「ようやくできたな…」
「うん…
ごめんね、みんなに手伝って貰っちゃって…」
「なに、気にすることはない」
「そうだよ、ことり
友達…ましてや初心者なんだから、手伝うのが当たり前だよ」
今私達は朝倉君の部屋にいます
ちなみに私達とは、朝倉君、叶ちゃん、杉並君、私の4人です
「ここまでしてくれなくても良かったんだけど…」
「俺がことりのために頑張るのは当然だろう」
「でも色んなカードをただで貰っちゃったし…」
そこまで言うと三人は顔を見合わせた
どうしたんだろう?
「まぁその辺は気にしないでいいよ…」
「ぶっちゃけると、俺達のためでもある…というかなんというか…」
「ようするに俺達のデュエリストとしてのプライドだな
やるからには全力で、そういうことだ」
杉並君の言葉に二人が頷く
心なしか三人とも目が輝いてるように見える
みんな男の子なんだなぁ(叶ちゃんの場合は元)…と思ってしまう
もうわかってると思うけど、私たちが何をしているかというと…
「では早速白河嬢の初デュエルといこうではないか!」
「いや、記念ってなんだよ…」
私がデュエリストとしてデビューすることになったからです
記念すべきって…そんなに大袈裟な事でもないのに…
D.C.で遊戯王をやってみた 4戦目
「あはは…まぁ杉並君の奇行は別として…」
「工藤よ…奇行とはなんだ、奇行とは」
「工藤のいうとおりだろう…」
杉並君には悪いけど、私も朝倉君と叶ちゃんに賛成かな…
いつもがいつもだしね…
「まぁほんとにそれは置いといて…初デュエルはいいけど、誰が相手をするの?」
「普通に朝倉君じゃダメなの?」
私の初デュエルの相手なのだから、順当に朝倉君が相手をしてくれるのかと思ったけど…
「そこは心配ない
朝倉ならば夜にでも相手をしてもらえばいいだろう」
夜って…どういう………っ!?
「…っ!?
杉並!」
「おや、二人とも顔が赤いが、何を想像したのだ?
俺はデュエルの話をしてるだけだが?」
「何って!
…そのぅ…」
ニヤニヤしてる杉並君の顔を見れば、からかわれてるってわかってるんだけど…
思わず正直に言い返しそうになってしまった
「まぁ冗談はおいといて…」
「杉並君…それはちょっと質が悪いよ…」
「気にするな
朝倉がデュエルの相手ではいけない理由だが…
問題はデッキだ」
「あっ、そっか
朝倉君のデッキじゃテストにならないね」
テスト?
ただ普通にデュエルするだけじゃないの?
「つまりだ、ことりのデッキのテストデュエルも兼ねてるってことだよ」
「テストデュエル?」
「まぁ普通にデュエルするだけだが…
デッキがうまく動くか確かめるわけだからな
あまりにも相性が悪かったり、確認する前に勝敗が決するようなデッキじゃダメなんだ」
「朝倉君のデッキはすごく攻撃力が高いからの
テストデュエルにはちょっと向いてないの」
そうなんだ…
たしかにテストなのにデッキの動きを確認する前に終わったらダメだもんね
朝倉君の使うドラゴン族や機械族は高い攻撃力が自慢みたいだし
「そっか…
たしかにそれじゃあテストにはならないね」
「こういう時は【スタンダード】が1番なんだけど…
ここにいる全員がも【スタンダード】を持ってないからな…」
「まぁ無い物ねだりをしても仕方がないな
今ここにあるデッキでやるしかあるまい」
「じゃあ誰がやるの?」
叶ちゃんがそういうとみんなで考え込んでしまった
「まず朝倉のようなパワーデッキはダメだな
1ターンキルしてしまっては意味がない」
「一応【青眼の白龍】もあるけど、こっちもダメだ」
「どっちも大差ないもんね…」
「じゃあ杉並君か叶ちゃんってことだよね」
「そういうことになるな」
たしか杉並君は【エーリアン】で、叶ちゃんが【雲魔物】だっけ?
「あ、一応【天空の聖域】も持ってきてあるんだけど…」
「【天空の聖域】?」
「私が昔使ってたデッキだよ
もちろん新しいカードで強化してあるけどね」
そういえば学校でカードが流行ってた頃に、叶ちゃんは今とは違うデッキだったような…
そのデッキってことかな?
「ふむ…
選択肢の一つではあるな」
「あぁ、悪くないと思う
杉並の【エーリアン】と工藤の【雲魔物】、【天空の聖域】の三択か…」
「あ、ちょっといい?
少し話が戻るんだけど…
今の【天空の聖域】ってどんなデッキなの?」
【エーリアン】と【雲魔物】については、私のデッキを作る際に参考として見せてもらった
でも【天空の聖域】については何も知らない
名前からしてフィールド魔法の『天空の聖域』を主軸に戦うっていうのはわかるんだけど…
「【天空の聖域】は…」
「待て、工藤
まだ説明はするな」
叶ちゃんが説明しようとしたのを、杉並君に遮られてしまった
「白河嬢よ
工藤の【天空の聖域】がどんなデッキか知らないのだな?」
「うん…
知らないけど…」
「杉並、それがどうしたんだよ?」
「ちょっとした提案だ
白河嬢には何も知らない状態で工藤とデュエルしてもらう」
「なんで…あぁ、そういうことか…」
「えっ?
どういうこと?」
朝倉君は疑問が出る前に勝手に納得しちゃったし…
叶ちゃんも口には出さないけど、なんの事かわかってるみたいだし…
「たいした事ではない
ただせっかくの機会なのだから、白河嬢にもこういう状況のデュエルを体験してもらおうと思ってな」
「友達同士でやるようなのじゃなくて、大会や知らない人とやる時みたいな前情報無しのデュエルだよ」
「知らないデッキを相手に、相手の戦術やデッキを予想しながら戦うのもデュエルの楽しみの一つだからな」
三人で丁寧に説明してくれた
相変わらずといっていいのかわからないけど…
息ピッタリだなぁ…
でもその説明で納得できた
「うん
だったら、それでデュエルしてみようかな」
「じゃあ早速始めようか」
私はデッキを手にとってシャッフルする
作ったばかりでカードが固まってるから、かなり念入りに
シャッフルし終えてデッキをテーブルに置いた時には、すでに叶ちゃんは準備を終えていた
「今回は俺がことりのアシストにつくよ
ルールとか間違ってたら声をかけるけど、プレイングに関しては口を出さない
頑張れよ」
「うん
ありがとう、朝倉君」
そう話している間に杉並君がコインを指にのせている
コイントスで先攻を決めるみたいだね
こっちを見てるということは、私が表裏を指定していいってことなんだろう
「私は表で」
「わかった
ではいくぞ?
運命の、コイントス!」
ピキィン…キィン
澄んだ音をたててコインが宙を舞い、落ちた
でも誰もコインを見ていない
杉並君の方に視線を向けている
「表か
白河嬢の先攻だな」
「それはいいんだが…
今の台詞はなんなんだ?」
「なに、少しでも雰囲気を出そうと思ってな」
なんの雰囲気なんだろう…?
「まぁ深い意味はない
気にせずデュエルを始めてくれ」
「微妙に気になるんだけどなぁ…」
「ことり、気にしないほうがいいって…」
雰囲気が出るどころか微妙な空気の中、デッキから手札を5枚引く
「手加減はしないでいくよ?」
「こっちだって
望むところだよ」
でもせっかくだから杉並君みたいに少しカッコつけた台詞を言ってみる
本音でもあるしね
「やる気十分みたいだね
それじゃあ…」
「「デュエル!」」
「わたしの先攻だね
ドロー
モンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンド」
たしか最初のターンはバトルが出来なかったはず
わたしはカードをセットしてターンを終える
「私のターン、ドロー
『天空の使者 ゼラディアス』の効果発動、このカードを手札から捨てて、デッキから『天空の聖域』を手札に加える」
『天空の聖域』は叶ちゃんのデッキ名にもなっているカード
たしか天使族の戦闘による戦闘ダメージを0にする、だったよね
「フィールド魔法『天空の聖域』を発動
モンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンド」
「エンドフェイズに罠カード『砂塵の大竜巻』を発動
セットカードを1枚破壊するよ」
「へぇ…
エンド砂塵なんて知ってたんだね、ことり」
カードをセットしたターンのエンドフェイズに破壊することで確実に破壊する
この戦法をエンド砂塵というらしい
ネーミングがそのまんまだけど…
「じゃあ今度こそターンエンドだよ」
ちなみにこういう戦法とかは朝倉君に教えてもらった
って言ってもまだ初歩的な戦法しか使えないんだけどね
「わたしのターン、ドロー
フィールド魔法『ハーピィの狩場』を発動
これで『天空の聖域』を破壊する」
『ハーピィの狩場』
わたしのデッキのキーカードの内の1枚
『ハーピィ・レディ』を召喚することでフィールド上の魔法、罠カードを破壊するカード
さらに鳥獣族の攻守も200上がる
このカードで魔法、罠カードを破壊していくのが私の主戦法になる
「『ハーピィ・クィーン』を召喚
このカードはフィールド、墓地ではカード名を『ハーピィ・レディ』として扱う
よって『ハーピィの狩場』の効果が発動、セットカードを破壊するよ」
セットしたカードは全て破壊できた
これで安全に攻撃できるはず…
「『ドラゴンフライ』を反転召喚
『ハーピィ・クィーン』でモンスターに攻撃!」
「残念でした
セットモンスターは『マシュマロン』
このカードは戦闘では破壊されない
さらに裏守備表示のこのカードを攻撃した時、相手は1000ダメージを受ける」
「うっ…
残り7000」
攻撃したが逆にダメージを受けてしまった
ダメージを与えてくる上に、戦闘で破壊されないなんて…
最初から厄介なモンスターを出してきたみたい
「じゃあカードを2枚セットしてターンエンド」
「いきなり手札を全部使ってきたね…
私のターン、ドロー」
わたしのフィールドにはセットカードが3枚にフィールド魔法がある
普通は『大嵐』等を警戒して、こんなにセットしない
でもこのデッキはこうする必要がある
なぜなら…
「スタンバイフェイズに永続罠『魔封じの芳香』を発動
魔法カードはセットしてから次のターンまで発動できない」
「きたね
ちょっと厄介なカードが…」
この『魔封じの芳香』があるかぎり、魔法カードはセットして1ターン待たなければ発動できない
自分も影響を受けてしまうが、それを踏まえて魔法カードを少なめの構築をしてある
「カードをセットしてターンエンド」
「わたしのターン、ドロー」
叶ちゃんは攻めてこない
というか攻められないのだろう
『マシュマロン』の攻撃力は300しかないし
「わたしはこのままターンエンド」
でも私にも『マシュマロン』を突破できるカードはない
早速膠着状態に入ってしまった
「私のターン、ドロー
モンスターをセットしてターンエンド」
叶ちゃんはまだ攻められない
モンスターを増やしてターンを終えた
「わたしのターン、ドロー
『ハーピィ・クィーン』と『ドラゴンフライ』を生贄に『始祖神鳥シムルグ』を召喚」
『始祖神鳥シムルグ』は風属性モンスターのみを生贄に召喚した時、相手フィールドのカードを2枚手札に戻すことができる
自身も2900の攻撃力を持つ強力な鳥獣族のモンスター
「叶ちゃんのモンスターを全て手札に戻す
『シムルグ』で直接攻撃!」
「速攻魔法『光神化』を発動
手札から天使族をステータスを半分にして特殊召喚する
私は『ジェルエンデュオ』を守備表示で特殊召喚
このカードも戦闘では破壊されない」
また戦闘破壊されないモンスター
叶ちゃんの壁を突破できない…
「これでターンエンド」
「私のターン、ドロー
モンスターをセット
フィールドゾーンにカードをセットしてターンエンド」
どうやら叶ちゃんは今のドローで『天空の聖域』をひいたみたい
どうしよう…
今の手札じゃ対処できない…
「わたしのターン、ドロー
『ハーピィ・レディ1』を召喚、『狩場』でセットされたフィールドを…」
「やらせないよ
速攻魔法『サイクロン』を発動、『狩場』を破壊する
これで『狩場』は不発だよ」
「…ターンエンド…」
『狩場』を止められた以上、わたしに手はない
結構いいドローだったんだけど…
「私のターン、ドロー
フィールド魔法『天空の聖域』を発動
『シャインエンジェル』を召喚
『ハーピィ1』に攻撃!」
『ハーピィ・レディ1』は風属性モンスターの攻撃力を300上げる効果を持っている
だから今の攻撃力は1600
『シャインエンジェル』じゃ『ハーピィ1』には勝てないのに…
「『シャインエンジェル』は破壊されるけど、効果を発動
私は『シャインエンジェル』の効果で『コーリングノヴァ』を特殊召喚
さらに『コーリングノヴァ』で『ハーピィ1』に攻撃!」
『天空の聖域』でダメージはないけど、モンスターはどんどん破壊されていく
何をするんだろう?
「『コーリングノヴァ』は『天空の聖域』がある時は『天空騎士 パーシアス』を特殊召喚できる
『パーシアス』を特殊召喚」
「攻撃力1900…」
「『ハーピィ1』を倒すには十分だよ
『ハーピィ1』に攻撃!」
「300ダメージで残り6700…」
『シャインエンジェル』からこんなモンスターが出てくるなんて…
というかリクルーターってこういう使い方もあるんだ…
「『パーシアス』の効果、戦闘ダメージを与えた時、カードを1枚ドロー」
「ドロー効果まであるんだ…」
「ちなみに貫通効果もあるよ
そのかわりレベル5で攻撃力1900しかないんだけどね
『パーシアス』を生贄に、『天空勇士 ネオパーシアス』を特殊召喚」
召喚したばかりなのにもう生贄に?
名前からして上位種だと思うんだけど…
「『ネオパーシアス』は『天空の聖域』がある時、相手よりライフが上回ってる数値分だけ攻撃力が上がる
だから今の攻撃力は3600」
「3600?!」
「私はこれでターンエンド」
高い…
『シムルグ』でも『ネオパーシアス』は倒せない…
「わたしのターン、ドロー
ライフを800払って、装備魔法『早すぎた埋葬』を発動
墓地から『ハンター・アウル』を特殊召喚
もう1体『ハンター・アウル』を召喚してターンエンド」
『ハンター・アウル』は攻撃力上昇効果以外にも、自身以外の風属性モンスターがいれば攻撃されない効果を持っている
つまり『ハンター・アウル』が2体フィールドにいれば相手は攻撃できなくなる
「私のターン、ドロー
『ネオパーシアス』で『シムルグ』に攻撃!」
でもこのコンボは他のモンスターを守る事ができない
『シムルグ』までは守りきれない…
「永続罠『女神の加護』を発動
ライフを3000回復する
これで私のライフは11000」
「えっ…
じゃあ…」
「『ネオパーシアス』は自身の効果で攻撃力が上がる
これで攻撃力は7400
この状態で戦闘だよ」
「4500ダメージ、残り2200…」
一気に追い詰められてしまった…
しかもライフ差は8800だから…
「『ネオパーシアス』の効果でカードをドロー
ライフ差によって、さらに攻撃力が上がるよ
今の攻撃力は11100」
ついに『ネオパーシアス』は攻撃力10000を超えた…
『ハンター・アウル』が突破される前に『ネオパーシアス』を使わないと負けてしまう…
「ターンエンド」
「わたしのターン、ドロー
カードをセットしてターンエンド」
「『ネオパーシアス』を倒せるカードはひけた?」
「さて、どうでしょう?」
さすがにそんな安っぽいカマかけには引っ掛からないよ…
でもちゃんと『ネオパーシアス』を倒せるカードはひけたよ
「私のターン、ドロー
ターンエンド」
セットモンスターはさっき戻した『マシュマロン』だと思う
仮にそうじゃなかったとしても、『シャインエンジェル』や『コーリングノヴァ』のような戦闘に強いモンスターって可能性も高い
でもそういうモンスターはカードの効果で破壊すればいい
「エンドフェイズに『ゴッドバードアタック』を発動
『ハンター・アウル』1体を生贄に、『ネオパーシアス』とセットモンスターを破壊する」
「『ネオパーシアス』が倒されちゃったか…
早かったね」
そりゃ早くしなきゃ負けちゃうからね
ちなみに一緒に破壊したモンスターは、やっぱり『マシュマロン』だった
さっき攻撃しないで良かった〜
「わたしのターン、ドロー
今度はこっちの番だよ
永続罠『ヒステリックパーティ』を発動」
『ヒステリックパーティ』は手札を1枚捨てて、墓地の『ハーピィ・レディ』を可能な限り特殊召喚できる
対象が『ハーピィ・レディ』のみだったり、手札コストが必要だったりと使いにくいけど、状況が整っていれば強力なカードだ
「わたしの墓地の『ハーピィ・クイーン』と『ハーピィ1』を1体ずつ攻撃表示で特殊召喚
全てのモンスターで攻撃!」
「え〜と…
『ハンター・アウル』が2800で、『ハーピィ・クイーン』が2200で、『ハーピィ1』が1600だから…
6600ダメージで残り4400
これは痛いかなぁ…」
「カードをセットしてターンエンド」
さっきの大ダメージには届かないけど、だいぶ追いつくことができた
このまま押し切れればいいんだけど…
そうはいかないんだろうなぁ…
「私のターン、ドロー
『力の代行者 マーズ』を召喚
このカードは元の攻撃力は0だけど、『ネオパーシアス』と同じ攻撃力上昇効果を持っている」
ライフ差の分だけ攻撃力が上がるってこと?
でも攻撃力が0ってことは、ライフ差がそのまま攻撃力ってことみたいだね
「ライフ差は2200
だから『マーズ』の攻撃力も2200になる
『マーズ』で『ハーピィ1』に攻撃!」
「600ダメージで残り1400…」
「ライフ差がひらいたから、『マーズ』の攻撃力は上がる
攻撃力は2800
カードを2枚セットしてターンエンド」
ちょっとずつ追い詰められている…
早くどうにかしないと、このまま負けてしまう…
「わたしのターン、ドロー
装備魔法『守護神の矛』を『ハンター・アウル』に装備」
『守護神の矛』は墓地に存在する、装備モンスターと同名のカード数×900だけ攻撃力を上昇させる
わたしの墓地には『ハンター・アウル』が1体いるため、攻撃力が900上がる
「『ハンター・アウル』で『マーズ』に攻撃!」
「『マーズ』の攻撃力をギリギリ上回ったね…
100ダメージで残り4300」
「『ハーピィ・クイーン』で直接攻撃!」
「1900ダメージ、残り2400」
「これでターンエンド」
どうにか持ち直した
でもライフが少ないことは変わらないのだから、まだ安心できない
「私のターン、ドロー
魔法カード『大嵐』を発動」
ここで『大嵐』…
フィールド上の全ての魔法、罠カードを破壊するカードで、わたしのデッキがもっとも警戒しなくてはいけないカード…
あれ?
でも…
「『女神の加護』は破壊された時に3000ダメージ受けるんじゃなかった?
叶ちゃんのライフは0になるんじゃ…」
「そうだよ
だからこれを一緒に使うの
手札を1枚捨てて、罠カード『レインボーライフ』を発動
このターン中に私が受ける全てのダメージを回復に変える」
『女神の加護』は発動時に3000回復し、フィールドから離れると3000ダメージを受ける
実質的にプラスマイナスは0のはずなのに、叶ちゃんはそれを『レインボーライフ』でプラス6000に変え、さらに『大嵐』で魔法、罠カードを全て破壊されてしまった
「『女神の加護』のダメージ分回復して、私のライフは5400
さぁ、このターンで決めるよ!」
叶ちゃんが勝利宣言をした
どうしよう…
今の『大嵐』のせいでなにも対抗策がない…
「『魔封じの芳香』も破壊されたから、普通に魔法カードを発動できるようになる
『ゼラディアス』の効果発動、デッキから『天空の聖域』を手札に加えて、そのまま発動
速攻魔法『光神化』を発動、手札から『裁きの代行者
サターン』を特殊召喚」
あれは叶ちゃんが昔よく使っていたカードだ
たしかあのカードの効果は…
「『サターン』の効果を発動!
『天空の聖域』がある時にこのカードを生贄にささげて、相手にライフ差の分だけダメージを与える
ライフ差は4000
4000ダメージを与える」
「ライフ0…
わたしの負けだね…」
「結局負けちゃったか…
結構いいところまでいったと思うんだけどなぁ…」
「いや、かなり良かったのではないか?」
「あぁ
ことりがここまで出来るとは思わなかったよ
ルールが間違ってるとこもなかったしな」
「うん
プレイングもいい感じだったしね」
デュエルが終わるとみんなが口々にほめてくれた
デュエルは負けちゃったけど、ちょっと嬉しいかな?
「プレイングといえば…
ことり…ホントに初心者か?」
「そうだよ
だって今日始めてデュエルしたんだし…」
さっきのデュエルだって叶ちゃんに翻弄されてばっかりだったし、知識の無さとかも間違いなく初心者の域だと思う
「だよなぁ…
でも先読みとかはともかく、カードの使い方とかがかなりうまかったぞ
今日がデビューとは思えないくらい」
「それは私も感じたかな?
実は隠れてこっそりやってました〜、って言われても信じられるくらい」
「そうだった?」
隠れてやっていたという事実はもちろんない
特にうまく使ったとかの意識はないんだけど…
「カードの使い方なんてみんながやってるのを見て、それを真似してみただけだよ」
「いや、それでも十分すごくないか?」
「うん
普通は実際に使ったり、何度もシュミレーションしたりして覚えるし」
「へぇ、そうなんだ」
でも考えればそれも当然なのかもしれない
わたしがデッキを作る時も、どのカードをこう使うと強力だ〜とかこういう状況で使えばいい〜ということを考えていたわけだし
「先読みについては仕方あるまい
これについては豊富な経験と知識量が重要だからな」
「あとは同じ相手とやる場合は、その相手のデッキや癖を覚えたりしてればいいしね
何度も同じ相手の同じデッキとやるから新鮮味とかはないけど、それはそれで読み合いが楽しいしね」
実際にデュエルをしていろいろ話してみると、思っていたより奥が深いということを感じる
これは一度ハマっちゃうとそうそう抜けられそうにないかもしれない
もう片足を突っ込んでる気がするけど…
「そういえばさっきことりとデュエルしてる時に、朝倉君ともデュエルしてるような感じがしたんだよね…」
「俺と?
たしかにことりの後ろにいたが…
なんでまた?」
「なんでだろ?」
朝倉君と、ってどういうことだろう?
「ほう、それは面白いな
工藤よ、それはどんな理由からなのか…わかるか?」
「なんていうのかな…
朝倉君がことりのデッキを使ってるっていうか…
そう、デュエルの流れが朝倉君と似たような感じだった」
デュエルの流れ?
さっきのデュエルと朝倉君のデュエルが似てた?
……よくわかんないなぁ…
「朝倉君もことりもここぞって時の押しが弱い気がするんだよね
攻めるときにいまひとつ攻めきれない」
「……白河嬢よ
さっきのデュエルの…そうだな…
『始祖神鳥シムルグ』を召喚したあたりの状況を覚えてるか?
あの時の白河嬢の手札、フィールドにあったカードとかだ」
「ええっと…
あの時はたしか…」
わたしはあの時の状況を一つ一つ思い出しながら説明した
すると杉並君は少し考え込んだ後、話し始めた
「おそらく朝倉と白河嬢が似たような特徴を持っているのだろうな」
「特徴ってどんな?
っていうかなんのだ?」
たしかに特徴といわれても、いまいちピンとこない
「これは単純に運の問題だ」
「「「運?」」」
杉並君の言葉につい首を傾げてしまう
叶ちゃんと朝倉君も似たような反応をしている
「うむ
先ほどの状況を聞く限り、あの時はああする他に手がなかったのだろう
だがあれではどうにも微妙だ」
「まぁ、それはたしかに…」
「朝倉もさっきの白河嬢と同じような…対処は出来てもそれが微妙な手段だったという時がよくあるだろう?」
「あぁ、あるな」
「肝心な時に押し切れない、いいカードがひけない…
簡単に言ってしまえば…二人とも運が悪いのだ」
それを聞いてみんなの動きが止まった
もちろんわたしも
運って…
「運が…悪い?」
「そうだ
朝倉は最近よくあるだろう?
たとえば…『ウィルス』系のカードを発動しても特に大きな効果を得られないような時が」
「それは…まぁ…」
「それに朝倉は最初から押し切られてしまうような事がよくあるしな
普段はともかくとして肝心な時の運が悪い傾向がある」
「つまりことりも俺と同じで、肝心な時に運が悪いってことか?」
「そういわれてみればそんな感じだったかも…
ことりのデッキなら他にも手段はいくらでもあったはずだし…」
朝倉君も叶ちゃんも呆れながらもうなずいている
運なんて自分じゃどうにもできないんじゃ…
「まぁこればかりは仕方がないな
デッキ構築やプレイングでカバーするしかあるまい」
「そうだね
ことりは才能もあるみたいだし、まぁ大丈夫でしょ」
「才能って…」
わたしも苦笑しながらうなずいてしまった
結局は遊びなんだしそこまで深く考えなくてもいいと思う
それに遊びなんだから、一番大切なのは楽しむことだしね!
「よし!
さっきの一回だけってのもなんだし、もう一度やるか」
「うん!
今度は朝倉君とやってみたいかなぁ…」
「いいぜ
やろうか」
「では俺はその次だな」
「あ、なら杉並君はその間私とやらない?」
「うむ、いいだろう」
今度は相手を変えてデュエルを再開する
さっきは負けちゃったけど、次こそ勝ってみせる!
FIN
きっとあとがき
前回から大幅に間を空けながらも、どうにか4話を上げることができました
毎度おなじみの(かどうかは知りませんが…)エメラルドです
この4話をあげる前に番外編を書いてみよう…と思ったのですが、それが大きく挫折してしまったので、素直に4話を書くことにしました
加えて夏休みに大量のバイトを入れる、学祭の時期が近いということもあってこちらに手を出す暇がなく、結局前回から3ヶ月も空いてしまいました…
見苦しい言い訳すみません…
今回はちょっと視点を変えて、ことりさんVS叶さんをお送りしました
今回使用したことりさんのデッキは【アロマハーピィ】
ことりさんの能力に関連づけて【指名ハンデス】や【天変地異コントロール】という考えもありました
ですがこの遊びの世界にそういったことは無粋だとも思い、それらとはまったく関係ないデッキにしました
対する叶さんは前回少しばかりほのめかした【天空の聖域】を使用
理由は最後の『サターン』のフィニッシュがしたかった…
それだけ…
一応わからない人でも読めるように頑張ったのですが…
今回のはダメでした…
わからない部分はいつもどおり「遊戯王Wiki」でお調べ下さいまし
学祭で我が部では部員の作品を集めた本、いわゆる部誌を売ったのですが…
学祭が終了したので、今度はその時売った部誌の品評をするそうです
でもそれが40人以上なので、それらを見るだけでも結構大変なのです
努力はしますが、次の話も遅くなるかもしれません…
次こそ番外編を書いてみたいけど…
やっぱ難しいかなぁ…
以下設定をば
時間軸
今回の話では、すでにLIGHT OF DESTRUCTIONが発売されています
前回からまたしばらくたった後の話です
デッキ
ことりさんのデッキは【アロマハーピィ】
初心者でカードをあまりもっていないので、ストラクチャーデッキ烈風の覇者を買い、それをベースにしたデッキです
普通は初心者が持っていないような高価なカードを使っていますが、それらは作中で言っている通り、純一君、杉並、叶さんがプレゼントしたものです
ご都合主義とかは気にしないで下さい
初心者にしては異様にデッキの完成度が高いのも純一君たちの協力故です
ちなみにリアルで僕が使っているデッキをそのまんま使っております
大して強くもない僕が造った、それでも持ちうる最高級のカードをつぎ込んだ、僕の誇る最強のデッキです
そのため作中のプレイングも僕そのものです
叶さんのデッキは【天空の聖域】
昔の叶さんのデッキをこの時間軸のカードプールで改良したものです
とは言っても、多くがストラクチャーデッキ閃光の波動に収録されているカードですね
今回のデッキも友人のデッキを参考にしております
前回使用された、一風変わった【雲魔物】のベースとなったデッキです
疑問、感想等ございましたらメール、もしくは掲示板にてお願いいたします