※注意事項(必読)※
これはモンスターハンターの世界観を元に、多数の作品をクロスオーバーさせたものです。
ゲームであるモンスターハンターをこよなく愛する人にとっては許せない作品である可能性があります。
ゲームではありえないオリジナル設定、武器、戦法などが結構含まれており、それに耐えれそうな場合のみ先にお進みください。
MONSTER HUNTER
-CROSS WORUD-
Quest.0
【始まりを告げる奇跡の残響】
鬱蒼と茂る密林の中、太陽の光も届かぬ場所。
辺り一面を覆う深緑には、先程まで降り続いた雨の名残である雨露に覆われている。
湿度と温度、その両方が高く、それはこの密林に住む者たちには絶好の環境となっていた。
奇声とも思える鳴き声を放つ鳥や、独特の音域で会話をする獣たち。
落ち葉の合間を進む虫がいて、それを狙う小動物の姿もある、数多の種類の生物達が生息する生命の密集地帯。
その中を走る音がある。
数は四、伝わる音の間隔からそれらは二足歩行の生物だと推測できる。
先頭を走るものが互いの確認をするように、甲高い声で鳴いた。
一つ、二つと反応が返ってくる。
そして三つ目、最後の声が響く直前―――
「見っつけたぜぇぇええ!!」
叫びと共に前方に影が躍り出る。
それは人の形をし、手には巨大な槌を持っていた。
四つの足音の持ち主達はそれぞれ急制動を掛け、前方にいる人影に向かい威嚇の声を挙げる。
「いいねぇいいねぇその声!! 虚勢が丸見えだぜ手前ぇらぁ!!」
だがそれは人に対しての効果はなく、それどころか喜びを感じさせていた。
その様子に声を挙げた物達が怯える。
それは生物としての本能的な怯えであり、死の恐怖に対するものだ。
同時に己の闘争本能を呼び覚ますものでもある。
相手が怖い、だからこそ消す。
死にたくはない、だから殺す。
そうした考えが全てのものに浮かぶまでの時間はほんの一瞬だ。
それぞれが牙を剥き出しに、叫びをあげ爪を鳴らす。
蒼い鱗に覆われた体を強張らせ、相手を殺すための体勢を整える。
「いくらなんでも手前ぇらはやりすぎた。生きるためだからってな、限度ってもんはあるんだよ。そしてやりすぎた奴は必ず仕返しを受ける、それが世界のルールだぜ」
対してその人影は槌を地面におき柄に手を乗せ、もう片方の腕で四つの影を指差し何かを語っている。
その様子はとても満足だ。
そして、とても隙だらけ。
先頭にいた獣が体勢を沈め、跳ぶ。
牙を開き、爪を振り上げた体勢で人影へ。
距離など無視したかのような跳躍に、しかし人影は一欠けらの動揺もなく
「へっ、ぼけなすが」
自らが持つ大槌を、蹴りあげた。
それは柄をもつ手を支点に回転し、跳びかかって来た獣が、丁度その上方回転した槌に直撃。
ミシリ、と骨という骨が軋みをあげ、されど槌の回転は止まらない。
蹴り上げた足を地面へとめり込むほどの力で踏みおろし、両の手をもって獣を打ち上げた。
「人の話は――」
空中に飛ばされ後、重力の法則に従い落下する獣に、人影は横溜めに槌を構え
「最後まできけぇぇええええ!!」
その間合いに獣が落ちてきた直後、全身を使い槌を振るった。
勢いは最大、破壊力もまた――最大。
響くのは骨が砕ける音と、獣が地面へと叩きつけられた音。
冗談のように跳ね転んでゆく獣は、樹齢数百年はあるだろう大木へ激突することによって、ようやく止まった。
その後しばらくの間、獣は痙攣し……動かなくなる。
人影はそれを確認することもなく、今度は指ではなく槌そのもので残りの獣達を指し、叫んだ。
「つまり手前ぇらはここで終わりだ。神妙に縄につけぇい!!」
――と同時、答えは獣からではなく、別方向から返ってきた。
「説教垂れる暇があるならとっとと倒せ馬鹿北川!?」
なに、と北川と呼ばれた人影が声の方へと向き、再び獣たちに視線を戻せば既に残りの三体は散り散りに逃げようとしていた。
当然といえば、当然の帰結である。
「あ゛ーーーー!? 逃げんな俺の飯代ぃぃぃ!!」
「自業自得だ馬鹿野郎!! おまえは右を、俺は左の奴を仕留める!!」
「任せたぜ相沢ぁああ!!」
その叫びが合図であるかのように、草むらから一つの人影が飛び出す。
体格はおそらく先程の少年と同じくらい、しかし見えるその姿はとても大きく見える。
原因はその背に担ぐ長大な剣。
無骨な金属が繋ぎあわされた、重量級の大剣だ。
相沢と呼ばれた人影は身の丈を越す大剣を抜剣――同時、仕込まれた幾重の刃が展開する。
「せぃやぁああ!!」
そのまま前方、逃げようとしていた獣へと裂帛の気合いと共に振り下ろした。
叫びがあがるのは一瞬。
地面まで振り下ろされた大剣は、容赦なく獣の体を切り砕く。
少年はめり込んだ大剣を苦もなく引き抜くと、先ほどの槌を持つ少年、北川がいる方角へと視線をむけた。
「北川、そっちはどうだ!!」
「――唸れ俺の魂!!」
どこか抜けた鳴き声が響き渡り、砕音が大気に伝わる。
獣をかち割る一撃は、それだけにとどまらず大地に亀裂を走らせ振動を発生させた。
直撃を受けた獣に命はない、そう断言させる程の一撃。
事実、獣は変わり果てた姿で地面に潰されていた。
それを為した人物は槌を背負い、近づいてきた人影に手を振っている。
「まったく……おい、北川。お前最初から真面目にやれよ。舞じゃあるまいしランポス相手に説教したって通じるわけがないだろ」
「わかってないな相沢、相手に通じるとかは関係ない。その行為自体が楽しいんじゃないか!? ……ってなんでお前そんなにゆっくりしてんだよっ。後一匹はどこいった!?」
「落ち着け北川、今から追っても俺らの足じゃ時間がかかる。それに、今回のバックは誰だと思ってるんだ?」
「……あー、なるほ――――」
その言葉に北川が納得する瞬間、密林に破裂音が響く。
それは火薬が爆発した音。
爆発は小さな密室の中で逃げ場を求め、強大な推進力となり蓋をしている物体を押し出す。
これにより生まれるのは視認不可の弾丸。
それも音は一つではない。
連射、的確な旋律で刻まれるのは四連。
一つ目は獣の足を正確に撃ち抜く。
二つ目は体勢が崩れる事も許さない間隔で胴体を貫いた。
三つ目は顎を砕き、止めの四つ目は正確無比に獣の頭部へ。
残響が密林に伝わる頃には獣は既に事切れていた。
それを為した人物は獣がいた場所からかなり離れたの場所にいて、先程の二人よりも小柄、手には銃器をもっている。
獣が動かない事を確認したその人物は銃器を背に担ぎ、少し離れた場所にいる二人の元へと歩き出す。
それぞれの距離が近くなり、一メートル程になった時
「さすが美坂だな、いつ見ても惚れ惚れするくらいの射撃だっはあああああああああぁぁぁぁ――…………!!!」
「うるさいわよ馬鹿、馬鹿が馬鹿やったせいで無駄弾つかっちゃったじゃないのよこの馬鹿。しっかりとこの分は馬鹿の取り分からさっぴくからね馬鹿」
北川は美坂と呼ばれた女性に殴り飛ばされていた。
飛距離は上々、普通なら重症間違いなしのぶっとび具合、それも予備動作なしでの拳打でだ。
武道家も真っ青の威力である。
この光景を見て、声を掛けるタイミングを逃した相沢は思う。
――武器なんて使わなくても素手で十分つえぇよな。
「どうしたの相沢君? そんな固まっちゃって」
「あ、ああ、なんでもないぞ? それよりも悪かったな香里、馬鹿の尻拭いやらしちまって」
「いいのよ、なんとなく予想してたし、馬鹿の行動は。それに弾代っていっても今回はあれだけだからそんな出費でもないわ」
「そ……それなら、この仕打ちは……何故でしょ、う……美坂さん。つーか…………何で相沢には普通に接してんだよ俺にもっと愛をプリーーズ!!」
「あら、欲しいのなら遠慮なく挙げるわよ?」
「ハハハ、ボクハシンシダカラネ。エンリョシテオキマスサセテクダサイオネガイシマス」
地面にはいつくばり近づくという不快感全開の行動から、美坂へ飛びかかろうとした北川はその言葉に測ったかのように距離一メートルの場所へと着地。
その際に体をまるめ、手は地面に、頭を地面に擦りつける、見事なジャンピング土下座だった。
「……そういえば栞はどうした? 確か香里と一緒に俺らの援護するとか言ってなかったっけ?」
「あぁ、あの子ね。多分そろそろじゃないかしら」
その言葉に相沢と北川が首を傾げる。
もう少しよ、という美坂の言葉の直後、それは二人の耳にも届いていた。
金属と金属が擦れ合う音、そして地を踏む音が徐々に此方に近づいてくる。
三人がそちらへ視線を向けると、そこには美坂よりもほんの少し小さい影がふらつきながら歩いていた。
背にはその体よりも大きい塊を背負っている。
「はぁ……はぁ……や、やっと追い付きましたぁ。はふぅ〜」
「追い付いたじゃないわよ栞。とっくにクエスト終了、貴方の出番はもうありません。おわかり?」
「えぅ〜、そんな事言われても……これ重くて、歩くのだって辛いんだもん」
「だからへビィなんてやめなさいって言ったじゃない。それ、栞じゃ扱いきれないわよ」
「そ、そんな事ないもん! 祐一さんもそう思いますよね!?」
「いや無理だな絶対」
「無理だね栞ちゃん」
突然話を振られた祐一だが、その答えに迷いはなかった。
質問されていない北川でさえ答える始末。
栞と呼ばれた少女は両手を地面につき、うな垂れた。
「ほら、さっさと行くわよ。クエスト終了の事をギルドに伝えなきゃいけないんだから」
「そんなぁ、やっと追いついたのに……あの、祐一さん、少し休憩しませんか?」
「別に俺は構わないが、ここでか?」
そう言い、祐一は辺りを見渡す。
つられ、残りの三人も見る。
密林だ。
文句のつけようがないくらいの密林。
湿度と温度共に高く不快指数が全力全開で振り切れそうな勢いで計測されそうである。
耳を澄まさなくても聞こえるほどの虫の羽音、何かが蠢いているような音も足元からしている。
更に近くには先程の獣の死体があり、血の匂いが否が応でも分かってしまう。
しばらくすればその匂いに誘われて他の獣がやってくるだろう。
つけ加えるならば、それはおそらく団体さんだ。
栞は現状を把握、認識、思考――そして結論。
「戻りましょーそうしましょー!! さぁ我らがマイホームへ全力疾走です!! 街が待ちどうしいですね祐一さん!!」
「賢明な判断だな、って待て待て。ちゃんと討伐した証拠もってかなきゃ駄目だろが。おい馬鹿、とっととやるぞ」
「ほいほい、ちゃっちゃっと済ますか。……でさ、何故にさっきから馬鹿呼ばわり?」
何を当たり前のことを、とでもいうような顔で三人は言った。
「馬鹿だからだ」
「馬鹿だからよ」
「馬鹿だからです」
先程の栞と同じ体勢になる北川。
嗚咽らしきものも聞こえたが、だが誰も気にしていなかった。
祐一は獣の死体へ向かい、背負う大剣とは別に腰元にさした小剣を取り出している。
美坂もまた別の獣の所へ、栞はそれに付いていく。
その場に残るのは北川だけ。
背中には哀愁やら悲壮やら色々なものが漂っていて――――
「……はっ! ま、まさかコレは俺に対する試練か美坂!? この耐え難い雰囲気を打開できたらきっとご褒美が!? ……ふ、ふふふ……イィィヤッッッホーーー!!」
すぐに霧散した。
どう考えてもたどり着きそうにない結論を脳内展開している北川は一人で燃えている。
先ほどの獣などより、何倍も何十倍も危ない生き物だった。
その背後、美坂はボウガンを背から取り外し、無言で弾を込めている。
種類は散弾。
射撃効果範囲の広い、一度狙われれば回避する事は至難の弾丸だ。
彼女に容赦はなく、する必要も皆無なのだろう。
「待ってろよ美坂俺はやる――のぉぉおおおおおおおおおおおお!?」
その後、密林にはしばらくの間、銃声と叫び声が響き渡っていたという。
だがそのメンバーから欠落者は出る事はなかったらしい。
後に彼は語る。
――ああ、あれか。アレはあいつの愛情表現なんだよ。まったく恥ずかしがり屋だよな、あっはっは。
直後に銃声が響き渡り、駐在していた街はひと時の間だけ、混沌と化していたという。
■■あとがき■■
今回の投稿作品は、まぁかなりの問題作です。
自分で言ってはなんですが、主体性とかテーマとかそんなものはどこ吹く風の如く自由に書いているのです。
プロローグとなる【始まりを告げる奇跡の残響】、今回のメインは……というか一作品しか出てませんが、Kanon勢ですね。
とりあえずこの回でどれだけフリーダム且つカオスな展開になるかは、たぶん想像できるかなーと思う次第でございます。
クロスオーバーって言っておきながら、今回はKanon勢だけですもの。
そしてモンスターハンターの世界観を使う必要があるのか……という疑問をもった方もいるでしょう、私自身もそう思ってます。
今後はより一層モンスターハンターの世界観からは逸脱していくだろうこの作品、そんなのでよければこれからもご愛読の程を宜しくお願いします。