「はぁ・・・いい湯だな・・・生き返る・・・」

 

 「そうだね」

 

 露天風呂に浸かりながら漏らした祐一の言葉にすずかが同意する。

 

 なぜ二人がこんなとこにいるかというと、知り合い全員でどっかに行こうという、アリサの提案から始まった旅行にきたからである。

 

 旅行に来たメンバーは高町家、月村家、ハラオウン家、八神家の4家族にアリサ、ユーノ、祐一を加えた面子である。

 

 これだけ大人数が揃えば、夕飯は宴会になるのは自然の成り行きであり、今もドンちゃん騒ぎをしているであろう。

 

 では、なぜその宴会中に二人が露天風呂に入っているかというと

 

 「恭也さん、クロノ、ユーノ、ザフィーラ。4人の犠牲は無駄にはしないぞ・・・」

 

 「なのはちゃん、アリサちゃん、はやてちゃん、フェイトちゃん。ごめんね・・・」

 

 逃げてきたのであった。

 

 

 

 

                                                    

                                                    

 

リクエストSS

 

第2弾

 

『幸せな日常』

 

 

 

 

  

 「やっぱり温泉に来たからにはのんびりしないとな・・・」

 

 「それはそうだけど・・・なんかみんなに悪い気がするね・・・」

 

 祐一の言葉に同意しながらも罪悪感が募るすずか。

 

 「未成年に酒を飲ます保護者達が悪いんであって俺らは悪くない」

 

 「そうなんだけど・・・やっぱり逃げたことにはかわりないし・・・」

 

 「まぁ・・・みんなには今度翠屋でなにかおごろう・・・」

 

 「そうだね・・・それで許してくれるかわからないけど・・・」

 

 「機嫌が直るのを祈るしかないな・・・」

 

 「はぁ・・・そうだね・・・」

 

 祐一にも罪悪感はあるが今あそこに戻るのは自殺行為に等しい。

 

 祐一は戻ったときのことを想像する。

 

 そしてすぐにその想像をやめる。

 

 「収まるまでここにいるか・・・」

 

 小さくつぶやいたその言葉は隣にいるすずかにも聞こえていた。

 

 そのつぶやきにすずかは苦笑しながら、思ったことを口にする。

 

 「でも、帰ったら義兄さんのお仕置きはあるかも」

 

 そういった後、すずかは祐一を見る。

 

 祐一は汗を流していた。

 

 湯に浸かっているのだから汗を掻くのは当たり前だが、決してそれだけではないだろう。

 

 その証拠に祐一の顔は青ざめていた。

 

 そんな祐一を見ながらすずかは笑う。

 

 「恭也さんなら話せばきっと分かってくれる。うん、きっと分かってくれる・・・」

 

 「声震えてるよ?」

 

 「そ・・・そんなことないぞ?」

 

 「どもってるよ?義兄さんのお仕置きが怖いなら説得手伝うよ?」

 

 「いやいや、何をおっしゃいますすずかさん。相沢さんちの祐一くんに怖いものなどありませんよ?」

 

 なぜか言葉遣いが丁寧になる祐一。

 

 「そっか。なら私が一緒じゃなくても大丈夫なんだね」

 

 「いやいやいや、誰もそんなことはいってないぞ?」

 

 「素直じゃないなぁ」

 

 「なにをいう。ご近所のかたから、素直なゆうちゃんと呼ばれてるこの俺のどこが素直じゃないと」

 

 「一人で逝く?」

 

 「まてまて!?今なんか字が違ってなかったか!?」

 

 「?そんなことないよ?というか字が違うってなに?」

 

 「いや、俺の気のせいだ・・・そうにちがいない」

 

 「変な祐一君」

 

 祐一は心の中でさめざめと滝のような涙をながしているに違いない。

 

 「それでどうするの?」

 

 「お願いします。手伝ってください」

 

 プライド?なにそれ?おいしいの?な状態の祐一。

 

 そんなやりとりをしていると、湯に浸かって結構な時間が経っていた。

 

 その証拠に祐一の顔は赤く、すこしふらつきそうになっている。

 

 「宴会・・・まだ終わってないだろうな・・・」

 

 「祐一君大丈夫?なんかふらふらしてるんだけど・・・」

 

 「ああ、大丈夫だ。ちょっとぼーっとしてふわふわしてるけど」

 

 「そ・・・それは大丈夫じゃないんじゃないかな・・・」

 

 「ああ、自分でもそう思う」

 

 「さっき大丈夫って言わなかった!?」

 

 「ああ、いったかもしれない」

 

 「ほ・・・ほんとに大丈夫?」

 

 「正直やばい」

 

 「と・・・とりあえず上がろう!?」

 

 傍からみたらコントにしか見えない寸隙を繰り広げながら、二人は風呂から上がる。

 

 そしてすずかの提案で涼むついでに外に散歩に出る。

 

 「大丈夫?祐一君」

 

 「ああ、大分よくなった」

 

 「もう・・・びっくりしたんだからね・・・」

 

 「悪い悪い」

 

 いまだ心配そうなすずかに祐一は笑いながらあやまる。

 

 火照った二人の体に涼しいそよ風が通り過ぎる。

 

 「んー、気持ちいい・・・」

 

 すずかは手を広げ体全体でその風を受ける。

 

 長い紫色の髪が風を受け靡く。

 

 その様子を見て祐一はわずかに微笑む。

 

 そして空を見上げる。

 

 空には無数の星たちと月が浮かんでいる。

 

 「何してるの?」

 

 「いや・・・空がきれいだなとおもってな」

 

 祐一の言葉にすずかも空を見上げる。

 

 「ほんとだね」

 

 祐一はそんなすずかを見てその後、目を閉じる。

 

 こんな平和で幸せな日々がずっと続きますようにと心で思いながら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、小太刀を二本持った男性、犬耳をつけたがたいのいい男、青い服を着た少年、緑髪の少年の4人に

 祐一が追われる姿が見られたりしたのは別のお話。

 

 その光景をみながら、翠屋で大量のケーキを注文され引きつった笑みを浮かべる紫髪の女性がいたのも別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、RAKです。

 光輝さんリクエストのSS「幸せな日常」を読んでいただきありがとうございます。

 リクエストは前に書いたアリサの短編「穏やかな日常」のすずかとなのはのSSというものです。

 書いてて思ったことはすずかって難しい・・・。

 だって・・・特徴ないんだもん・・・

 四苦八苦しながらなんとか書き上げましたが、いかがだったでしょうか?

 次はなのはの日常シリーズですがこちらはもうしばらくお待ちください。

 必ず書き上げますので・・・。

 では、またお会いしましょう。

 

 -WEB拍手返事- *短編用のWEB拍手です。連載に関するWEB拍手は連載のところでお返事します。

 

 >穏やかな日常のすずか・なのはのシリーズを作ってください。お願いします。by光輝

  お待たせしてしまって申し訳ありません。すずか編書きましたので読んでいただければうれしいです。

 

 

 

 

                                                                  

 というわけでJGJさんのコーナー!すずかってほんと難しいですね・・・

 

すずかはなんというか二人の影に隠れてるけど、しっかりと仕事をするような8番セカンドみたいな感じだと思っています(ぉ

なんかすずかが黒っぽいw 

あと女性陣の怒りにはきっと祐一と一緒だったみたいな怒りも含まれてるはずだ(ぇ