここまでとは……。」
二人は人の多さに驚く。
「まあ、受験までと言うよりもセンター入試まであと一ヵ月もないから多くても当たり前なのかもしれないけどね」
「ここまで多いと……前にお賽銭入れるのも苦労しますね」
そう。賽銭箱までの道のりは既に人でいっぱいだった。賽銭箱まで辿り着くのに何分かかるのか予想不可能な程の人がいた。
「どうする?」
「先におみくじを引きに行きません?」
「ああ、そうした方がいいな」
こうして二人は先におみくじを引くことにした。そして……
「大吉か」
「私も大吉です」
結果 二人とも大吉だった。だが……
「恋愛運は……要注意ですか。しかも強引に行くのは厳禁とは。気をつけないとダメですね」
ことりの引いたくじには恋愛の箇所で注意書きがされていた。
「まあ、大丈夫っすよね。ちゃんと結んでおけば」
そう言ってことりはおみくじを結ぶ。
「!?何かあったのか?」
そして、祐一はそんなことりを不思議そうに見ていた。
そして、二人は御参りをする為に長蛇の列に並ぶが……
「まだ、辿り着けないのか……。」
「確かに……これは流石にきついっす」
全然変わっていなかった参拝客の列に嘆きたくなってきた。だが、彼等の不幸はそれだけではない。
「痛てっ!!足踏まれた!!」
「うわっ!!後ろの人の肩が背中に……。」
並んでる間に足を踏まれたり肩が当たったり等のことが起こる。だが、それだけではない。
ズズズズズ!!
「うわっ、一斉に動き出した」
今度は参拝客の列の流れにそのまま流されてしまう。
「うわわわっ!!早過ぎだ」
「わわわわっ!!」
その時だった。
ドンッ!!
行列の流れによって祐一はことりにぶつかり危うく自分の唇がことりの頬に当たる。
「ご……ごめん」
祐一はすぐに離れて謝罪する。
「い……いえ。こちらもごめんなさい」
そして、ことりも謝罪した。
それから、10分後……何とか賽銭箱まで辿り着く。
「此処まで長い道のりだったな……。」
「そうっすね……。」
二人はそう言って溜め息をつく。
あの後からも二人は何度も足を踏まれたり肩が当たったりなどしてダメージを受けたのだ。しかも、何故か祐一の場合は男性の参拝客からで、ことりの場合は女性の参拝客からもう作為的なものを感じてもおかしくはない。
「……まあいいや。これで終わりだから。それっ!!」
祐一はそう言って賽銭箱に10円玉を2枚投げる。
「じゃあ、私も。えいっ!!」
ことりも祐一に続いて賽銭箱に5円玉を投げる。そして……パンパンと手を叩いてからお互い祈った。
(ことりと一緒に大学合格しますように。どちらかが合格すると言う結果ほどくだらないことなんてないからな)
祐一はそう願ってから目を開ける。だが、ことりの方はまだだった。
そして、少ししてからことりも願い終えたのか目を開ける。
こうして二人は参拝を終えて入り口近くまで戻ることにした。
「結構大変だったな。まあ、予想はしてたけどああも多かったとはな」
「そうですね。でも、色々ありましたけど結構楽しかったです」
「……確かにそうだな。終わりよければ全て良しって言うしな」
「ふふふ。そおっすね」
二人はそう言って笑う。そして……
「じゃあ、用も済んだしそろそろ帰ろうか」
そう言って帰ろうとしたその時だった。
「クリスマスイヴの時に何で貴方を誘おうとしたか聞きたくありませんか?」
ことりのその一言で祐一の足は止まる。
「確かに気になるけど、その理由はお互いの受験が終わってから教えてくれるんだろ?」
「そ……そおっすけど、でも……今理由を知りたくありませんか?」
「いや……いいよ。今は受験に専念した方がお互いにとってもいいと思うから。だから、受験が終わってからでも……。」
祐一はそう言って帰ろうとする。だが、ことりはそれを引き止める。
「うわっ、どうしたの?」
「今だったら……言えます。いいえ、言わせて下さい。貴方のことが好きだからです……。5年前のピアノのコンクールで貴方を見た時から……ずっと好きでした。だから、私でよければ付き合ってください」
「……。」
ことりのその告白に祐一は何も言えなくなった。
(ここからはことり視点に変わります。)
とうとう言ってしまった。自分の本当の気持ちを。
本当は受験が終わってから告白するつもりだったけどもう我慢が出来なかった。
5年前のあの日始めて彼を見た時からずっと惹かれていたから。
だから、言ってしまった。
正直言って怖い。
ともちゃんが彼に告白した時みたいに断られたらどうしようという恐怖心はある。
でも、言ってしまった。
実際、彼と付き合いたいと言う人は予備校にも多かったから。
私の周りでもともちゃんどころかみっくんも彼のことを狙ってるし。
なので、今言わないと後悔すると思った。
だから、言った。
そして、祐一君の時間がやっと動く。
何て言うのかとても怖い。朝倉君に告白した時以上に。
ともちゃんが告白した時のように「くだらない」とか「つまらない」とか言われたらどうしようと不安になる。
だが、彼の返事は意外なものだった。
「悪いけど……今は何と答えればいいのか分からない。だから……待って欲しい。受験が終わる頃までにはちゃんと結論を出すから」
彼のその返事に私は何も言えなくなった。
今までの彼と言うよりも予備校で見たままの祐一君なら今の時期を考えると断ってくる確率の方が高い。実際彼は「受験だから」と言う理由で何人も振っている。
でも、この返事は……まだチャンスはあるって思ってもいいのかな?
そして、私達は何も話さぬまま予備校の寮に戻った。
予備校の寮の自分の部屋に戻ってから数分後……
「……どうしてあんな返事をしたんだろう」
祐一は自室のベッドに寝転がりながら考える。だが、答えは出ない。
何時もの自分なら絶対に断っている。しかし、今日彼女に告白された時は違った。
『何と答えればいいのか分からないから待って欲しい』
こんな言葉何時ものいや、今までの自分なら絶対に言わない。
「彼女と出会ってから俺は変わったということか?」
祐一はそう呟きながら再び考える。
白河ことり……彼女には今まで出会った人間とは違う何かを感じた。彼女といる時間は素直に楽しいと感じた。
そして、彼女といれば「何か」を得られると思うようになった。
「俺は……惹かれているのか?彼女に……。」
祐一はそう呟くと「らしくないな」と思いながら起き上がり、勉強を再開した。
この日は徹夜で勉強するつもりだったのだが、何時もの徹夜の時のようにコーヒーを飲んでいなかったのか眠くなってしまい気が付かないうちに寝てしまった。
と言うことで初夢をみることになるが……祐一の見た初夢は、現実味のない夢だった。
ラスベガスのような場所でバニーガールの格好をしたことりと出会い、彼女を賭けてポーカーをするという夢だった。
「何だよ。この初夢。こんなこと現実に起こる訳ないだろ」
それが祐一の自分の初夢に対する感想だった。
だが、この時の祐一はまだ気付いていなかった。自分の本当の気持ちに。
そして、次の日から再び予備校の授業が始まるがことりとはいつも通りに付き合うことにした。
それからは合宿終了日まで普通に勉強をして終わった。
そして、予備校の合宿最終日……二人は携帯電話とメールアドレスを互いに交換する。
「じゃあ、センター試験の自己採点が終わったら連絡お願いします」
「分かった。でも、手加減はしないから」
「望むところです。でも、負けたら分かってますよね?」
「ああ、一つだけなら何でも言うこと聞いてあげるよ。と言っても言うこと聞けるの受験終了後だけどね」
「はい、それで十分です。負けませんよ」
ことりはそう言って祐一と別れた。
「ふう。負けた時のことを考えたら本気でいかないとな。名雪やあゆの面倒もあるけど……それでも時間作っていかないとな」
そう。二人はセンター試験で競う約束をしたのだ。負けた方が勝った方の言うことを一つだけ聞くというルールの。
そして、2週間後のセンター試験では二人ともパスすることが出来たが……祐一が70点差で勝ってたのでことりは落ち込む結果となった。
「センター試験の結果なんて全体の8分の1の価値しかないからそう落ち込まなくてもいい」と祐一は電話で言ったが全然慰めにもならなかった。
ちなみに祐一がセンター試験での勝負の『負けた方が勝った方の言うことを一つだけ聞く』と言うルールを既に忘れていると言うことは言うまでもない。
〜おわり〜
あとがき
菩提樹「どうも菩提樹です。お正月SSなのに2月になってしまいました。本当に申し訳ございません。さて、次回で最終話です。でも、祐一とことりって何か似てるなと思うのは私だけでしょうかね?色々なサイトのSSを見てそう思うこの頃です。でも、次回は何時頃に完成できるのかは分かりません。来月までには完成させるのが目標ですが『Tear...』等の執筆もありますしね。では、今回のあとがきにはお二人さんにも出てもらいます。どうぞ〜!!」
祐一「どうも、相沢祐一です」
ことり「白河ことりです」
祐一「作者さんにいきなり質問だが何で今回こんなSS書くことにしたんだ?」
ことり「あっ、それ私も知りたいっす」
菩提樹「前回のあとがきで書いた通り祐一×さやかもののSSは書いたことはありますが、祐一×ことりもののSSはまだ書いたことがないというのが一番の理由です。『Tear...』とかでも親密にはなってますけど完全に付き合ってるとは言い難いですしね」
祐一「確かにな。絆は他のヒロインよりも強いのにも関わらずにな(怒)」
ことり「そおっすね(怒)」
菩提樹「わわっ。二人とも怒らないで下さい。だから、今回は書いたじゃないですか」
ことり「遅いんですよ(怒)」
祐一「ことり……そこらで許してやれ。今回は書いたんだから。それよりも質問だが俺とことりが似てると言うのはどういうことだ?」
菩提樹「あっ、その意味ですか?原作や他の人のSSを読んでそう思いました。異性にモテるとことか、SSによっては同性に憎まれるとことか、お人好しなとことか、他人を惹き付けるとことか」
祐一「……確かにそうだな」
ことり「私も……憎まれてるんですか?ってそれ菩提樹さんのSSの中だけの話なのでは……。」
菩提樹「いいえ。最近見つけた種デス×D.C.もののサイトではことりさん大変な目に遭ってますよ。私が知ってる限りでも3回も殺されかけてますし」
ことり「ええっ?そんなにもっすか?」
祐一「確かに……そうだな」
菩提樹「でもまあこれは逃れようのない業みたいなものですので頑張ってとしか言いようないですね」
ことり「そんな業嫌っすよ」
祐一「それは俺も同感だ」
菩提樹「ということで次回で最終話ですがお二人ともラストまで頑張って下さい」
祐一・ことり「「勝手に綺麗にまとめて終わらせるな(で下さい)〜!!」」
おまけ
その頃 水瀬家では……
「く〜。」
名雪はもう夕方だと言うのに寝ていた。しかも、電気をつけたままで。
ちなみにあゆと真琴が必死で名雪を起こそうとしたが駄目だった。
目覚ましを全て鳴らしたり、サンドバッグの如く何度も殴ったり、簀巻きにして氷風呂に放りこんだりしたが起きる気配すらしない。
しかも、それだけではない。
「ギリギリギリギリ!!」
時折、物凄く響く歯軋りをしてくるので溜まったものではない。
そのせいで、あゆも真琴も秋子も寝不足で殆ど眠れなかった。
だが、とうとう目を覚ます。
「んにゅ、あれ今何時だろう?」
名雪はそう言って自分のそばに置かれていた目覚まし時計を見る。
「んっ、まだ5時40分か。って、まだ歯磨いてなかったよね。でも、まあいいや。又寝よう」
そう言って、再び眠りについた。
こんな調子の名雪を見ていた秋子は……
(名雪、水瀬家始まって以来のダメ人間です)
と思った。勿論頭を抱えながら。
ちなみに名雪が次に起きたのは1月4日の午前9時だった。
そして、勿論だがその間勉強の方は全然やっていない。