これを読む前に
今回のお話はファミ通文庫の「D.C.P.C〜ダ・カーポ〜プラスコミュニケーション 桜色のドルチェ」のネタばれ?になっています
その辺を踏まえてお読みください
「じゃあ今日はここまでだ
週番、号令」
「きり〜つ、礼」
週番の号令で今日の日程は全て終了だ
やっと帰れるな
「あ〜、終わった終わったと」
「お前はほとんど寝ていたじゃないか…」
近くにいた工藤に呆れ顔で突っ込まれた
まぁ今日の授業は半分以上寝てたしな
「それはあれだ
睡眠学習というやつだ」
「いびきかいて熟睡しといて何言ってるんだか…」
「げっ…
俺いびきまでかいてたのか…?」
「おもいっきりな
いくら揺すっても起きないから放置されたけどな
先生も呆れてたぞ」
寝てる時になんか体が揺れてるように感じたのはそれか
あれじゃ睡眠を促進するようなものだったが
「まぁそのことはいいや…
朝倉、明日は何か予定あるか?」
明日の土曜は休みだ
だが特に予定は入っていない
「いや、暇だぞ
明日何かあるのか?」
「何かあるわけじゃないけど…
暇なら遊ばないかと思ってさ」
工藤のほうから誘ってくるとは珍しいな
いつもは杉並や俺から声をかけてるからな
「別にいいぞ」
特に断る理由もないしな
「そっか
じゃあ明日の昼にお前の家に行くよ」
「俺の家?
ゲーセンとか行くんじゃないのか?」
遊ぶといっても俺の家には特に面白いものはない
ゲームとかはあるが二人でできるようなソフトはあまりないし…
「そういうのじゃない
杉並に聞いたんだけど…
朝倉もまたカードやり始めたんだろ?」
「あぁ杉並に誘われてな
工藤もか?」
「そういうこと」
昔は工藤も俺たちと一緒にカードをやっていた
やり始めた当初はあまり乗り気じゃなかったが、結局は結構ハマっていた
しかし杉並は工藤にまで声をかけてたのか…
「そういうことなら杉並も呼んでみるか?」
「それもいいな
同じ相手とばっかデュエルするのも味気ないしな」
いつもは遠慮したいところだが、今回は問題ないだろう
早速声をかけようと、杉並を探す
しかしさっきまで教室にいたはずなのだが、見当たらない
「ならば俺もお邪魔させてもらおう」
「うぉっ!」
「うわっ!」
いきなし俺達の後ろから杉並が顔を突き出してきた
どこにいやがったんだ…
「お、お前どこにいるんだよ!」
「どこと言われても、ここは教室だろう?」
いや、それは正しいが…工藤が聞きたいのはそういうことじゃないと思うぞ…
「そうじゃなくて…
さっきまでお前はそんなところにいなかっただろう…」
「まぁ細かいことは気にするな」
いや、毎度のことながら気になるんだが…
「明日の昼にカードを持って朝倉の家に行けばいいのだろう?」
「まぁそうだけど…
いつからそこにいたんだよ…」
「気にするなと言っただろう
極秘事項だ」
「随分安っぽい極秘事項だな…」
そんなやり取りを続けるうちに、金曜日の放課後は過ぎていった…
D.C.で遊戯王をやってみた 3戦目
翌日の土曜日
いつも通り昼近くに起床した俺は、リビングで優雅にブランチをとっていた
ブランチというより、もはや昼飯だが…
「そういや工藤と杉並が来るって言ってたっけ…」
昼に来るとは言っていたが、細かい時間は決めていなかった
いつ来るかはわからないが、おそらく昼飯は食べてから来るだろう…
ピンポ〜ン
と思ってたらもう来たようだ
まだ食い終わってないのに…
「仕方ない…」
まだ半分ほど残ってるトーストを皿に置いて、リビングを出た
「よっ、朝倉」
「こんにちは、朝倉くん」
玄関には杉並と女物の服を着た工藤が…
「って、なんで工藤はそっちの格好なんだ?」
そう
工藤は女物の服を着ていた
いつもの男装姿ではなく…
「朝倉くんたちはもう私の事を知ってるじゃない?
だからこれでいいのよ」
「でも杉並は…」
「俺も知ってたぞ」
俺が何か言う前に、その言葉は杉並に遮られた
なぜ杉並が…と思ったが、でも杉並だしな…と考え直した
「とりあえず二人とも上がれよ
せっかく来たのに玄関で立ち話ってのもおかしいしな」
「だな
お邪魔するぞ」
「お邪魔します」
とりあえず二人をリビングに通した
俺の部屋じゃないのは、一応工藤に気を使ってのことだ
「ちょっと待っててくれ
すぐに飯済ませるから」
「あ、まだ昼ご飯食べてたんだ
来るのがちょっと早かったかな?」
「いや、朝倉のことだ
多分これは朝食だろう」
俺が何か言う前に、杉並が割り込んできた
まぁ事実だがな…
「ふ〜ん、そうなんだ…
朝倉くん、平日と同じにしろとは言わないけど、もうちょっと早く起きなきゃダメだよ」
「……悪かったな…」
おまけに工藤からは叱られてしまった
「まぁテレビでも見ながら待っててくれ
すぐに片付けるから」
といって俺はすぐに食べかけのトーストにかじりつき、コーヒーで流し込んだ
食べるのにかかった時間…約30秒
「ごちそうさまっと」
「テレビをつける間もなかったな…」
「こらっ、ちゃんと噛まないと体に悪いんだよ?」
待たせまいと急いだのに、杉並から呆れられて工藤にまた叱られた…
今度は二人の言葉はスルーした
「そういえばなんで杉並が工藤のことを知ってたんだ?」
食器を流しに放り込み、部屋からデッキを持ってリビングに戻った
そしてソファに座りながら気になっていたことを二人に聞いた
「それは…ほら…暦先生の結婚式の時だよ」
「それと杉並がどう関係するんだ?」
あれに杉並は…というか俺とことりと工藤以外の学園の生徒は呼ばれていなかったはずだ
「あそこになんでか知らないけど杉並くんがいたのよ…」
「へっ?」
あのことは秘密にされていたはずだ
なのになぜ…
「俺をなめてもらっては困る
我等がその程度の事を調べられないと思ったか?」
「「………」」
それを聞いてなんとなく納得してしまい、黙ってしまった
工藤も同じだろう
「あ、そうだ
工藤って結構なお嬢様なんだよな?
こういうものはダメだとか言われてないのか?」
沈黙に耐えられなくなり、俺は強引に話を変えた
「あ、うん…
あんまり良くは思われてないんだけど、周りと話を合わせなきゃいけなかったから…
そういうのもある程度は許してもらってたの」
そういうことか
まぁあの頃のカード人気はすごかったからな
「でも工藤もかなりハマってなかったか?」
「あはは…
やってるうちにホントに面白くなってきちゃって…」
ちなみに当時の工藤は『裁きの代行者 サターン』をキーカードに据えた【天使族】を使っていた
フィールド魔法『天空の聖域』や多くのライフゲインカードによる高い防御力を破る事ができずに敗れるデュエリストは多かった
「工藤の『裁きの代行者 サターン』には幾人ものデュエリストが苦しめられたものだ…」
「でも杉並くんも強かったじゃない
1ターンで一気に全部のライフを削られちゃうし…」
「まぁそれが【機械族】の売りだからな」
対して杉並は【機械族】を使っていた
全種族の中でも屈指の攻撃力がその特徴だった
「朝倉くんはたしか【ドラゴン族】だったよね?」
「あぁ
【ドラゴン族】っていうより【青眼の白龍】だな
今は違うけど」
俺が使っていたのは、最初に杉並相手に使った【青眼の白龍】
その名の通り、『青眼の白龍』をメインに様々なコンボを使うデッキだ
「そういえばデッキ変えたんだって?」
「あぁ
まだ完成はしてないが、だいぶ良くなってきてる」
「じゃあそのデッキで私とデュエルしない?
私も新しいデッキ組んだんだ」
工藤が持っていたバッグからデッキを出しながら言った
さっきまでの女の子の目から、昔のようなデュエリストの目になっている
「のぞむところだ
まぁ今日の主な目的だしな」
俺もデッキを机の上に出して答える
断る理由などない
「工藤はなんのデッキを組んだんだ?」
「それは秘密だよ
デュエルするまでのお楽しみ」
「あぁ、楽しみにさせてもらう」
ピキィン、パシッ
横を見ると杉並が左の手の甲を右の手でおおっている
コイントスをしたのだろう
「さぁ、どっちだ?」
「私は裏」
「なら俺は表だな」
杉並が手をどける
コインは…裏
「私が先攻だね」
「みたいだな」
デッキをシャッフルし、カードを5枚ひく
準備完了だ
「始めるか」
「そうだね
じゃあ…」
「「デュエル!」」
「私のターン、ドロー
『雲魔物−タービュランス』を召喚
効果によりフォッグカウンターを1つのせる」
「へえ、【雲魔物】か」
工藤が出した『雲魔物』(クラウディアン)モンスターは、ステータスは低いがほとんどが戦闘破壊されない
だが戦闘破壊されないモンスターは、守備表示にすると破壊されてしまうために低い攻撃力を曝し続けなければならない
「さらに『タービュランス』の効果を発動
フォッグカウンターを1つ取り除き、デッキから『雲魔物−スモークボール』を守備表示で特殊召喚」
さらに『雲魔物』はフォッグカウンターを使って様々な効果を発動する
今の『雲魔物−タービュランス』はカウンター1つを使い、『雲魔物−スモークボール』を特殊召喚する
召喚される『雲魔物−スモークボール』は効果もなくステータスも低いモンスターだが、生贄にするなり壁にするなり使い道はいろいろある
「手札から『天空の使者 ゼラディアス』を捨ててデッキから『天空の聖域』を手札に加えて、そのままフィールド魔法『天空の聖域』を発動
これで戦闘ダメージを0にする」
『雲魔物』はほとんどが攻撃表示で居続ける必要があるため、何かしらダメージを遮断できるカードが必須だ
工藤が使った『天空の聖域』は天使族の戦闘によって発生したダメージを受けなくなるカードだ
フィールド魔法故に同じフィールド魔法の発動などによって破壊されやすいが、
さっきの『天空の使者 ゼラディアス』等でサーチが容易にできる
「やっぱ防御カードは入ってるか…」
「ほっといたらダメージを受け続けるだけだしね
カードをセットしてターンエンド」
しかし最初から防御を固めてきたな…
これは厄介そうだ…
「俺のターン、ドロー
『終末の騎士』を攻撃表示で召喚して効果発動だ
デッキから『ハウンド・ドラゴン』を墓地に送る」
『終末の騎士』は闇属性モンスター1体をデッキから墓地に送ることができる
闇属性は墓地を利用する手段に長けているため、闇属性を多様するデッキでは非常に重宝する
「『終末の騎士』で『スモークボール』に攻撃だ」
「通すよ
『スモークボール』は破壊」
「カードをセットしてターンエンドだ」
何もしないのか…
多分『スモークボール』を呼び出したのはデッキ圧縮が目的だったのだろう
「私のターンだね、ドロー
『タービュランス』をもう1体召喚
フィールドには『雲魔物』が2体いるからカウンターを2つのせる
そしてカウンターを取り除いて『スモークボール』を守備表示で特殊召喚」
『タービュランス』は召喚時に自分フィールドにいた『雲魔物』の数だけカウンターがのる
フィールドには『タービュランス』が2体いるからカウンターも2つ
さらにその2つのカウンターで残りの『スモークボール』を全て出してきた
「カードをセットしてターンエンド」
「俺のターン、ドロー
『サイバー・ダーク・キール』を召喚して、効果により墓地の『ハウンド・ドラゴン』を装備だ」
いくら弱いとはいえ、これだけの数が揃うと何がくるかわからない
少しでも数を減らすか…
「まずは『終末の騎士』で『スモークボール』に攻撃だ」
「うん、『スモークボール』破壊だね」
「さらに『キール』で『スモークボール』を攻撃だ」
「そっちには速攻魔法『フォッグコントロール』を発動するよ
『スモークボール』生贄に『タービュランス』1体にカウンターを3つのせる」
『フォッグコントロール』は『雲魔物』を生贄に他の『雲魔物』にカウンターを3つのせるカードだ
速攻魔法だから様々な状況で役に立つ
今みたいに攻撃をかわすこともできるし、魔法などの対象を生贄にして空振りさせることもできる
「じゃあカードを1枚セットしてターンエンドだ」
「私のターン、ドロー
『タービュランス』のカウンターを2つ使って墓地から『スモークボール』を2体特殊召喚するよ
そしてその2体を生贄にして『雲魔物−アイ・オブ・ザ・タイフーン』を召喚」
「ボスのご登場か
早かったな…」
『雲魔物−アイ・オブ・ザ・タイフーン』
ステータスが低い『雲魔物』だが、ボスモンスターのこいつは違う
レベル8だけあって3000もの攻撃力を持ち、攻撃時に『雲魔物』以外のモンスターの表示形式を変更する
だが今はその効果のお陰でダメージは受けない…
「さらにセットしてある速攻魔法『エネミーコントローラー』を発動して、『キ
ール』を守備表示にする」
…はずだったのだが、外された
「『アイ・オブ・ザ・タイフーン』で『キール』を攻撃
そして効果で『キール』は攻撃表示に、『終末の騎士』は守備表示になる」
「ちっ…
『キール』が戦闘で破壊されるとき、代わりに装備モンスターを破壊する」
「でもダメージは受けるよね」
「あぁ
500ダメージで残り6400…」
『サイバー・ダーク』は墓地のドラゴン族を装備して、高い攻撃力を得られる
だが一度装備を外されると、再装備できないという欠点がある
簡単に高い攻撃力を得られる反面、対処法も多い
「さらに『タービュランス』で『キール』を攻撃
攻撃力は同じだけど、こっちは戦闘破壊されないよ」
だが装備モンスターが破壊され、攻撃力が下がったからこそできることもある
「ならば罠カード『死のデッキ破壊ウイルス』を発動だ
相手フィールドと手札の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する
『アイ・オブ・ザ・タイフーン』を破壊する」
とりあえず『アイ・オブ・ザ・タイフーン』は破壊できた
次は手札だが…
「『雲魔物−キロスタス』と『雲魔物−アルトス』…
どっちも破壊できねえ…」
「『雲魔物』は攻撃力が低いからね」
『アイ・オブ・ザ・タイフーン』を破壊するために発動したのはいいが、『雲魔物』全体には効果が薄い
少し失敗したか?
「対象がいなくなったから『タービュランス』の攻撃再開だよ
『タービュランス』2体で直接攻撃」
「うっ…
1600ダメージで残り5900…」
「ターンエンド」
まぁ手札を見れただけでもよしとしよう
『アイ・オブ・ザ・タイフーン』を破壊するという本来の目的は果たしてるわけだし
「俺のターン、ドロー
『仮面竜』を攻撃表示で召喚
魔法カード『スタンピングクラッシュ』を発動、『天空の聖域』を破壊して500ダメージを与える」
「『天空の聖域』壊されちゃったか…
残りは7500」
これでダメージは通るな
一気に攻め込む…といきたいが、今の手札じゃ無理だ…
普通にいくしかないな
「『終末の騎士』を攻撃表示に変更
2体で『タービュランス』を攻撃だ」
「何もできないね…
合計1200ダメージで残り6300」
「ターンエンドだ」
あまりダメージを与えられないな…
次の『天空の聖域』までにできるだけ与えて起きたいんだが…
「私のターン、ドロー
ひいたカードは『雲魔物スコール』
『雲魔物−キロスタス』を召喚
カウンターは3つのるよ
そのうち2つを取り除いて、『仮面竜』を破壊する」
『雲魔物−キロスタス』はカウンターを2つ使って、相手モンスターを破壊する能力を持つ
まだ『終末の騎士』がいるから、このターンは凌げるが…
今工藤のひいたカードは確か…
「永続魔法『雲魔物のスコール』を発動
これでカウンターを補充できるよ
これでターンエンド」
『雲魔物のスコール』
発動者のスタンバイフェイズ毎に表側表示モンスター全てにカウンターを1つのせるカード
あまり放っておきたくはないのだが、今の手札では対処できない
「俺のターン、ドロー
『クリッター』を召喚
2体で『タービュランス』に攻撃だ」
「また何もできない…
800ダメージで残り5500…」
「ターンエンド」
少しづつだがダメージを与えられてる
このまま押し切りたいが…
「私のターン、ドロー
ひいたカードは…『ゼラディアス』…」
「『ゼラディアス』は2100だったな
よし、破壊だ」
これは少し危なかったな…
『ゼラディアス』じゃなくて『天空の聖域』だったら、また攻撃できなくなるところだった
「ついてないなぁ…
でも『雲魔物のスコール』でカウンターが1つづつのるよ
『雲魔物−アルトス』を召喚してカウンターを4つのせる
そして『アルトス』効果を発動
『アルトス』カウンターを3つ取り除いて相手の手札をランダムに1枚捨てる」
「手札破壊か…
厄介な…」
そうして捨てられたのは、『クリッター』の効果を発動したいがために、召喚を後回しにした『サイバー・ダーク・エッジ』だった
だがさっきの『死のデッキ破壊ウイルス』で『アルトス』の存在は確認していた
どうせ『クリッター』でサーチできるのだから、とこちらを捨て置いたのだ
「まだだよ
もう1回『アルトス』の効果を発動するよ」
「へっ?
『アルトス』のカウンターはもうないぞ?」
「ふふっ
『アルトス』のテキストをよく読めばわかるよ」
俺は工藤に断りをいれて、『アルトス』のテキストを読んだ
そして気付いた
他の『雲魔物』との違いを…
「あっ…
フィールド上の…フォッグカウンター…?」
「そういうこと」
それは「フィールド上のフォッグカウンターを」取り除いて効果を発動する、ということ
つまり『アルトス』自身だけではなく、他のモンスターのカウンターも使えるのだ
「朝倉くんのモンスターにのっているカウンター2つと『アルトス』のカウンターを取り扱いて、手札をランダムに捨てる
って言っても手札はそれしかないけどね」
最後に手札に残っていた『ドル・ドラ』も捨てられてしまった
「さらに『キロスタス』の効果で『終末の騎士』を破壊する」
そして最初のターンからずっとフィールドにいた『終末の騎士』も破壊されてしまった
つかただの攻撃力1400のこいつがよくここまで残ってたもんだ…
「『アルトス』でクリッターに攻撃」
「『クリッター』は破壊で300ダメージで残り5600
だが効果発動だ
デッキから『サイバー・ダーク・ホーン』を手札に加える」
『クリッター』はフィールドから墓地に送られた時にデッキからモンスターをサーチできる
サーチするモンスターの制約が攻撃力1500以下とかなり緩く、効果発動も容易のため様々なデッキに採用できる
「残りの3体で直接攻撃」
「合計は…え〜と…2500か
残りは3100…」
「これでターンエンド」
だいぶライフが心許なくなってきたな…
このターンで『死のデッキ破壊ウイルス』の効果も切れてしまった
「俺のターン、ドローだ
『ホーン』を召喚して『ハウンド・ドラゴン』を装備する
『ホーン』で『タービュランス』に攻撃だ」
「1700ダメージで残りは3800」
「カードをセットしてターンエンドだ」
これはいけるかもしれない…
今のドローでこのデッキの切り札をひいた
だがまだ発動するタイミングじゃない
『アルトス』を警戒してセットしたが、工藤が除去カードをひかないことを祈るしかない
「私のターン、ドロー」
さぁ何をひいた?
「スタンバイフェイズに『雲魔物のスコール』でカウンターがのる
永続魔法『生還の宝札』を発動」
たしかに除去カードではなかった…
だが下手をするともっと厄介になりかねないカードをひかれた…
『生還の宝札』は墓地からモンスターが蘇生するたびにカードを1枚ドローできる
工藤のフィールドにはカウンターがのった『タービュランス』が2体に、墓地には『スモークボール』が3体
「『タービュランス』の効果で墓地から『スモークボール』を特殊召喚
『生還の宝札』で1枚ドロー
次に『キロスタス』を守備表示に変更」
「守備表示?
『雲魔物』は守備にすると破壊されるぞ?」
「それでいいの
これでフィールドが空いたから」
そういえば工藤のフィールドはもう5体のモンスターがならんでいる
『生還の宝札』を使うためにフィールドを空けたのか
「もう一度『タービュランス』で『スモークボール』を特殊召喚して、『生還の宝札』でドロー」
そしてドローしたカードを見て工藤の顔が変わった
なんだ?
何をひいた?
「カウンターを使い切った『タービュランス』と『スモークボール』2体を墓地に送って、『アルカナフォースEX−THE LIGHT RULER』を特殊召喚!」
「はぁっ!
『LIGHT RULER』だと?!
なんでそんなもんが入ってるんだ!」
「驚いた?
意外に『雲魔物』と相性がいいんだよ」
『アルカナフォースEX−THE LIGHT RULER』はなんと攻守4000もの数字を持つビッグモンスターだ
自分フィールドのモンスター3体を墓地に送るという難しい召喚条件を持つ
だが召喚さえできれば、その力は天使族最強に近い
二つの異なる効果を持ち、その効果はコイントスによって決定される
「『LIGHT RULER』の効果決定のコイントス」
キィン
コインは…裏
「裏か…
できれば表がよかったんだけど、召喚できただけよしとしますか」
裏の効果は攻撃力を1000下げることで、『LIGHT RULER』を対象とするカードの効果を無効化する強固な防御能力だ
ちなみに表の効果はモンスターを戦闘破壊するたびに、墓地のカードを手札に加えられるという効果だ
「『LIGHT RULER』で『ホーン』を攻撃」
「くっ…
1500ダメージで残り1600…
だが『ホーン』の代わりに『ハウンド・ドラゴン』が破壊される」
「さらに『アルトス』で『ホーン』を攻撃」
「今度は破壊だ…
残り1100…」
「最後に『タービュランス』で攻撃」
「残り300」
「カードをセットしてターンエンド」
どうにか首の皮一枚で繋がったな…
だがこの時工藤はプレイングミスをしている
そのおかげでどうにか生き延びた
「このドローでなんとかしないと俺の負けだな…
俺のターン、ドローだ」
「ううん
これで終わりだよ
罠カード『上昇気流』を発動」
「なっ?」
罠カード『上昇気流』
フィールド上のフォッグカウンターを全て取り除き、取り除いた数×300のダメージを相手に与えるカード
「今フィールドにはフォッグカウンターが4つ
よって1200のダメージを与える」
「………」
「私の勝ちだね」
だがこのカードは…
「いや…
工藤、失敗したな」
「えっ?」
「そのカードは…」
俺の逆転の鍵になるかもしれないカードだ!
「カウンター罠『フュージョン・ガード』を発動!
バーンダメージを無効にする!」
最初のターンにセットして、今まで使われなかったカード…
カウンター罠『フュージョン・ガード』
ダメージを与える効果の発動とその効果を無効にする
そして融合デッキからランダムにモンスターを1体墓地に送ること
「墓地に送られたカードは…運がいいな、『F・G・D』だ」
「あっ…」
どうやらこの次にくるカードがわかったようだ
だがもう対策のしようがない
「そしてセットしてあった魔法カード『サイバーダーク・インパクト!』を発動!
墓地に存在する『ホーン』、『エッジ』、『キール』をデッキに戻し、『鎧黒竜−サイバー・ダーク・ドラゴン』を融合召喚!
墓地の『F・G・D』を装備して攻撃力は5000あがる
さらに墓地のモンスターは5体だから、追加で500あがる」
「攻撃力…6500…」
「ついでだ
今ひいた速攻魔法『リミッター解除』を発動して、機械族の攻撃力を倍にする
これで攻撃力は13000だ
『LIGHT RULER』に攻撃!」
「9000ダメージ…
私の負けだね…」
「朝倉よ…
最後の『リミッター解除』はないだろう…」
デュエル中ずっと黙っていた杉並がやっと口を開いた
その顔には隠しもしない呆れの表情がうかんでいる
「そうだよ…
あそこまでしなくてもいいじゃない…」
「あ〜…
それは悪かった…
つい調子にのっちまってな…」
たしかにあれは余計だったな…
隣の『タービュランス』を攻撃していても終わったわけだから
「しかしあの『LIGHT RULER』にはびびったな」
「話そらしてるね…」
「いや…だから悪かったって…」
「まぁわかってるならいいけど…」
まだ少し不満そうだが、どうやら許してくれるらしい
「だがあの『LIGHT RULER』には俺も驚いたぞ
なぜあのカードをいれたのだ?」
「ほら、『雲魔物』って攻撃力が低いじゃない?
効果でモンスター除去とかができてもダメージが少なすぎて押し切れないと思ったから…」
「ふむ
確かに今のデュエルがまさしくそれだったな」
今のデュエルに勝てたのは、最後の工藤のプレイングミスもあるが、その元をたどれば『雲魔物』の攻撃力の低さが原因だ
無防備な状態で攻撃を受けてもたいしたダメージではなかったため、俺に逆転する時間を与えてしまった
「うん
だからその攻撃力を補うために『LIGHT RULER』を入れたの
『雲魔物』はああいった大型モンスターのサポートに向いてるって思ったから」
「あぁ
あの戦闘耐性と『タービュランス』の展開能力か」
確かに『タービュランス』による『スモークボール』の大量展開はすごかった
2ターンで全ての『スモークボール』をデッキから引っ張り出し、その後も墓地から蘇生させて『LIGHT RULER』の召喚につないだ
「『LIGHT RULER』以外にも大型モンスターが何体か入ってるの
『邪神アバター』とか『D−HERO Bloo−D』とかね」
「なにげにえげつないカードを使うのだな…」
「だな…」
「ちょっ…
えげつないって何よ!」
こればかりは杉並の言うこともうなずける
相手のモンスターをほぼ完全に封殺する『D−HERO Bloo−D』
それに魔法、罠カードを封じ、純粋な戦闘では絶対に負けない『邪神アバター』
それに今のデュエルにも出てきた、二つの強力効果を有する『アルカナフォースEX−THE LIGHT RULER』
どれも召喚こそ難しいが、えげつない能力を秘めたモンスターばかりだ
「いや、そのラインナップを聞けば誰もがそう思うだろうな」
「えぇ?
そうかなぁ…?」
「そうだ
なんなら相手にそれらのカードを出された時を想像してみろ」
それを聞いて工藤は考え込んだ
あっ、なんか表情が変わってきた…
たぶん今の工藤の頭の中では『アバター』や『Bloo−D』の壁が突破できずに苦しんでいるだろう
「なっ?
えげつないだろ?」
「……うん…」
どうやら納得してしまったらしい
でもそこまで暗くならないでも…
この話はもうやめたほうがよさそうだ
とりあえず話題を変えることにした
「そうそう、俺が今勝てたのは工藤がプレイングミスをしたっていうのもあるぞ」
「あ、うん…
それは私も気付いた」
「確かにあれは最後の最後で焦ったな
あの状況なら『生還の宝札』でさらにドローしておくべきだったのだろう」
あれは杉並の言うとおりだと俺も思った
『上昇気流』と『フュージョン・ガード』のことについては仕方ないとしても、『生還の宝札』で手札を増やしておけば他の手段も出てきたはずだ
あのターンでは通常召喚をしていなかったので、なにかしらのモンスターをひいていればライフを削りきることもできたし、モンスターがでなくても『天空の聖域』などのような防御カードをひいていれば、俺には対抗策がなくなっていた
「『LIGHT RULER』をひいて油断しちゃったかな?」
「そんなところだろうな
これは運の問題だが、仮にコイントスで表が出ていてもどうにかなっていたと思うぞ
どうやら朝倉のデッキには魔法、罠の除去手段が少ないようだからな」
「そういえばそれもあるな
まぁ今回は詰めが甘かったのと運が悪かったってことだな」
「そういうことだね」
うん、うまくまとまったな
これで次からは工藤に勝つのは厳しくなるだろう
だがそれでいい
結局のところ、これはゲームなんだしな
ならば勝つことだけにこだわらないで、楽しまなきゃな
「さて、反省が終わったところで次のデュエルといこうか
次は俺がやろう
どっちが相手になる?」
「じゃあ私がいっていい?」
「おう
俺は少しデッキをいじくるよ」
さてどうしようかな?
杉並がいったように除去手段が少ないから、そこを補うか?
モンスターを減らして、空いたスペースに除去カードをいれるか…
モンスターばっかり手札に来たということは、デッキバランスが悪かったかもしれない
だとしたらそのモンスターを抜こうか…
代わりにあれを入れれば面白くなりそうだ…
俺はさまざまなプランを考えて、それに合わせてデッキを組み替えていった
次からのデュエルに勝つために、楽しむために
FIN
たぶんあとがき
D.C.遊戯王の第3話をあげさせていただきました
エメラルドです
今回は純一君VS叶さんをお届けしました
叶さんのデッキは【雲魔物】なのですが…
これを決めるのに一ヶ月以上かかりました…
他にも【ユベル】や【アステカ】に【水属性】などいろんな候補があったのですが、どうにかこれに決定しました
理由は…実際にこのデッキと戦ったのでデュエルが想像しやすかったからです
今回もわかりやすいように頑張りました
細かいことやわからないことは「遊戯王Wiki」でお調べくださいませ
また今回はデュエル前に風見学園における、遊戯王最盛期の頃について少し説明させてもらいました
あの頃から純一君たちは強かったのです
ちなみにまえがきにも書いたとおり、この世界は「桜色のドルチェ」の後のお話になっています
よって純一君にはことりさんという恋人さんがいるのですが…
こんなに遊んでていいのかな…?
さて、次は4話に進むか番外編に寄り道するかどっちにしましょうか?
以下今回の設定を少々
時間軸
上記のとおり今回は「桜色のドルチェ」の後の話です
純一君はことりさんとお付き合いしています
叶さんはことりさんと純一君には正体を明かしています
杉並は一人で突き止めました
文中で「俺をなめてもらっては困る」といっているのはあくまで杉並個人がこの件を調査したからで、非公式新聞部は関与していません
また前回より時間が経っており、PHANTOM DARKNESSが発売してしばらくたったころです
デッキ
純一君のデッキは前回と同じ【サイバー・ダーク】です
ですが調整が加えられていて、まだ完成はしていませんが前よりバランスのとれたデッキ構築をしています
また、PHANTOM DARKNESSの発売により強化されています
叶さんは純一君たちと同じ時期にやめて、杉並に誘われて同じ時期に再開しています
やめる前は【天使族】…というより、『裁きの代行者 サターン』軸の【天空の聖域】を使っていました
再開するにあたり、新たに【雲魔物】を作りました
理由は純一君と同じで、既存のカードを使って新デッキを…と考えて【雲魔物】にたどり着きました
とはいってもせいぜいが『天空の聖域』程度ですが…
ちなみに前回のみっくんと同じく、友人が使っていたデッキを参考にしています
「この設定おかしくね?」とか「ここはどうなってんの?」などの疑問がありましたらメールください
ついでに感想もいただけるとうれしいです