笑顔でいてくれるから・・・
※FESTA!!のSSで、孝弘×奈々子でTRUEENDを基準にしています。多少のネタバレがあるので注意してください
※多少基準と異なった部分があります
※それでも構わない人は、お読みください
ジリリリリリリ・・・
「くうあ・・・朝か」
目覚ましを左手で止めて体を起こす
「さっさと起きるか・・・」
パジャマを脱ぎ、私服に着替えて洗面台の前に行く
「ふう・・・目が覚めた」
水を顔にかけて眠気を払い、次に歯磨き、そして髪を軽くブラシでセットする
「さてと・・・」
冷蔵庫の中を見て朝食の準備をする
パンとバター、ベーコンがある・・・パンはトースターで焼いてベーコンは軽くフライパンで火を通す
トースターの「チ〜ン」という音を聞いてパンを取り出し、バターを引いてベーコンをのせる
それをガブリと効果音と共に食べる
・・・味はまあまあか、俺にしては上出来だな
食べ終わった後に腕時計で時間を見る・・・時間は9時半、そろそろ準備をしないとな
「これは・・・最後のお楽しみだな」
俺はテーブルにあれを置く
それは袋に包まれているが、俺が買ったものだから中身は分かっている
テーブルにそれを置いたまま、俺は椅子から立つ
「さてと・・・行きますか」
俺は靴を履いて玄関の扉を開け、出かけていった
「ゆっくり行っても間に合うし、のんびり行くか」
待ち合わせは11時、まほろば市民公園の噴水前に集合
時間には余裕を持って行くのは当たり前である
そうそう・・・今日は日曜日で学生にとって貴重な休日でもある
だが、今日は・・・俺の恋人こと千神奈々子とのデートなのだ
気恥ずかしいが、そういうことである
「まあ学園祭も無事に終わったし、気晴らしにもなればいいかな?」
学園祭が昨日で終わり、これからは何ら変わらない学生生活を送るのだろう
天気も快晴、穏やかな日になりそうだ
「あ、着いたか」
そんなことを考えていると、公園に辿り着いた
木は生い茂り、緑の葉は風に揺られている
葉の奏でる音は一つの音楽と思えるし、清々しい気分になれる
「さてさて・・・と」
そんなこんなで噴水前に到着した・・・しかしまだ奈々子はいない
時間はまだ10時半、少し早かったか・・・
「まあ、景色を見ているのも久しぶり・・・だし、いいか」
999の世界に行ったり来たりした弊害で時の流れがとても緩やかに感じるのだ
・・・授業の時間も馬鹿みたいに長く感じてしまうので少し困っているが、しょうがないか
この代わりに奈々子がいてくれるのだから安いものだしな・・・ノロケにしか聞こえないけどな
・・・うう、パン一枚では流石に腹が減るか・・・あれ買ったから今月厳しいのに
「あ、お兄ちゃん。おはよ〜」
「孝弘君、おはよう」
「ああ、おはよう。・・・何だ、双葉も一緒か?」
そんなことをしていると、もう11時になっていた
俺の前にいる白の服がとても似合っている女の子は、千神奈々子・・・先ほども言ったが、俺の恋人である
奈々子について来たのは妹の双葉・・・元気で、大人しい奈々子とは対照的と言ったほうがいい女の子である
・・・てっきり奈々子と二人きりだと思っていたので少しだけ不満があったが、まあいいか
(お姉ちゃんと二人きりにはさせないんだから・・・)
ん? 何故か双葉から黒い気配がしたのだが、気のせいか?
「ごめんね、双葉がどうしても一緒に行きたいって言うから・・・」
「いいさ、それくらい」
俺は気にはしていないけど、少しだけ残念だったな
『ぐうぅ〜』
「「「・・・」」」
・・・俺の腹の音が突然鳴ったものだから、俺は勿論奈々子たちにも聞こえたようで
「ははは・・・すまん」
「お兄ちゃん、ちゃんと朝食は食べてきたの?」
「パン1枚だけな。あれ買ったから今月は厳しいんだ」
冷蔵庫にはもう食材は無い・・・くう、辛いぜ
「あれって・・・何?」
「あ、ごめん。今のは聞かなかったことにしてくれ」
「あれって何〜?」
「何でもないって!!」
双葉は俺の服を引っ張りながら聞き出そうとしている
・・・すまないな、今はまだ言うわけにはいかないんだ
「それじゃあ少し早いけど、お昼にしませんか?」
「え? それってもしかして・・・」
「お姉ちゃん特製のサンドイッチだよ。これを作るのにお姉ちゃん早起きして頑張ってたんだから」
「ふ、双葉・・・」
奈々子は顔を真っ赤にしている・・・うむ、恋人冥利に尽きるな
「それじゃあ・・・あそこの木陰で食べないか?」
「そうだね・・・あそこなら大丈夫そうだから」
俺たちはその場所に移動し、奈々子はその手に持っていたものを置いて中を取り出す
木の枝(?)の入れ物を開くと多くのサンドイッチが姿を現した
野菜を挟んだもの、チーズを挟んだもの、その他にもいろいろな種類のものがあった、
「凄いな・・・」
「ふふふ、お姉ちゃん張り切ってたから出来は最高だよ!!」
「双葉、からかわないで・・・」
奈々子が丹精込めて作ってくれたサンドイッチ・・・本当に美味そうだ
「それじゃあ、いただきます」
「「いただきます」」
俺の声と共に二人も食事を始めた
ふむふむ・・・はさんである物も丁寧に下拵えされていて、パンも香ばしくて焼きたてのものを使ったようだ
パンの表面が焼かれたサンドイッチもあり、サクサクとしていて本当に美味い
「味はどうかな・・・?」
「うん、本当に美味しいよ。これなら毎日食べてもいいくらいの出来だな」
これなら本当に毎日食べてもいいな・・・何より中身をかえれば組み合わせは多種多様だ
そう考えながら食べていると、何か飲みたくなってきたな
「はい、孝弘君。コーヒーだけど・・・」
「ん? ありがと、丁度飲み物が欲しかったんだ」
奈々子が水筒のカップを俺に差し出してくれた
それを手にとって少しずつ飲んでいく・・・あまり甘くなくてさっぱりするコーヒーだな
三人でゆっくり食べていた(半分ほど俺が食べた)が、全部無くなった
「「ごちそうさまでした」」
「お粗末さまです」
最後に奈々子が持ってきてくれたコーヒーを飲んで一息ついた
「う〜む・・・どこに行こうか?」
かさばらないとはいえ、手荷物は少し目立ってしまう
さて、どうするか・・・
「それじゃあ商店街で買い物してみない?」
「そうだな、それもいいな。・・・奈々子はどこに行きたい?」
「え、私?」
奈々子の意見も聞かないと可哀想だし、無理強いするのは嫌だしな
「私も商店街に行きたいです」
「よし、それじゃあ商店街に行くとするか」
こうして俺たちはまほろば商店街に行くことにした
・・・商店街について、俺たちはいろいろなものを見て回った
双葉は部活で使う運動靴、俺は食材関係と音楽CD、奈々子はドイツ語の小説
それぞれ三人で回ってきて、最後に珈琲佐藤に立ち寄った
「奈々子、珈琲豆を挽かないでおいてほしいんだ」
「え? でも挽かないと飲めないよ?」
ふふふ・・・そのためにあれを買ったのだからな、狙い通りだ
「奈々子にちょっとしたプレゼントがあるからさ・・・?」
「? うん・・・」
「・・・?」
双葉と奈々子は不思議がっていたけど、着いてみればわかる
その後、俺の言うとおりにコーヒー豆を購入し、帰り道を歩く
・・・俺のアパートと奈々子の住んでいる家は意外と近い
商店街からの帰り道も同じなので、面倒なことは無いはずだ
ポケットにある鍵を使って俺たちは家の中に入る
「意外と綺麗にしているね?」
「失礼な」
「・・・」
奈々子は未だに不思議がっているが、ふふふ・・・
「プレゼントというのは・・・これだ!!」
テーブルにある「あれ」が包まれた袋を取る
「これって、コーヒーミルだよね?」
そう、俺が買ってきたのは珈琲佐藤で売っていたコーヒーミルだったのだ
値段は・・・まあ諭吉さん1枚の価格で、月初めの大打撃だったがな
「うん、機械だと味気なさそうだったからさ・・・。お店でもお勧めのミルにしたんだ」
手動の方が美味しく感じるし、その方がお勧めだと言われたのでこれを選んだ
「奈々子、これ・・・俺からのプレゼント。受け取ってほしい」
「で、でも・・・」
奈々子はいつもお店で挽いてもらっているのはコーヒーミルがないためだと以前聞いていた
小さい頃につい壊してしまった・・・それからというものの、コーヒーミルを羨望の眼差しで見ていたようだった
特に珈琲佐藤で売っていたこのミルをよく見ていた・・・だから、俺はこれにしたのだ
「いつもお世話になっているお礼だよ。まあ、これでよければなんだけど・・・」
「本当に・・・いいの?」
「ああ」
俺は奈々子にコーヒーミルを手渡した
「ありがとう・・・孝弘君」
「え、あ、泣くなって・・・」
ミルを持って嬉しそうに泣き笑いする奈々子を見ると、どういって言いかわからない
「だって、嬉しいから・・・」
「まあ、喜んでもらえて何よりだな・・・」
頭をポリポリと手で掻いていると、横から服を引っ張られた
「お兄ちゃん、憎いことするね〜」
「双葉には誕生日に何かプレゼントしてやるさ」
「ほほ〜う、忘れたなんて言わせないからね?」
「ああ、俺はこういう記念日を大切にする人間だからな」
まあ双葉の欲しがるものは予め聞いておかないとわからないけどな
「あ、そうだ・・・」
俺は一つの案を考えついた
「奈々子、早速だけど一つ俺のお願いを聞いてほしい・・・いいかな?」
「え、は、はい・・・私が出来ることなら、だけど・・・」
俺の考えた案、それは・・・
「奈々子がそのミルで挽いてくれた珈琲を、飲ませてほしい・・・いいかな?」
「え・・・は、はい。喜んで」
俺のお願いに、奈々子は笑顔で聞き入れてくれた
奈々子が笑顔でいてくれるから、俺は前へと歩くことが出来るのだから・・・
君が悲しみの中にいるのなら、僕とそれを分け合おう
君が喜びの中にいるのなら、僕はそれを祝福しよう
犠牲という苦しみと痛みを重ね続けた過去の日々に、さよならの花束を贈ろう
僕たちの前に広がる限りない未来の光景に、祝福が来たることを祈ろう
貴女が笑顔であるかぎり、きっと前に歩めるはずだから・・・
あとがき
はじめてFESTA!!SSを書きましたが、出来の方は・・・微妙ですね。他にも違う短編を書く予定はありますが、いつになることやら・・・
何はともあれ、感想お待ちしています〜
話の構成・平成19年10月12日〜14日
執筆の日・平成19年10月12日〜14日